天職とは「天が与えた仕事」というほどの意味で、24時間年中無休で関わりたいと思えるものであり、誰かのために、社会のためにといった強い使命感に裏づけされる強いパワー、エネルギーを感じるものなのです。そして、適職とは、その天職をサポートしてくれる仕事のことをさします。
でも、自分にとって何が天職なんだろう?と思えたり、そんなものは自分にはないと感じてしまうものも無理の無いもの。
それをするために生まれ来たようなことですから、それは大きな試練(怖れなどの抵抗)を与えますし、それでいながら、すぐ近くに存在していることも少なくないものなのです。
そうすると、今の仕事を続けていいのか疑問を感じたときにこそ、この天職について向き合い、考えることができるのです。
今のあなたの仕事を見つめなおし、あなたに天が与えた仕事を受け取るためのヒントにしていただければ幸いです。
ワークショップでも何回か取り上げて好評を頂いた「天職と適職」について。
今回は講座として纏めさせていただこうと思います。
●天職とは?
天職とは「天」から与えられた「職業」と書きます。
“それをするために生まれてきた”ものであり、それゆえに心の奥からは懇々と湧き出る情熱が数々の困難を乗り越えさせ、そして、“24時間年中無休で関わっていたい”と思わせるだけの仕事なのです。
しかし、「本当にそんなものはあるのか?」とか、「自分にはありえない気がする」、とか、「じゃあ、今の仕事は絶対違う」、と思われるのも無理はないかと思います。
そういう思いを見つめていくと、まず、働く意味や目的に問題があるケースが少なくありません。
そして、仕事を“選択する”という部分にも問題はないとは言えないかもしれません。
○何のために働いているのだろう?
何のために働くのか?といえば、現実的には食うため、寝るための生活目的が一つ、遊びや楽しみのためのお金を稼ぐ目的が一つ、さらには、いい大人なんだから、とか、働くのが当たり前とされているから、という思いもあるでしょう。
こういう思いが背景にある場合「働く」というよりも「働かされている」という受身な思いが心を支配します。
一方、自己実現のために働く方もいらっしゃいます。自分がやりたいことを表現し、社会に問う形が典型です。
これは自立型といえるかもしれません。
この方はとてもパワフルで生き生きとして輝いていて、周りの人たちの憧れとして映ることも少なくないでしょう。
実際、多くの実績を上げて、人から羨望や目標となっている場合も多いはずです。
しかし、「自立型」ですので、内心、競争心や不安・怖れ、コンプレックス、優越感・劣等感などを抱いている場合も多く、パワーがそれを補うことでバランスを取っているケースが少なくないのかもしれません。
自立心のみで仕事をすると、やがては燃え尽きて、デッドゾーンにどっぷり浸かり、死の誘惑に襲われることも少なくないのです。
○天職とは?
そして、自分自身を社会に還元する、貢献する目的を持っている方もいらっしゃいます。
あるいは、自分の愛を表現する目的で仕事を捉える方もいらっしゃいます。これはすなわち、社会や周りの人たちを仕事を通じて愛することに他なりません。
これは「相互依存型」と言えるでしょう。
彼らは熱く燃えているように見えることは稀で、むしろ、自然体で、温和な、アーキタイプ(元型)で言うところの老賢者のような雰囲気を醸し出しています。
広く、深く、濃い目や心を持ち、傍にいるとまるで清廉な気配を感じ、神社や森、海などの自然を想起させる方も少なくないでしょう。
彼らの働く目的は「誰かのために」という思いが常にあります。
私達はなぜか自分ひとりのためには限界を感じるようになります。(自立の燃え尽き症候群)
もちろん、依存的な受身の姿勢ではすぐに意欲は失われてしまうでしょう。
しかし、誰かのために、という思いは「愛」なので、懇々と沸き続け、そして、苦しくてもやり遂げてしまう強さを与えてくれるものがあります。
そして、そう思えたときに私達は始めて「天から与えられた」という感覚を得ます。
自分が見つけたものでも、人から頼まれたものでもなく、たとえ、きっかけはそうだったとしても、自分自身を越えたもののパワーやエネルギーを感じるものなのです。
それを「天職」と言うのではないでしょうか。
それはサラリーマンや主婦といったよく見かける仕事なのかもしれないし、芸術家などのアーティスティックなもの、会社を起こすほどのパワーを持つもの、人に関わるボランティアの活動、自然に即した農業など、多種多様です。
そして、忘れてはならないのは、この天職は顔つきが全員違うように、性格に個性があるように、生まれてきた私達全員がそれぞれに持っているということなのです。
次回からはそんな天職の性質ついて、更に深く考えていきたいと思います。
>>>『天職と適職~天職は食えない?~』へ続く