変えたい痛みのパターンを越えて~真の自己愛に目覚める~

人は繰り返すことで、習慣化し、ものごとを安定的に行うことができる生き物です。

繰り返し=習慣といってもいいかもしれません。
ですから、繰り返すことそのものが悪いわけではないんですね。
けれども、できることなら早く何とかしたいのが、ツライ感情をともなうパターンがあるという場合ではないかと思います。

今回お寄せいただいたリクエストからは「自分を責める」ことが、パターンになっているということが考えられます。
痛みというのは、自分が犯している過ちがあることを教えてくれる感情のサインで、私たちのうちにある何かを変えなくてはいけないと注意を促してくれますが、うまくいかない原因を作った自分を責めることではないんですね。
今回は、変化を望んでいる時の私たちの、はまりやすい心理についてのお話です。

◎リクエストを頂きました◎
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人は同じことを繰り返すことがあります。
恋愛でも、仕事でもある種のパターンができてしまうというか。
やめよう、変わろう、と思っても心が折れてしまうことがあります。
そして同じことを繰り返した時、自分を責めたりします。
そんな時、繰り返してしまう時は、どんな心理なんでしょうか?
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リクエストをありがとうございます。

●なぜ、変えたいはずのパターンを繰り返してしまうのか?

痛みというのは、自分が犯している過ちがあることを教えてくれる感情のサインです。
そして、私たちの内にある“何か”を変えなくてはいけないと注意を促してくれます。

だからこそ「新しい自分に変わらなくては!」と奮闘するということがあるのではないかと思います。

しかしながら、新しい自分に変わることを決断しても、たいていはうまくいきません。

なぜかというと、うまくいかない原因を作った“自分を責める”ことそのものが解決や変化を阻んでいるということがあるんですね。

多くの人は、現在の悪い面から将来の良い面だけに移動することを試みて、そのような目標を立てたりします。

ところが、現在には良い面も悪い面もあり、将来にも良い面と悪い面があります。
物事を善悪で判断してしまう常識的概念に囚われたままでは、いつまでたっても意識の統合へ向かうことができないんです。

それと同じように、良い面と悪い面が私たちの性質の中にも見出すことができます。

私たちの意識や無意識が何を基準に、どこに焦点を当てているかによって、つまり、その人が持っている価値観によっても、ものごとの見え方や感じ方が異なります。

そして、この段階での、自分の中の、自分から見て良くないと感じる性質を変えよう、やめようとすることは、一種の切り離し作業であり、自己否定にすきません。

より良い状況を望んで挑もうとすること自体は、ポジティブな側面ではありますが、結果的に、実際に自分の中にあると感じているものを否定してしまうことで、二律背反的な葛藤が起こり、それだけでもいたたまれない気持ちを感じてしまうことでしょう。

ありのままの自分ではダメ。
こういった否定的な前提(自己概念)があると、それそのものが痛みの根源になり、どう試みても、より良いものを自分の人生に送り込むことが難しくなってしまうのです。

基本的に、日常の中で何かうまくいかない時や、対人関係で問題が生じている時、また精神的に滅入っている時などは、過去に心に刻んだ決めつけが影響を及ぼしていると思っていいでしょう。

あなたは、これまでの人生で「淋しい」と感じたり「もうこれ以上自分をごまかしたくない」と悶える、自分の内側から湧き上がる思いを、無視してきませんでしたか?

その結果、自分自身からの信頼を失い、自分を粗悪の根源みたいに責めてしまうということはないでしょうか?

その多くは、「自分にはない」という思い(自己概念)が前提になっており、これこそが人生がうまくいかない理由であり、真の喜びに触れられない理由になっているのです。

そういった思いは、その本人が気付かない限り、常に私たちの人生や日常に、大きな影響を及ぼしています。

●自分を大切にする

自分を責めがちな人に多いのが、「自分を大切にする」ということが、どういうことなのか本当の意味では分からない、ということがあるのではないかと思います。

自分には欠けている、足りないものがある。だがら、改善、修理しないといけないと思い込んでいる。そのため、スキルを身につけたり、知識を学んだりして、必死に自分に鞭を打つように頑張ってきたのではないかと思うんです。

自分を信頼できないでいるときに私たちの中で起こる意識が、自意識と呼ばれるものです。

自意識は、私たちを必要以上に用心深く自分を見張り続けるようなものですが、過剰なまでに厳しい目は、緊張を生み、逆に失敗を招いてしまいます。

そして、私たちの関心を受け入れられ、愛されるためにとるべき行動に向かわせて、自然の流れや自発性を遮断してしまいます。「こうしなければならない」というのも、心理的な罠の一つなんですね。

自分を向上させることは、自分を大切にしてるから。そんな風に思っていた節があるかもしれません。

しかし、前提に足りないものがあり、それを補おうとすることは、自己愛というよりも補償行為なんです。補償行為は、しばしば、自らを犠牲的に与えようとしてしまいます。
でも、いつまでたっても望んでいた結果や感情は得られない。

まだ足りない、まだ足りない。
この悪循環で不毛な感じが続いているとしたら、何かがちょっと違うんだなって思ってみてくださいね。

自分を大切にする第一歩は、自分の中の心の声に耳を傾けることなんです。
ここでは、能力や才能を開発するとは言わずに、能力や才能を邪魔しているものを明らかにして、その上で手放して行くことが大切なんです。

この時点で、自責の念がある人は、自分の外側の何かに責任を押し付けることよりも、自分の人生の責任をとることに準備ができているのではないでしょうか。

だからこそ、チャレンジしていただきたいとこでもあるわけです。

自分の気持ちに興味を持って近づいてみましょう。
感情に飲み込まれないようにするには、親しい友人に寄り添うかのように、受け止めてみましょう。

それらを自己表現として、自分に言わせてあげる。
言い訳をしても仕方がないと、言わせないように抑圧していた自分に許可してあげる。
矛盾した思いが出てきたとしても、それも、自分の中にあったもの。

自分の中の思いとして、その多様性を認め、受け入れることで、今まで気になっていたものが気にならなくなっていることに気づいていくことができるかと思います。
その多様性を受け入れるプロセスそのものが自己統合なんですね。

まずは紙に書いてみるのもいいでしょうし、すぐに浮かんだ思いを打ち消してしまう自分がいたとしたら、この自分の本当の思いを表現する(自分の中にある思いを知る)プロセスに、私たちカウンセラーを頼ってみてもいいでしょう。

少し時間はかかるかもしれませんが、自分の思いを受け止めるにつれ、自分と繋がっていく喜びや癒しを経験できるでしょう。あなたの可能性の扉が開かれますように。

この記事を書いたカウンセラー

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恋愛、夫婦関係、職場の人間関係、転職・キャリアほか、自己実現など幅広いジャンルに対応する。 わかりやすいレクチャーをモットーに、感覚やインスピレーションを活用するハートフルなセラピーとの両面で癒しのプロセスを後押しするのが強み。自分のペースで気づき、変化、成長できると好評である。