心の成長プロセスの第2段階である「自立」へのプロセスと、「自立」の状態の特徴を紹介します。
一般的には「大人=自立」というイメージがありますが、自立するほどに成熟さという魅力が現れてくるか?というところに関しては要チェックです。
●自立のプロセスと特徴
依存時代に、依存をしていることで自分の欲求が満たされなかったり傷ついた経験を重ねることで、「依存をしているから満たされないんだ」「依存をしているから傷ついてしまうんだ」というところから、「依存するのをやめればいいんだ」と、心の成長プロセスは、依存から自立へと変化していきます。
この自立のプロセスというのは、「依存=悪」とか、「依存=損」などというように、依存を嫌い、依存を否定した形で始まっていきます。
いわば、現状否定がスタートになっていて、そこには悲しみや寂しさといったネガティブな感情があり、それらの感情を感じないために自立をしていくのです。
自立のスタートが「自分しか自分のことを助けてくれる人はいない」「自分しか自分のことをわかってくれる人がいない」というところから人をあてにするのをやめることで始まるので、自立が進めば進むほど、「自分」や「自分のやり方」「自分の考え方」にこだわりを持つようになります。
それは、よく言えば「自分を持っている」という状態ですが、悪く言えば「頑固で融通が利かない」という状態です。
さらに付け加えるなら、「他者を受け入れない」いう状態でもあります。
また、自立の状態の時には、「自分が正しい(=相手が間違っている)」と、「正しさ」が物事の判断基準となっていきます。
これは、依存時代に傷ついた感情を感じないようにするために、また、自分が感情や欲求に振り回されてしまわないようにするために、できるだけ感情を抑圧しようとするからです。
よって、「好きか嫌いか」という感情よりも、「正しいか間違っているか」という理性の部分を優先させるのです。
このように、自立の状態というのは、「もうこれ以上傷つかないために人をあてにするのをやめる」というところからスタートします。
他者と関わり、他者を受け入れることで傷つかないようにするために、人との距離を取りたがります。
特に、依存を嫌ったり否定したりしているので、依存的な人や感情的な人に対しては、特に距離を取りたがります。
●自立=成熟さ?
上記の「自立のプロセスと特徴」は、言い換えると「大人になるプロセスと大人の特徴」ということができます。
大人になればなるほど(自立が強まれば強まるほど)、上記の傾向が顕著になってきます。
では、ここで一つ質問です。
「依存」を嫌って否定し、他者との距離を取り、「正しいか間違っているか」で判断をして自分とは違ったやり方や考え方を受け入れない人というに、魅力を感じるでしょうか?
前回の冒頭に、『「成熟さ」というのは「大人である」ということです』と書きました。
一般的なイメージとして「大人=自立的・理性的」(「子供=依存的・感情的」)というものがありますが、依存から自立への一連のプロセスを経て大人になったからといって、大人の魅力が備わるのかというと、必ずしもそうではないのです。
自立の先にあるプロセスに入り、そのプロセスを進めていくことが、「成熟さ」という大人の魅力を開花させていくプロセスになるのです。
>>>『魅力アップの心理学「成熟さ」(3)~「自立」の先にある段階~』へ続く