仕事における依存状態脱出の鍵は「もう一度貢献する」というところにあります。
とはいえ、燃え尽きた心身に鞭を打つのは逆効果。きちんと準備をしてから取り組む事で「卒業」を迎えられるのです。
今回は男女関係と仕事についてのアプローチをご紹介しましたが、この法則は他のあらゆる問題にも応用が効きます。私達の元へは乗り越えられない問題はやってきません。ですから、一つ一つ向き合う事で関係性をよりよい方向へと導く事ができるのです。
さて、「会社がイヤ」というよな、依存側の立場のまま会社を辞めたとしても、何となく負け犬のような、次の道が見つからないような感覚に追われます。
あるいは怒りにかまけて不満を持ち、そして、次の会社に向かってしまうでしょう。
だから、一旦は態勢を盛り返してから、改めて選択するのが望ましいんですね。
仕事を辞めるかどうかご相談いただいたときに「卒業する、ということがとても大切ですよ」とお伝えすることが多いんですが、それもこの意識に基づくものです。
それは何かというと、仕事の場合は、もう一度会社に貢献してみる、ということなんです。営業マンならば売上げを精一杯伸ばすよう努力してみる。自分なりにベストを尽くしてみる。
内勤だったら与えられている仕事に対して、自分なりに全力でやってみる。
これは先に紹介しました浮気の問題でいえば「自分を取り戻す」というプロセスになります。
でも、どちらの問題にしても、やはりこれは大変な作業になります。燃え尽きてしまって、もう一度頑張れ、というのは非常に酷に聞こえるでしょう。
だから、燃え尽きたり、会社に愛想を付かして辞めようと思ってる方に、そのままもう一度頑張れといってもむしろ逆効果です。
そこではまずは味方を作ってから(友人、カウンセラー、何よりもパートナーシップの後ろ盾あると強いです)、そして、感情や辛い思いをある程度解放した後に取り組むテーマです。
浮気の問題同様、ここでも人に頼ることが自立的な方には抵抗を感じるでしょう。
でも、ここを乗り越えることにより、新たなステップへと踏み出せるところですから、思い切って勇気を出してみてください。
慎重に慎重に、で構いません。「こいつ、ほんまに大丈夫かな?」という目で見てもらっても構いません。でも、その上で「よし!」と決意して、大きく息を吸って一歩踏み出しましょう。「実は聞いて欲しいことがあんねんけど・・・」と。
それと、闇雲に頑張るのも辛いですから、期間を設定したほうがやりやすいでしょう。ただ、結果が出るのは最低でも3ヶ月くらいはかかりますので、3ヶ月とか半年、1年とするのが良いようです。
そうして、その間必死に頑張ってみると、仕事はけっこう素直なところがあるので、予想以上の結果を残してくれることも多いんですね。
で、何よりも自分自身が「やるべきことをやった」という充実感や自信が生まれてくるんです。
この「自分なりに褒められるポイント」を作るのが、この3ヶ月なり半年なり頑張る目的なんです。
結果的に会社から引き止められる人材になっていることが多いんですが、周りからの評価を目的とするのではなく、あくまで自分なりの自信、充足感が大事なのです。
ここまで来れば会社に対して胸を張って接することができます。
すなわち、先ほどの浮気の事例と同様、自分自身に選択権がやってくるんです。
こういう状態になれば、今の会社(仕事)に対して、単位を余すところなく取得して卒業することができるんです。
そうすれば、同じ会社にいても、次の会社に移っても、更なる成功を手に入れやすくなるのです。
もし、このプロセスを依存のまま過ごしてしまうとすれば、それは次のプロセスにて、また同じ問題に苦しめられます。
そうすると、転職回数は増えるけれど、実績もスキルも伴わない状態になってしまいがちになるのです。
●最後に。
これは浮気、仕事の問題だけでなく、今の状態を変えて、関係性に変化をさせたい場合には、とても有効なアプローチです。
「なかなか彼ができない」という場合には「世の中の男性たち」vs「私」の自立と依存の関係と捉えてみると良いかもしれません。
家族関係でも、一般的には親が自立、子が依存の関係から始まります。だから、そういう目で見つめなおしてみると、親御さんに対してやるべきことをやって胸を張れる状態になれば、今の問題も解決し易くなるでしょう。
もし、あなたが何かとの関係性を変えて行きたい、改善したいと考えるとき、今回ご紹介した視線で見つめなおしてみると、あなた自身が今成長すべき点、あるいは、許すべき痛みが見えてくることでしょう。
また、そこで目標が確定していくと、自分自身をもっと信頼し(すなわち、自信を持ち)、問題に向き合えるようになります。
もちろん、一人で頑張るのは難しいところで、誰かに援助を求める方が効果的で、まずは、そんなサポーターを得るところが最初のステップになるかもしれません。
私達カウンセラーは「乗り越えられない問題はやってこない」と考えています。
皆さんが、今回の講座を通じて、そんな思いを新たにしていただき、どんな関係性に問題を抱えていたとしても「何とかなるんだ」という希望を抱いていただければこの上なく幸いです。
(完)