自立して男男関係に発展したパートナーシップは、今度は目に見える“争い(ケンカ)”や、“役割分担”という不可侵条約に意識を向けさせるようになります。
そのため、ますますセックスがタブーとなり、お互いの関係はとても緊張した状態になってしまうんです。そうすると、セックスレスの問題によくある“浮気”の問題が生まれ易い状態になってしまうのです。
前回は大人になって自立した関係から、男女関係がまるで“男男関係”になってしまい、セックスがタブーになる心理背景をご紹介しました。
今回はさらに自立がもたらす問題を紹介し、セックスレスの問題によくある“浮気”の問題との関連性にも触れています。
Hot WarとCold Warの状態
とはいえ、男性が女性に対して「こいつは男だ!」と意識できる場面ばかりではありません。
むしろ、男性性が強くなった女性は“パートナー以外の人”からは「すごく大人っぽくて、女性的で、色っぽい」と見られることだって少なくないくらいです。
(女性も男性性がないと芯の入った魅力、特にフェロモン、色気などのいわゆる“大人の女性的な魅力”は生まれないんですね。)
ただ、自立同士の関係では、利害関係のない相手に対しては一歩引いて客観的に見れますから、「色っぽい」「強くて素敵」「頼りになる」などの高評価も許せます。
でも、こと当事者になってしまうと心情は一変するんです。
すなわち、その「強さ」が自分に対して向けられるとなれば、話は別なんですよね。その強さに屈してしまったら、惨めだし、悔しいし、敗北感も一杯だし、感じたくない感情をいっぱい浴びなければならなくなります。
だから、無意識ではありますが、相手を否定しようとしたり、俺は偉いんだぞ、正しいんだぞ、といった主張を繰り返したりしてケンカが増えるようになります。(言わばHot War状態ですね)
あるいは大人であることを盾に、尊重しあう姿勢を装うことで、お互いに領域侵犯をしないようはっきり役割を分担しようとしたり、不可侵条約を結んでお互いの行動に干渉しないようにするなどして保守的に走ったりします。(対してCold War状態ですね)
そうして、自立はお互いを“争い(ケンカ)”、もしくは、“役割分担”に向かわせますから、そこではお互いが交じり合う“セックス”というものはタブーになっていきます。
●浮気、の芽。
こうした男女関係は、セックスレスと並んでよく問題になる「浮気・不倫」といった問題の温床になります。
自立同士でいると、変な緊張状態がパートナーシップに存在します。「争い」の状態なわけですから、わからないでもないですよね。
そうした緊張状態では、男性もその気持ちを緩めて、ホッとしたい、安心したい、という気持ちも生まれてきます。会社でもプライベートでも緊張してたら身が持たないわけです。
そんな心理のときに素人でも玄人でも、「かわいくて女の子らしい感じの子」が目の前を通ると、フッと意識を取られてしまうようになります。
これが浮気だったり、風俗だったり、夜のクラブ活動だったりするんです。
自立して競争して疲弊した心に、ある種依存的な匂いを感じさせる、そうした女性に安心感を抱いてしまうんですね。(だから、よく、パートナーと浮気相手は正反対だったりします。無いものねだりなんですよね)
ただ、もちろん、これは男性だけでなく、女性にも当てはまります。
年下のかわいい男の子に目が行くようになったり、男性から、ちやほやされたい気持ちが以前に増して強くなってくると、“女として自分を見てくれる”人に、とても心が惹かれるようになるのです。
それがやがては、いけない、と思いながらも一線を越えてしまう“浮気”に発展することも多いんですね。
そこでは多くの方が「自分がそんなことをするなんて・・・」と自分自身で戸惑うくらいの衝撃があるんです。
つまりは、それくらい「フッ」と持っていかれるという、無意識の力(=欲求)なのです。
>>>『セックスレスの心理4(3)~自立した女性が持つセックスの抑圧パターン~』に続く。