投影の心理のややこしいところは無意識的に投影をしてしまっていることです。
無意識的に投影をしてしまっているので本人は投影をしていることに気づきません。投影をしているとは気づかないので問題は外にあると思います。
しかし、その投影が人間関係の問題を作っている場合は、心の内の未完了な課題に取り組むことで外の世界に感じることを変えていくことができるのです。
●心の内にある問題を外に映し出す
得意なタイプの人がいたり、なぜか苦手と感じる人がいたり、相手は特にあなたに直接害を及ぼすことをしてないのにもかかわらず接しているとイライラしてしまう人がいたり、近づきにくいと感じてしまう人がいたりした経験はありませんか?
姉さんタイプの人は接しやすいとか、年配の上司は苦手だとか、私がその人に頼られているわけでは無いのだけれどすぐに人に頼る姿を横から見ているだけでイライラするとか、いい人だと頭ではわかっているんだけどなんだか近寄りがたいとかです。
このような時はなんらかの感情が働き得意に感じたり、苦手に感じたりしています。
このような人間関係で出てくる私たちの感情の動きには投影の心理が影響していることがあります。
例えば、権威的な父親との関係が上手くいかず父親との関係に葛藤あったりすると、父親との葛藤を男性の上司に無意識的に投影をしてしまうことがあります。
父親と同じく男性で、目上の人で、権威を持っている上司に父親を投影しやすいわけです。
上司に父親との葛藤を投影していると父親に対して出ていた心理的な反応が出やすくなるんです。例えば上司に対して反発心がよく出たり、「上司は自分のことを好ましく思ってないんだ!」と否定的な気持ちが出てきたりなど父親に対してでていたような気持ちがでてくるんですね。
投影の心理のややこしいところは無意識的に投影をしてしまっていることです。
無意識的に投影をしてしまっているので本人は投影をしていることに気づきません。投影をしているとは気づかないので問題は外にあると思います。
先ほどの例えで説明させていただくと、父親との葛藤という心の内にある未解決の問題を外に投影していることに気付かずに、『問題は偉そうで分からず屋の上司の性格だ!』と思うのです。
しかし『私は何を投影しているんだろ?』という見方を意識的にしていくこと等をきっかけに投影に気付くことができると、心の内なる未解決の問題をクリアーにしていくことで外にある問題がクリアーになっていくことがわかります。
取り組む課題が上司と戦って上司を変えようとすることではなく、心の内の問題をクリアーにすることだと気付けたとしたら素晴らしいことです。
心の内の問題をクリアーにしていくことを課題とすることは、上司と戦って上司を変えようとするよりもリスクが少なく効果的です。
例えば上司の考え方を変えようと「あなたの考え方についてもの申したいことが・・・」なんて言いにくいものですし、立場を悪くしかねませんよね。
上司と戦おうとしてピストルでパンと撃つと、上司からバズーカでズドーンとお返しをくらったりします。それよりも心の内の問題をクリアーしていった方が安全ですよね。
これは何も上司との関係に限ったことではありません。
心の内の問題をクリアーにすることで外に映し出されていた問題が解決していける問題の場合は、外(人や、社会)を変えようとするより内を変えようとしたほうがリスクが少なく、効率的であり、効果的なことが多いんですね。
>>>『投影と許し(3)~投影を取り戻す~』へ続く