パートナーの浮気という問題に取り組むためにカウンセリングを使われた方の事例です。
小さいお子さんを抱えられているAさんが、夫の浮気を知り、その浮気問題に果敢に取り組まれていきました。
Aさんのチャレンジは、ご主人さんのしたことを裁こうということではなく、ご主人さんを癒そうとしたことでした。
あるカウンセリングの事例です。
Aさん(女性)には3歳になるお子さんがいました。夫の浮気が分かったのは1年前、お子さんが2歳の時、夫の携帯を盗み見したのをきっかけで浮気をしったとのことでした。
まだお子さんが小さく、子育てに手いっぱいで余裕がない時に夫の浮気が発覚したこともあり、Aさんの心はいっぱい、いっぱいになってしまいました。
そして浮気のことを問い詰めるべくご主人さんに詰め寄りました。
すると人の携帯を覗き見するなんて人間として信じられないと逆ギレされたそうです。
そして逆ギレの勢いにのって、今まで、ご主人さんが感じてきた不満をツラツラと言われて、浮気相手と別れる気はないといわれたそうです。
途方にくれたAさんは、カウンセリングにお越しくださいました。
まずはAさんの受けたショックを癒すように、ショックを受けた時の感情を話しと共に解放していき、心に受けたその傷をやわらげていきました。
それから、ご主人さんとの今後の関係についての話しになっていきました。
「ひとつはご主人さんの誤りを裁くという道がありますよね。例えば弁護士に相談して調停や、裁判という形になれば、ご主人さんの誤りを証明できますね。
もうひとつは、ご主人さんを裁くのではなく、幸せな関係を取り戻すために、あの悪い子ちゃんになっているご主人さんを許していき、ご主人さんが浮気相手から欲しがっているものをあなたが代りに与えていけるようになるという道です。こちらはAさんが傷ついているのにもかかわらず、Aさんがまず変わらないといけないという茨の道かもしれません。しかし幸せな関係を取り戻す道です」
Aさんにこのような話しをさせてもらいました。
するとAさんは幸せな関係を取り戻す道を選択したいと話してくださいました。
まずは、Aさんが経験されたようなケースで起こりうる一般的な話しをさせてもらいました。
子供が小さいとお母さんは子供にかかりきりになることが多くなります。
赤ちゃんはおっぱいを飲ませないと死んでしまいますし、おむつを替えてあげないといけなくなるのでかかりきりになるのは当たり前です。
するとご主人の方は、かまってもらえなくて寂しいなと思うことがあるんです。
しかし、大人の頭としては、子供が第一優先ですし、子育てが大変な時に「僕も構ってほしいでちゅ」なんて言っている場合ではないと、大人の頭では理解しているので、この感情は抑圧されていきます。
大きな子供が『僕のおっぱいは誰に貰えばいいんだろう』状態になるわけですが、実際は大人ですからその思いは抑圧されていくわけですね。
するとこの構って欲しいという思いは外に向けられ、浮気になることがあるという一般的に多い事例の話しをしたところ、Aさんは思い当たることがあると話してくれました。
Aさんのご主人さんは昇進して新しくついたポジションのことで悩んでいた時期があったそうです。それを聞いて欲しそうにAさんに話しかけてくるのですが、『私は子育てで手がいっぱいなんだから、自分のことは自分でして』という思いがでてきて、あまりご主人さんの話しを聞かなかったそうです。
そのことを思い出して、Aさんは「私に拒絶されて寂しかったのかもしれないですね」と言いました。
不足原則が働いていたわけです。
ご主人さんのやっていることは良くない行為で言っていることや、行なっている行為だけを見ると腹がたつばかりなのですが、その裏にある寂しかったかもしれないといところを見ていくと、やさしくしてあげたい気持ちにもなるとAさんは話してくれました。
そして浮気という悪い子をしているご主人さんの心の奥にある“さみしさ”を癒そうとAさんはコミットをしました(決めました)。
それから1年間、Aさんはカウンセリングに通いながら、ご主人さんに優しく接し続けることや、ご主人さんを愛し続けることにチャレンジし続けました。
山あり谷ありでしたが、チャレンジしてから1年ちょっとした頃にご主人さんの浮気がなくなり、今では前よりも仲の良い夫婦になられたそうです。
Aさんは本当に頑張られました。そしてその頑張る姿は美しく、すばらしいものでありました。Aさん末永くお幸せに。
※この内容は本人の同意を経て掲載させていただいています。
(完)