カウンセリングでは、「心」と、心が感じる「感情」を扱います。
特に、自分では認識できない潜在意識や無意識といった領域に抑圧された感情に注目します。
その自分では認識できない領域で感じている感情が問題と関係しているからであり、問題解決につながるヒントが隠れているからです。
そうした潜在意識や無意識で感じている感情や望んでいるものに目を向けてみましょう。
心理学では、心には、自分で認識できる顕在意識、ふとした時に「そういえばそんなふうに思ってた」と認識することができる潜在意識、自分では全く思い当たることがない無意識の3つの領域があるという考え方があります。
そして、「心で感じていることや望んでいるものが現実の状況としてやってくる」という考え方があります。
それらの考え方を元に問題を見てみると、問題というのもまた、自分が望んでいるものだという見方ができます。
問題を望んでいるなんて、顕在意識のレベルで見ると、おかしな話ですよね。
「早く問題を解決して楽になりたい」と積極的に問題解決に取り組む人はたくさんいても、「私はもっと苦しみたいんだ!」と積極的に悩む人っていませんからね。
でも、問題を解決したいにもかからず、その問題が問題としてあり続ける時、私達の心の潜在意識や無意識では、その問題が問題であり続けることを望んでいるのです。
例えば、「パートナーが欲しいけどできない」という問題でカウンセリンに来た方がいたとします。
そんな時に、こんな質問をさせていただくことがあります。
「あなたにとってパートナーができて困ることや都合が悪いことがあるとしたら、それはどんなことだと思いますか?」
顕在意識のレベルでは、「パートナーが欲しい!」と思っているのですが、潜在意識や無意識では、「パートナーなんか欲しくない!」「パートナーができたら困る!」と思っているという仮定のもと、このような質問をするのです。
そうすると、大抵の方は、こう答えます。
「ないです!」
そりゃそうですよね。
「パートナーが欲しい!」って思っているわけですから、パートナーがいないことで困ることや都合が悪いことがあっても、パートナーがいて困ることや都合が悪いことなんて、あるわけないんですよね。
でも、そこからお話を伺っていくと、
「パートナーができると、我慢をしなければいけない」
「パートナーができると、自由がなくなる」
「いつかパートナーに捨てられてしまう」
などといった困ることや都合が悪いことが出てきたりするのです。
パートナーがいないことで感じるネガティブな感情よりも、パートナーがいることで感じることになるであろうネガティブな感情の方がより大きく痛みを伴うものになるので、パートナーができてしまっては困るのです。
では、どうしてパートナーがまだいないにもかかわらず、パートナーができたら感じることになるであろうネガティブな感情がどんなものかがわかるのでしょうか?
それは、過去にパートナーがいたことでそうしたネガティブな感情を感じたことがあるからなのです。
「(昔あんなに辛い思いをしたのと同じように)また辛い思いをするだろう」というふうに、未来のことが想像されるのです。
その辛い思いを、辛い思いのまま心の奥底に封じ込めて蓋をしているので、「パートナーなんて絶対欲しくない!」という思いを持つことになるのです。
逆にいうと、その封じ込めた辛い思いを解放して、辛かった思い出が、辛かったけど幸せだった思い出に書き換われば、自然と「絶対に欲しくない!」という思いも書き換わっていきます。
このように、自分の潜在意識や無意識の中に封じ込められている感情や思いを顕在意識に上げてあげることで、問題を変容させていくことができるようになります。
もし今あなたが問題を抱えているとしたら、自分にこんな質問をしてみてください。
「私がこの問題を持ち続けることでメリットがあるとしたら、それはどんなメリットだろう?」