愛することを学ぶために(1)~問題は素晴らしいギフト~

あらゆる問題の目的は、私達に「愛」を思い出させ、より大きな愛を学ばせるためにやってくるものです。

しかし、私達は様々な辛い感情に直面して愛を忘れてしまうことも少なくありません。
そこで、今回は「問題」が起こる意味、具体的な問題があなたに教えてくれる事、さらには、愛するためにはどうしたらいいのか?そして、最後は自己愛について、心理学的な立場から、実例を交えつつお話させていただきたいと思っています。

私達の心の奥には深い愛の層があります。そこに触れると、人生は一変し、それまでの悲劇が喜劇に変わり、更には、多くの喜びに震えることができるようになるのです。
それを学ばせるために「問題」が起こるとしたら、それは大きな贈り物と言えるのではないでしょうか?

●愛を学ぶために「問題」はやってくる。

パートナーシップの問題を伺っていると、あることに気付かされるんです。
ほんとうは対人関係の問題も、仕事の問題も通じるところはあるのですが、特に男女関係の問題というのは、私達にもっと上手に愛することを学ばせるためにやってくるような気がしてならないんです。

例えば、夫婦の問題。
ギクシャクしていて、浮気疑惑もあり、セックスだっておざなりな結婚生活。
退屈していて、未来にもあまり希望は持てなくなりますが、「でも、結婚なんてこんなものかな」と妥協していたりします。
その安穏な生活の中で思いがけない問題が降って湧いてきたりするのです。

「離婚してくれないか?」

ご主人からそう切り出されてパニックになり、頭の中が真っ白になってしまいます。

なぜ?どうして?

そういう思いが頭を駆け巡ります。
そして、その場は何とか取り繕って収めますが、その晩は一睡もできずに考え続けることになるかもしれません。

これからどうなるんだろう?
私は一人になってしまうのか?
何がいけなかったのか?
ほかに好きな人でもできたのか?

裏切られたような、見捨てられたような思いから被害者になってしまうことだって少なくないでしょう。

しかし、そういう状況でお話を伺っていくと、始めは靄がかかってた夫婦関係に徐々に光が当たり始めます。
状況の“理解”と“受容”が進んでいくんですね。

すると、反省点がたくさん出てきます。
ここでは自己嫌悪しないことが大切なんですが、それでもついつい自分を責めてしまうくらいの事情がたくさん出てくるんです。

人間ってそもそもが怠惰な動物なのかもしれません。
つい油断してしまい、相手を尊重できなかったり、ついわがままに振舞ったり、甘えたり、自分勝手に生きてしまいます。

そこに、この一撃がやってくるわけです。

でも、そんな状態を心のどこかでは気付いているのかもしれませんね。
始めはパニックになってどうしていいのか分からなかったとしても、少し時間が経つと「やっぱり・・・」とか「こうなっても仕方が無かったかも」という受容が出来ていくんです。

そんな風に今の状況を受け入れていくと、ご主人への怒りや不信感が影を潜め、徐々に「自分も悪かった」あるいは「自分がちゃんと夫を見てやれなかった」と反省点がどんどん出てくるようになることが多いんですね。

だから、やっぱり『今、自分達(自分自身)がどんな状況にあり、今、どうすべきなのか?』ということを本当は心のどこかで分かっているのかな・・・と思えてしまうんです。

でも、そうやって心の底では気付いているのに、なかなか意識することができないときなどに、まるでお尻を叩くように問題がやってきたりします。

そして、はっきりと目が覚め、問題を受け入れられるようになり、前向きに問題を解決しようと動き始めると、今度はある思いが頭をもたげてくるんです。

それは特に問題が解決に向かい始めた頃、自分自身の変化が分かり始めたころに出てきます。

『この問題が起きてくれたお陰で私は気付いたし、変わることができた。そして、成長できた』という思いです。

色んな人に助けられて、人の有り難味を分かった人もいれば、
自分を見つめなおすことで、改めて長所に気付き、自信を得た人もいます。
人生を振り返ることで、自分自身に厚みを持たせられるようになった人もいれば、
新しい可能性に向かって気持ちを新たにした人もいます。

そうした気付きや成長を感じられると、とても意外に思われるかもしれませんが、以前の自分が未熟に見えて『この問題が起きてよかった』と相手に感謝の念すら湧き出てくるようになるんです。

しかし、そうして変わろう、成長しよう、と思えるには、その人への愛がないと難しいんですよね。

小手先のテクニックで体裁を整えようとしたり、プライドや怖れから来る抵抗に飲まれてしまうと、表面上の変化は付けられても内面まではなかなか変わらず、問題は一向に解決を見ません。

しかし、愛に基づいて問題を見つめていくと、素直に謙虚になれるばかりか、より強い心を持って向き合っていくことができるようになります。
そのため、状況を動かしたり、相手を許し、自分を解放するパワーを持つことができるようになります。
それが解決への道を開いてくれるようなんですね。

そう考えると、私達は問題を通じてより深く強い「愛」を学んでいくのかもしれませんよね。
自分の欲求(ニーズ)よりも相手を愛する気持ちを、
痛みを越えて相手を愛することを。

私達は何らかの“問題”によって成長し、また、器を広げていくんです。
より魅力的に、より強く、そして、より成熟した大人になるために。

そのとき、私達の心の奥にある「愛」がその変化のエネルギーを与えてくれるのです。

>>>『愛することを学ぶために(2)~問題から、どんな風に愛を学べるの?~』へ続く

この記事を書いたカウンセラー

About Author

退会しました。