家族の誰かが病気になった時、生活の変化が求められます。
もし、それが入院中だけでなく、後遺症を残し、介護を必要とする病気だったら、それをどう受けとめ、どんなふうに対処していけばいいのでしょうか?
その心理に起こるジレンマと葛藤について考えていきます。
そして、退院後の介護の方向性を考える時、その心理をどのような方向性に向け、誰も犠牲にならない介護を考え、安心して信頼できる介護を受けるには、どうすればいいのか医療の現場との繋がり方もお話します。
○リクエストを頂きました○
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私は高齢の父と二人暮らしでしたが、先日、父が脳卒中で倒れてしまい、左半身麻痺となってしまいました。現在はまだ入院中ですが、退院後、在宅介護か施設介護かで悩んでいます。
本人は意識がしっかりしており、在宅を強く希望していますが、私も元々、うつ病を患っている上、フルタイムで働いており、難しい現状です。
「できるだけの介護はしてあげたい」という気持ちと「やはり無理」の葛藤があります。
そして強い罪悪感を感じています。
まだ本格的に介護がスタートしたわけではありませんが、介護からうつ病になる人も多いと思います。
どういう心の決着を着けたらいいのか、ぜひ「心理学講座」のテーマで取り上げてください。
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●病気による生活の変化
脳卒中とは、脳の血管がつまったり、破れたりして、
その先の細胞に栄養が届かなくなって、細胞が死んでしまう病気です。
多くのケースで、半身マヒや失語・視覚・感覚・情緒障害など後遺症を伴い、
このカラダの変化が、生活の変化とも大きく関係してきます。
在宅介護を希望していても、その後遺症の度合いによっては、
介護者の準備と共に、安心して暮らすために、家の改造を必要としたり、
ケースによっては、環境ごと変化する事が必要な時もあります。
● 病気による心のジレンマ
病気になると、今までの生活とのギャップを感じ、そのジレンマを
受け入れる段階が、最もきつく辛い時期と言えるかもしれません。
そして、その周囲にいる者も、
「どうして病気になってしまったのだろう?」
「あれがいけなかったのか?どうして早く気づけなかったのだろう?」
「もっと、ああしてあげれば、こうしておけば良かった」
と過去を振り返り、ジレンマによる怒りや悲しみ、悔しさ、
強い罪悪感を感じることも多いでしょう。
この段階では、葛藤が起こり始めます。
●葛藤を超えるには?
葛藤は、どちらの選択が正しいか苦渋の選択を迫られている感じを持ちます。
でも、そのどちらの答えを選択しても、上手くいかないものです。
そこで、ここでは、「健康・生きる」という方向に向かう必要があるのです。
心の地図を示すとすれば、下記のようになりになります。
今いる地点 ↓ | ||
在宅介護 | or | 施設介護 |
自宅介護をしたい | or | 自宅介護は無理 |
自分を助ける | or | 父を助ける |
□□□ | or | △△△ |
↓ 健康・生きる |
今から進んでいく方向の道に、葛藤という段階があります。
この葛藤は、両方の意識が巧みに呼びかけ、前に進むのを阻もうとします。
心と頭の中を探ってみると、もっとたくさんの項目が並ぶかもしれません。
それでも、大切なのは、この葛藤の声にとらわれない事なのです。
「健康・生きる」という、これから向かう地点に意識を向け、
その地点を目指して、進んでいく必要があるのです。
● 「健康・生きる」道へ進むには
先ずは、お父様が病気になったことを許していきましょう!
お父様が病気になったのは、誰のせいでもないのです。
病気になると、病気になる前にあったものが、
どれほど意味のあるもので、大切なモノだったか理解できるようになります。
それでも取り戻せない時間と身体。
これを感じると、誰かの何かのせいにしたくなりがちです。
それなのに、病気によって変化せざるを得ない現状があります。
そして、それを受け入れる必要がある事に目を向けざるを得ないのです。
ここで最も重要な事は、「健康・生きる」事の大切さに、
意識を向けてみる事です。
命がここに残された事の大切さを見直しましょう!
温もりを触れ合える関係性が残っている事を感じてみましょう!
これこそ、今ここに確実にある「生きる」そのものです。
次に、「健康」に関して、その道の専門家達に聞いてみましょう。
ここでは、一人で考え込まない事が最も大切です。
介護者も、心と身体を健康に保つためにケアをし、維持する事が大切です。
ぜひ、第三者である専門家に(管理看護師やケースワーカーなど)相談し、
その専門領域の知識を得て、どんどん助けを求め、
両者の望みが叶う形の介護を探してみてはいかがでしょうか?
犠牲は、誰の役にも立ちません。
犠牲は、「健康・生きる」事と反対の方向に行きます。
介護の必要な生活について、そこに関わる全ての人が「健康」で「生きる」事
を健全に受けとめられるように意識を向け続けましょう。
信頼できる専門家と一緒に未来を考え、創造していく事をお勧めします。