深層心理を読み解く研究は、年々その臨床例と共に進歩しています。
「わかっているけど辞められない」
「どうしていつもこうなってしまうのだろう?」
パターンが繰り返されれば繰り返されるほど、それを変えることがものすごく困難で大変なことのような感じがするものですね。
もう無理だから、見なかったことにしておこう…なんて思ってしまいます。
ほとんど諦めて放置したままの部分もあるのではないでしょうか…?
私達の全てのふるまいには、ちゃんと原因があるのです。
心の水面下では何が起きているのか?
もし、深いレベルで気付くことが出来たなら、変革はそんなに難しいことではありません。
今回は無意識からくる基本的な行動原理と、自分で深く気付くための簡単なエクササイズをご紹介します。
○リクエストを頂きました。
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とてもわかりやすく毎回楽しみにしています。
リクエストなのですが、
私は、「やらなくてもいいこと」に労力を払ってしまいます。
最近はその傾向が酷くなってきて肝心なことが手につかなくなっています。
例えば、学校の勉強でわからないことを調べ始めたら永遠終わらなくて課題が
仕上がらなくなっても、
どんどんドツボに嵌って結局何一つわからなくなってしまったり、
気分転換に荷物の整理をはじめたら、最初整理しようと思ってた範囲を越えて
家の隅々までひっくりかえしてしまいます。
馬鹿なことをやってると思いながら止められません。
何かアドバイスがありましたら簡単でもいいのでお願いしたいです。
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リクエスト、ありがとうございます。
「どんどんドツボに嵌って結局何一つわからなくなってしまう」「馬鹿なことをやっていると思いながら止められない」というご相談ですね。
「わかっているけど辞められない」「どうしていつもこうなってしまうのだろう?」
誰でも大なり小なり、そんなことありますよね。意識下では何が起きているのでしょうか?
●行動の源は感情
多くの臨床例と研究から分かったことですが、私たちは実は、『自分にどんな感情を感じさせるか』というベースを意識の深いところで先に決めておき、そこに見合う行動を『後付け』していくようなのです。
先に設定した感情やテーマを現実でリアルに感じられるように、ストーリー、脚本、演出を選択します。これは無意識層という普段抑圧している意識のレベルで行われます。
【現実に自分の身に起きていることは自分の深い意識の反映】ということですが、あまりにその物語に深くハマり込んでいるために、自分が人生をかけて演じているということにはなかなか気付けないのです。
例えば、罪悪感がメインテーマの人生物語を書いているとしましょう。
すると、罪の意識を感じるような出来事を現実に体験します。「ごめんなさい」と感じられるような現実を作るのです。
例えば、ダメだと思っているのにしょっちゅう遅刻をする、浮気をする、嘘をつく‥など、攻撃を受けやすい行為として現れます。責められる役柄が板についてくるのです。
また例えば、喪失と傷心の物語を書いているとします。
大切なものを失い、ハートが傷ついている人を演じるのですから、当然恋愛は成就しない流れになり、頑張ってきたにも関わらず大切な人に去られるような現実を体験したりします。
またあるいは、英雄や女神のような物語を書いているとします。
ヒーローや女神さま役に嵌るわけですから、すごく頑張るし、賞賛もたくさん浴びるのですが、とっても課題の多い人生になるかもしれません。
無意識に書いたストーリーは、意識化して書き換えない限り、知らず知らずのうちに人生の慢性的なパターンとして強化され、私たちはさらにその『役柄』にハマり込みます。
●どうにもならない問題が出てきたときには・・二つの問いかけをしてみる
(1)自分が一体どんな感情を体験しようとしているのか?
(2)もし分かるとしたら、その感情を感じることで、何を得ようとしているのか?(それをすることで、どんなメリットがあると思っているのか?)
この二つの質問に、思いつきでいいので、直感的に答えてみてください。
その答えは、過去の自分の失敗を埋め合わせるためであったり、誰かへの復讐であったり、あるいは何らかの観念(「人生なんてこんなもんだ」とか、「仕事とはかくあるべきだ」などの何かに対する概念)を証明するためであったり・・・と、さまざまな形をとるようです。
この質問は、何故そのような人生物語を書くと決めてしまったのか?を思い出すことが目的ですから、どんな答えが出てきても構いません。
正しいとか、間違っているとか判断をしないで、何度も聞いてみましょう。
このストーリーは、何のために存在しているのでしょうか?
ストーリーは全て作りモノです。
『自分がいかに深く嵌り込んでいたのか』に気付くと同時に深刻さがパッと消えます。
目が醒めたら、また別の物語に書き換えることが出来ます。
誰でも、生きている感じや手ごたえが欲しくて何らかのドラマに嵌るものなのですが、ドラマチックで複雑に生きるよりも、ただ単に幸せなときや無心でいられることを大切にしたいものです。
●「やりすぎ」を手放す
「やりすぎ」というのは、ある意味では完璧を求めた結果なのかもしれません。
そもそも完璧なものなど存在しないので、キリがないわけです。
完璧主義にハマってしまうと、簡単に出来ることが、大掛かりなことになってしまいます。
「まあこんなもんでいいや」というような、緩んだ感じを自分に与えることを決めましょう。「全部自分でやらなくたって、誰かが助けてくれるだろう」「なんとかなる」という感じに。
仕事、恋愛、パターン‥どんなことを手放す時でも、必要なのは、こんな緩んだエネルギーです。
「やりすぎ」に気付いたら、「ただあること」を受け入れてバランスをとりましょう。
真の完全さはそんなバランスの中で自然に見付けられるでしょう。
●瞑想的な時間を作る
静かに座って、くつろぎましょう。
平和な感覚を体感できたら、その感覚を繰り返し感じてみましょう。
何かに駆り立てられることがなくなった時、深い安堵の気持ちと共に、自分の中心と深く繋がっている感覚を思い出すことができるでしょう。
あなたがどんなことをやり始めるにせよ、まず自分自身と深く繋がっていることが、幸せな人生の秘訣です。