私たちが日常でとっている態度は、いい態度も悪い態度も、感情から作られることがとても多いんです。
悪い態度を取る側も、取られる側も、心地よくありませんね。私たちの悪い態度も、そんな態度をとらなくてもいいのに…と感じるあの人にだって、(たとえ、そうは見えなくても)悪い態度をとってしまう心理的な理由があります。
今回は、悪い態度をテーマに、悪い態度を取ってしまう裏側にある感情から、私たちの使う言葉から作られる態度の仕組みまで解説していきます。
その心理的理由や背景を知ることで、ただただ、腹立たしさを感じていたあの人や「あぁ、またやっちゃった」と後悔して、嫌っていた自分自身の悪い態度に対しての理解と人間関係の変化への入口を見つけていきましょう。
◎リクエストを頂きました◎
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リクエストは、悪い態度をとる人について取り上げて頂ければと思います。
わたしの周りにある人間関係なのですが、自分勝手で、自分がしたいことと、都合のよいこと以外はせずに、すべて人にやらせる人がいます。 強制、暴力があり、人になにかしたら「してやった」、人が何をしても当たり前で、都合の悪いことやしたくないことは見ても見ぬふりをします。お金や物に関しても自分は浪費しても(自分をよく見せる為の他人の大盤振る舞いはある)が、身内には必要なものも出さない性格です。
悪い態度をとる人について、何か参考になるお話があればお願いいたします。
(一部、変更させていただきました。)
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リクエストありがとうございます。
今回は、悪い態度とる心理をテーマに進めていきたいと思います。
■感情から態度は作られる
私たちの態度は、私たちが感じている感情から作られることがほとんどです。
心地のいい感情を感じているときに、悪い態度をとる人はいませんよね。
悪い態度にとってしまうときは、決して心地よくありませんし、ある感情を感じていることが起因しています。
その感情は、大きく2つあげることが出来ます。
・無価値感から作られる態度
・罪悪感から作られる態度(Lecture.4 罪悪感の心理学1~罪悪感とは?~参照)
もちろん、どちらか一方というわけではなく、両方感じていることも多々あります。
悪い態度を取っている側であれば、無価値感には、価値を受け取る、罪悪感には、許すことが必要になります。
悪い態度を取られている側であれば、無価値感には、価値をみる、罪悪感には、相手を許していくことが必要になっていきます。
■人の扱い=自分に対する扱い!?
人の扱い方と自分の扱い方は似ています。
人に対して厳しい人は、自分に対しても厳しいですし、人に暴言を吐いている人は、自分に対しても暴言を吐いています。
人との距離感が近づけば近づくほど、その傾向は強まり、自分と同じ扱いや態度を示します。
分かりやすい例をあげれば、家族やパートナーに対する扱いは、自分が自分に対してしている同じ扱いや態度になっていきます。
例えば、自分のことは差し置いて、周りのことを優先にしてしまう人の場合、「うちのことはいいから」と言って、家族やパートナーを後回しにしてしまうのは、このためです。
そこには、親密感を感じられる存在に対して、どんな態度をしても「自分を愛してくれる」存在であり、「許してくれる」存在という信頼があるわけです。しかし、その信頼があるが故に甘えが出てきて、粗雑な扱いになってしまうことも少なくありません。もう一方で、当の本人も自分のことを粗雑に扱っているということが出来ます。
ですから、自分が周りの人に冷たくしているなぁと感じたり、悪い態度をとっているなぁと感じたりするときは、まずは自分に対する扱いを見直していくことがお勧めです。
また、逆の立場の場合、何でそんな扱いをされなければならないんだー!!と怒り心頭してしまうこともありますが、その人にとって距離が近い存在であること、信頼に値する存在であることを受け取ることも出来ます。そして、自分以外の誰かが自分に対して接してくる態度は、その人がその人自身に対してしている態度としてみることが出来ます。
■言葉は、人を作り上げる。
人は、言葉に反応しながら、生活をしています。ある意味では、言葉の期待に応えているといってもいいでしょう。
例えば、
「○○さんは、優しいんですね。」と声をかけられたとします。
それを言われたあなたの表情は、どんな表情になり、どんな気持ちになるでしょうか?
その言葉に反応して、表情は柔らかに、ちょっと恥ずかしさを感じる方もいるかもしれませんが、悪い気分はしないと思います。
一方、
「○○さんって、人に冷たそうですね。」と声をかけられたら、どうでしょうか?
一瞬にして、口を閉ざしてしまい、もうその人とは口はきかないと決め、冷たい人になってしまうかもしれません。
過去に浮気をされて、許したパートナーに対して「また、浮気してるんじゃないの?」と繰り返し言ったことから、初めは実際に浮気をしていなくても、浮気していないのに浮気の疑いをかけられるくらいなら、浮気をしてやる!といったように浮気するパートナーが出来上がる場合があります。これは、言葉が人を作り上げる一つの例といえるでしょう。
そういった意味では、私たちが持つ言葉や態度の影響力を知っておくことも大切です。
■終わりに
悪い態度を取ること、取られることは、決して、心地の良いものでありません。
しかし、その態度に隠れている感情や背景に着目したときに、自分や相手への理解が始まり、過剰に責めることもなくなり、新たな関係性を作ることも可能になっていきます。