誰でも感じることのある妬み・嫉妬の感情。
私たちは嫉妬すると同時に、「妬んだり嫉妬する自分って嫌な人間だ」と自分を責めたり、「私をこんな気持ちにさせるなんてひどい」と嫉妬の対象である相手を責めたくなり、とても嫌な気分になります。
でも少し別の視点を持つことで、この嫌な感情をあなたの幸せのためのヒントにすることができます。
もしもあなたが自分の人生に十分満足していて幸せであったとしたら、誰かをひどく妬んだり嫉妬することはないはずです。だとしたら、あなたが満たされていないのはどんな部分なのでしょうか。
満たされない部分には、心の痛みが隠されています。あなた自身がその痛みを見つけ、丁寧に優しく取り扱ってあげることで、妬みや嫉妬の感情から解放されていくのです。
◎リクエストを頂きました◎
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「妬み」について知りたいです。
どうして人をねたむのか、どういうとき人は妬みという気持ちを持つのか、なぜその人をねたむのか。
実は私は今、妬みという感情にとても苦しんでいます。自分でもどうしようもなくて、とても苦しいです。
なんでその人を妬むのか、自分でもよくわかりません。その人の言動が気になって気になって仕方ないのです。表面上は仲のよい同じ年の同僚なのですが…。
(一部編集させていただきました)
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人はどんな時に妬みや嫉妬という感情を持つのでしょうか?
(文中では「妬み」と「嫉妬」を同じ意味として使いますのでご了承ください。)
単純な例で考えると、例えば、あなたが欲しいと思っている高価なブランドのバッグを持っている人がいたら、「うらやましい」と思いますよね。そして、「貯金もあるし、私も今度の週末に買いに行こう!」と思うとしたら、何の問題もありません。
でも、そんな高価なバッグを買うお金なんてない、この先もずっと買うことなんてできないだろう、とても欲しいけど、一生手に入れることはできない、と思ったとしたら、悲しくなったり、悔しくなったりして、バッグを持っている人のことを妬んでしまいます。
そう、私たちは、「欲しいけど手に入らない」と思っているものを持っている人を見ると、妬んだり嫉妬してしまったりするのです。
また、妬みや嫉妬という感情を感じると、私たちはとても嫌な気分になります。バッグの例でいえば、まず、欲しいのにお金がない、という状況を思い知らされます。コンプレックスを刺激されるわけです。そして、自分をこんな嫌な気分にさせる相手に対して悪感情を持ちます。さらに、相手を妬んで、悪感情を抱く自分を嫌な人間だと感じます。嫌な感覚がいくつもからんでくるんですね。
だから私たちは妬みや嫉妬という感情をあまり感じたくありません。それで、妬みや嫉妬心を持つと同時に、無意識に感情を抑圧して感じないようにしたりすることもよくあります。そうすると、何か嫌な感じがするんだけど、この感情が何なのかよくわからない、という状況になります。
また、自分が感じているのは妬みだと何となくわかっても、目をそらしたい気持ちに邪魔をされて、妬みの理由が何なのかまでは見えなかったりします。
それでもバッグのように目に見える物であればまだわかりやすいのですが、実際には、誰かの才能に嫉妬したり、お金持ちであること、健康であること、愛されていることなど、妬み・嫉妬の理由は様々です。
リクエストの方の場合も、自分が相手を妬んでいることには気付いているのですが、その理由がよくわからないようです。理由がわからないことには気持ちの整理のしようがないですから、もやもやしてしまいますよね。
ではどうしたらその理由がわかるのでしょうか。理由がわかりにくい時には、「妬み・嫉妬の下には痛みがある」という視点から考えてみるといいでしょう。
自分は十分幸せで満ち足りている、と思っていたら、私たちは誰かを妬んだり嫉妬したりすることはありません。つまり、妬み・嫉妬があるということは、自分が幸せだと感じていない部分、満たされていない部分がある、ということです。
ですから、自分が幸せだと思えないのはどんな部分か?何が足りないと感じているのか?自分は何が欲しいのか?ということを見ていけば、相手のどんなところに妬みを感じているのかが見えやすくなるんですね。
経済的に苦しい家庭で育ち、そのことでとてもつらい思いをして、今でもお金に関することになると必要以上に不安や苦痛を感じたりするとしたら、お金持ちの友だちに嫉妬をするのは当たり前です。
両親に愛されたという実感が持てず、自分には愛される価値がないように感じているとしたら、素直に周りの人と関わり、いい人間関係を作れる友人に嫉妬を感じるとしても無理はありません。
妬み・嫉妬の下にある自分の痛みがどんなものなのか見えてきたら、その痛みを癒すことを考えていきましょう。
つらかった過去の自分をいたわってあげることはとても効果的です。「つらかったね」「いっぱいがまんしたね」と自分に語りかけてあげてください。過去の自分の痛みに向かい合おうとすると、苦しい感じや怖い感じがするかも知れませんが、乗り越える力が自分にあることを信じてください。
また、自分には愛される価値がない、魅力がない、というのは、本当は誤解なのです。誤解を解いていきましょう。いつ、どんなことがきっかけで自分が誤解してしまったのか、ということを理解することも、誤解を解くひとつの方法です。
自分の痛みを優しく扱ってあげましょう。痛みが癒されたり、自分の価値を感じられるようになった時、自然に妬みや嫉妬は消えていきます。
最後になりましたが、リクエストの中にもあるように、誰かを妬んだり嫉妬すると、その人のことがやたらと気になります。あなたが欲しくてしかたないものをその人が持っているとしたら、どうしたって目が行ってしまいますよね。欲しいと思っているブランドバッグが目の前にあれば、ついつい目が行ってしまうようなものです。
こういうことも含めて、妬みや嫉妬は、より幸せになるために何が必要なのかを知るために起きている「幸せへの道しるべ」だと考えてみると、少し気持ちに余裕ができるかもしれません。