ケースステディーを使って、自立のマインドを解説していきます。
今回はAさんの自立心の強さや、甘え下手というパターンを作ったのは生育過程が関係してたというケースを使って解説していきます。
自立のマインドを形成している裏側に満たされていない思い、痛みといった感情が隠れていると問題が発生しやすくなることを解説しています。
前号では、パートナーが甘えているというAさんのもつ不満の裏には、“『もう、あなたがしっかりしてくれないと、私が甘えられないいじゃない!』”という不満が心の奥に隠れていたというお話でした。
なぜ、そんな思いを心の奥にしまっていたのでしょう?
それにはAさんが自立した経緯がありました。
●抑圧された感情
Aさんの自立心の強さや、甘え下手というパターンを作ったのは、Aさんは生育過程にありました。
Aさんの幼いころは実家が金銭的に裕福ではなく両親とも夜遅くまで共働きをしていたそうです。Aさんは昼も夜もお留守番です。
それが当たり前の環境だったので慣れてはいたし、しかたがないことと思っていました。
ですが、時折、寂しいときや、不安なときもありました。
例えば風邪をひいて熱がある日もなんかは子どもだけでいるのは不安でした。体が弱っていると今までは気丈に振る舞っていた気持ちが弱まり、さみしさを感じたそうです。「お母さんに側にいてほしいな・・・」と思いました。
そう思っても両親は仕事があるし、しかたがないこと思うしかありません。
さみしいモードをいつもの気丈なモードに戻して頑張っていました。
風邪をひいたときだけではありませ、ほかにも不安なこと、困ったことがあった時も『お父さんも、お母さんも仕事で疲れてるんだから困らしてはいけない』と思い、両親に頼らず、甘えず、なるだけ一人で頑張ろうと気丈に振る舞ってきたのです。
ですので、お友達よりも早く自立をしていったし、早く精神的に大人になっていきました。そうすることで、Aさんは、その環境や状況を乗り越えていったのでした。
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Aさんは人より早く自立をしていきました。
その分自立歴は長く、自立心はとても強くなっていました。
そして両親に甘えてはいけないと思い頑張ってきたので、甘え下手になってしまっていました。
自立心が強いのことで役立つことはいっぱいあったのですが、問題も生まれました。
Aさんが自立するベースとして下記のようなものがありました。
・さみしいと思ってもしかたがない。
だから、気丈でいよう。
・本当はお母さんにそばにいてほしい。
だけど、そんな甘えたいという思いを持っているのはつらい。
だから心の中に閉じ込めて、気丈なモードでいよう。
・不安なこと、困ったことがあっても、両親を困らせたくないから、できるだけ一人で頑張ろう。
これらがありました。
甘えや、頼りたい、寂しいといった気持ちを受け止めてほしいといった依存心を心の中に抑えこんで、自立してきたという経緯があったわけです。
言いかえると甘えたい、頼りたい、一緒にいてほしいという満たされぬ思いを心の奥に閉じ込めたのです。
この満たされぬ思いを閉じ込めて心の奥に隠しながらしっかりものになっていたので平気で甘えてくるパートナーに腹がたったのです。
『私が甘えたくても甘えずに我慢してしっかりしようと気丈に振る舞って生きてきたのよ!あなたも甘えないでしっかりしようとしなさいよ』的な怒りがわいてきわけです。
人は自分が我慢してきたものを平気でしていると腹が立つものなんですね。
Aさんの自立の裏に隠れた深層心理には、満たされてない思い、完了されていないさみしさ、などの痛みが隠れていたのです。
その痛みが、パートナーの甘えている態度に怒りを覚えるという問題をうんだのでした。
次回は、Aさんがパートナーに怒りを覚えないためにはどうしたらいいのか?を紹介します。
>>>『自立のマインド研究会(4)~痛みを癒すと寛容になれる~』へ続く