投影を活用する

心理学の本などを読むと、必ずと言っていいほど出てくるのが、『投影』ではないでしょうか。

とてもよく出てくる言葉なのですが、なかなか理解しにくかったり、全てを投影と捕らえることで、自分自身が苦しくなってしまうことがあるかもしれません。ポジティブな投影は、受け入れやすいのですが、ネガティブな投影は、受け入れにくいものなのです。

でも、うまく活用することで、自分の心の状態や思考パターンに気付くことがで、対人関係の改善に役立てることもできます。つきつめれば、見えるもの感じるものはすべて投影とうことになりますから、あまり深く考えすぎるとしんどくなってしまうかもしれませんので、対人関係を改善したり、自分が我慢している事を発見するツールとして利用されるといいかもしれませんね。。

◎リクエストを頂きました◎
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(一部を編集させていただいています。)
自分と関わる人、それぞれによって感じる感情は違うのですが、そのひとつひとつが自分の内面の投影ということになるのでしょうか?
例えばAさんに良い感情を持っていたら、自分の中にある肯定している要素をAさんを通して感じられ、Bさんに心地悪い感情を抱いているなら、自分の中の嫌っている要素をBさんを通して感じているということになるのでしょうか?

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『投影』という言葉は、この心理学講座でも何度も登場していますから、お馴染みの言葉かもしれませんが、なかなか理解しづらい言葉でもありますね。

投影とは、『自分の思考パターンや、心の状態を人やものに映し出すこと』なので、ある人に接して感じる感情は、全て自分の心の状態や思考パターンを映し出しているということになます。

例えばあなたが、赤色のレンズがついたサングラスで、物を見たとしたら、何を見ても赤色に見えます。
青色のレンズのサングラスだと、全てが青色に見えます。
このレンズが、投影になるのです。
ですから、同じ物を見たとしても、違う色のサングラスをした人と、あなたの見える色が違うということになります。

これを、対人関係におきかえると、ある一人の人に対して、Aさんは『素敵な人だな~』と感じ、Bさんは『なんだか苦手だな~』と感じるということになります。
Aさんは、その人に対して、自分の中にある素敵な要素を投影して見ていて、Bさんは、その人に対して、自分自身に禁止していることや、抑圧した感情を投影して見ているということになります。

同じものを見ても、違う色のサングラスだと、違う色に見えるのと同じで、同じ人に対して、人それぞれにもっている投影というサングラスを通して見ると、違う印象を受けたり、感じ方が違うということが、起こるのです。

誰かに対して『素敵だな』と思うということは、その人に対して素敵だと思う要素が何のか?と考えてみることで、あなたが持っている魅力を発見することができます。
『人に優しいところ』『笑顔が素敵』などの要素に魅力を感じて、素敵だなと感じるのであれば、あなたの魅力として『優しい心』や『素敵な笑顔』があるということになります。

その人に対して感じた『素敵な要素』が、あなたのサングラスです。
『優しい心』や『素敵な笑顔』というサングラスを、あなたが持っているからこそ、その人の『優しい心』や『素敵な笑顔』が、その人に映し出されて見えているのです。
あなたに、その要素がないのであれば、そうは見えないものなのですよ。

こういうポジティブ投影は、受け入れやすいものなのですが、誰かに対して感じる『なんだか苦手だな~』というネガティブな投影については、なかなか受け入れることが難しいものです。

ネガティブな投影についても、うまく活用すれば、対人関係を改善していく手助けになりますので、投影をうまく活用していただければと思います。

先ほどの例のように、誰かに対して『なんだか苦手だな~』と感じることは、別に悪いことではありません。
苦手な人がいることは、あたりまえのことで、悪いことではないんですね。
でも、その苦手な人が上司だったとしたら、苦手だからという理由で関係性を断ってしまうわけにはいきません。
かと言って、ずっと苦手だと感じているのも気分がいいものでは、ないですよね。
そういう時に、うまく投影を利用していただければ、対人関係が楽になっていきます。

例えば、苦手な人に対して何が苦手か?と考えた時に、『何でも人にすぐお願いするところ』が苦手だと感じたのであれば、あなたは人にお願いすることを、悪いことだと感じて抑圧しているのかもしれません。
その為、誰かにお願いすることを、自分に禁止しているのであれば、それを目の前で平気でやる人に対して、苦手だと感じても納得ですよね。
でもあなたが、『人にお願いすることは、別に悪いことではない』と思え、自分も時には、人にお願いすることがあるのであれば、その人に対して、苦手だと感じる気持ちがなくなっていきます。

あなたに『何でも人にお願いするのは、悪いことだ』と感じるサングラスがあるのです。
ですから、何でも人にお願いする人が、悪い人のように感じてしまい、そんな悪い人に自分はなりたくないと思うので、その要素(人にお願いすること)を、抑圧してしまいます。
抑圧した結果、誰にも何もお願いできなくなり、自分が我慢していることを、目の前でやる人に対して、『何だか苦手だな~』と、感じてしまうというわけです。
でも、サングラスをかけかえれば、その人に対して感じるあなたの気持ちに、変化が起こりますから、苦手だと感じる気持ちがなくなっていくというわけなのです。

こういうネガティブな投影は、なかなか受け入れにくいものなのです。
なぜなら、あなたが我慢していることを、実はあなた自身が、心のどこかでやりたいと思っているということなので、それをなかなか認めることができないからです。
ですが、なかなか発見することができない、あなたが我慢している事や、抑圧している感情を知る手がかりになりますので、うまく投影を活用してみてくださいね。

投影というのは、『自分の思考パターンや、心の状態を人やものに映し出すこと』ですから、自分の思考パターンや、心の状態に気付き、そこを変化させていくために活用していただければと思います。

つきつめていけば、見るもの感じるもの全てが投影ということになりますから、あまり深く考えすぎなくてもいいと思います。
あくまでも、自分の問題解決や、状況の変化を望むときのツールとして、投影を活用してみてはいかがでしょうか?

この記事を書いたカウンセラー

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恋愛や結婚、浮気や離婚など男女関係、対人関係やビジネス関係、家族関係や子育て、子供の反抗期、子離れ、親離れ問題など幅広いジャンルを得意とし、お客様からの支持が厚い。 女性ならではの視点と優しさ、母としての厳しさと懐の深さのあるカウンセリングが好評である。PHP研究所より3冊出版。