私達が「やる気」を持って行動し継続するには、そうした行動の元になる「動機づけ」が必要になります。
「動機づけ」には、大きく分けて外発的動機づけと内発的動機づけという2つの種類があり、「やる気」や「継続」につながるのはそのうちの「内発的動機づけ」になります。
やる気が出ることやそのやる気が継続することには、それをやる「動機」というのが大きく関係しています。
動機にはいくつかの種類があり、大きく分けて2つの種類の動機があります。
●外発的動機づけと内発的動機づけ
一つは、「外発的動機づけ」といって、課題を達成できた時/達成できなかった時に得るご褒美/罰、例えば、認められるとか誉められるとか、怒られるとかバカにされるといった、言わば“アメとムチ”が動機となる場合です。
例えば、親から「いい大学に入るために勉強しなさい」と言われている小学生がいたとします。
でも、その子は全然勉強をやらず、ゲームばかりしています。
<ケース1>
親は、その子をやる気にさせるために、こんなことを言います。
「1時間勉強したら、ゲームしてもいいよ。」
「今度のテストで100点取ったら新しいゲーム買ってあげるから、勉強しなさい。」
ゲームがしたいその子は、勉強をするようになりました。
<ケース2>
親は、その子をやる気にさせるために、こんなことを言います。
「いい大学に行くと、将来幸せになれるよ。」
それでもやる気にならないその子を見て、今度はこんなふうに言います。
「勉強しないと、大変なことになるよ。そんなふうにゲームばかりやっていたら、将来ろくな人生にならないよ。」
「大変なことになる」「ろくな人生にならない」というのを聞いて怖くなったその子は、勉強をするようになりました。
これが、「外発的動機づけ」です。
外発的動機づけの結果、<ケース1>も<ケース2>も、子供は勉強をするようになりました。
こうした外発的動機づけによる行動というのは、「ゲームがしたい」「ろくな人生になりたくない」といった目的を達成させるための行動となるので、長続きしなかったり、意欲的になれなかったり、強制されている感覚を伴ったりします。
ざっくばらんに言うと、この子は勉強に興味や意欲があるわけではないんですね。
感覚的に言うと、「仕方なくやっている」という感じです。
では、この子が興味や意欲を持っているものは何なのでしょうか?
この子が興味と意欲を持っているのは、ゲームです。
ゲームのためなら勉強までしてしまうほどの興味と意欲があります。
こうした興味や意欲によってもたらされる動機づけを「内発的動機づけ」と呼びます。
この「内発的動機づけ」からの行動とは、それによってもたらされるご褒美/罰とは関係なく、また、その行動そのものが目的となっています。
ゲームをすることで何かを得ようとするというよりも、ゲームをすること自体が目的なんですね。
ゲームをするためだったら勉強もするし、新しいゲームを買うためにお小遣いのやりくりをしたり、お手伝いをしたり、自ら意欲的に行動します。
それは、ゲームに飽きるか別のものに興味が移るまで続きます。
意欲的に取り組む「やる気」と「継続」には、この「内発的動機づけ」が大きく関わっています。
私達が持つ動機というのは、外発的もしくは内発的動機づけだけ、というわけではなくどちらも持ち合わせています。
そして、外発的動機づけが影響を及ぼし内発的動機づけとなる場合もあります。
やる気が出ない、継続できないという時には、その動機が外発的なものなのか、それとも内発的なものなのかというのをチェックすることが役に立ちます。
簡単なチェック方法として、次のような質問を投げかけてみることで、チェックすることができます。
「それは、頼まれなくてもやりたいことですか?」
「それは、お金を払ってでもやりたいことですか?」
自分の外側からやってくるものではなく、自分の内側から湧き上がってくる興味や意欲、これが「やる気」や「継続」の元になります。
>>>『やる気の心理学2(4)~静かに、静かに、~』へ続く