私達は自分自身を過小評価し、また、本来の力を封印して生きていることが少なくありません。
そのため、今の仕事に疑問を持ったときには転職を考えたり、あるいは、目的を変更して働き続けようとしたりして、その仕事からちょっと逃げ腰になってしまうのかもしれません。
しかし、そこで心を入れ替え、改めて今の仕事で精一杯の成果を出してみることで、人生、並びに、自分自身が大きく変わり始めること、すなわち天職へのプロセスを確実にステップアップすることができるのです。
●今の仕事に疑問を感じたとき
さて、あなたが感情的に強い抵抗を感じてしまうとしても、もしかしたら、あなたの無意識が選んだ今の仕事が実はあなたにとっての“天職”なのかもしれません。
しかし、前回お話したように人間関係や成績などの問題で、どうしてもそうは思えない、いや、そう思いたくない状況にあることあるでしょう。
また、私達には「注目されたい」「特別に愛されたい」という欲求が常にあります。そうすると、有名になったり、皆に賞賛されたり、お金持ちになれる仕事こそが、自分にとっての天職であって欲しいと願うものです。
そうすると、今の仕事に不満を感じると同時に、私達は今の仕事を辞めて、転職を考えるようになります。(あるいは我慢して定年まで過ごそうか、とか、趣味に生きよう、とか方向転換をされる場合もありますが)
しかし、潜在意識・無意識のレベルで見れば、今のあなたの仕事も、何らかの目的や意味があって“選んでいる”ものといえるんですね。
そして、今の仕事は必ずあなたの天職へと続くプロセス上に存在します。
全然関係ないと思えたとしても、意外なところで繋がっているものでもあるんですね。
だから、今の仕事を否定して次の会社に移ると、そこでも同じパターン、同じ問題に引っかかることが少なくありません。
「嫌だ」で辞めると、再び「嫌だ」という環境が訪れてしまうのは仕事も同じなんです。
なぜかというと、私達は今の仕事をきちんと“卒業”して初めて、次の新しいステージが示されるからです。
そうでないと大学で必修単位を落としたときのように、次の会社で再履修しなければならなくなるのです。
だからこそ、今の仕事や会社に疑問を持ったときには、学ぶことを学び、きちんと卒業単位を満たしてから辞めるのが望ましいのです。
それは今の仕事を通過点に、次のプロセスに確実にステップアップするための秘訣なのかもしれません。
そのため、私はこういう提案をよくさせて頂くんです。
意外にも多くの方が成果を感じられているので、ご紹介させていただこうと思います。
まず、まずは今の仕事をがむしゃらに、一生懸命やってみるんです。
望まれた以上の仕事をし、会社や取引先の期待に応え続けることを敢えてやってみるんですね。
仕事ですから、何らかの成果、結果を出すことを目標とします。
でも、仕事ですから、人間関係と違って比較的結果は早く出やすいんです。ですから、このアプローチは有効なんですけどね。
とはいえ、営業などの数字に表れる場合は分かりやすいのですが、本部系などなかなか成果に現れない場合は、周りの人の評価を基準としてみるといいでしょう。
ただ、そもそも辞めようと思ってる段階でのチャレンジは、燃えカスに再び火をつけようとする行為であることだってあるでしょう。ですから、そういうときはこのチャレンジをする期間を設定した方が良いと思います。
業務や職務の内容にもよりけりなのですが、今の仕事の成果が出てくる期間(たとえば、3ヶ月~半年)を目安にしてみるといいでしょう。
その間はとにかく人が変わったように今の仕事に打ち込んでみるんです。
そうすると自分の仕事に満足感や誇りを感じられるようになるんですね。
あるいは今まで見えなかったこの仕事の問題点や長所なども見えてくるようになります。
同時に人望や信頼、人脈などを手に入れることもできるかもしれません。
それは「辞めないでくれ」という引き止めに繋がるかもしれませんし、その結果を評価したヘッドハンティングなどに結びつくこともあります。
また、堂々と次の会社を受けられますから、面接でも胸を張り、自信を持って自分を表現することが可能になるでしょう。
実は数字を追うのも、周りの期待に応えるのも、この満足感や誇り(すなわち、自信)を持つことが目標なんです。
そして堂々と今の仕事を卒業し、次のステップに進むことができます。
そこにはより高いレベルの満足感を得られる仕事が待っていることでしょう。
もちろん、そこまで来て改めて今の仕事を続けても構いません。もしかすると、それが天職であることに気づいてしまうことだってあるかもしれません。
どちらにせよ、自信や誇りといった土台を手に入れたあなたは、より自分が天から与えられた仕事へのステップを確実に上ることになるはずです。
このアプローチは、あなたの潜在意識や無意識に潜む可能性やパワーを短期間ながらに引き出し、磨き、高める方法です。
それは見方を変えれば、自分自身を信頼し、ベストを尽くし、勝手についてくる結果を受け取るプロセスとも言えるでしょう。
私達は意識的にせよ、無意識にせよ、普段、自分の力や価値、才能を過小評価し、そして、抑圧して生きています。
100%仕事に打ち込んでいるつもりでも、まだまだどこかにパワーが潜んでいるものです。
そうした力を引き出すことで、あなたは今の仕事に対して、きちんと学ぶべきことを学び、また、貢献までして旅立つことができるわけですから、より素晴らしい世界に進むことができるのです。
こうしたベストを尽くした生き方はあなたに自信と誇りだけでなく、人望や人脈、情報や経済的な恩恵・援助など、さまざまなものをもたらしてくれます。
その結果、周りの人たちから支えられ、あなたが全身を込めて打ち込み、そして、多くの人に愛を与えられる“天職”を授かることができるのではないでしょうか。
(完)