願望や欲求が減るというのは、言い換えると願望や欲求を持つことを自分に許すことができない状態ということができます。
前回はハートブレイクとあきらめという感情の部分から見てみましたが、今回は、無価値感と罪悪感という二つの感情に焦点を当てて、それらがどのように影響を与えて願望や欲求を持つことを自分に許せなくなっているのか?という部分を見ていきます。
前回は、欲しいものが手に入らないハートブレイクから、自分に欲しいものを持たないように禁止したり、自分には無理だとあきらめることで、願望や欲求が減ってくるというプロセスをご紹介しましたが、今回は、別の側面から願望や欲求が減ってくるというプロセスをご紹介します。
願望や欲求を持つことを自分に許せなくなる心理
「あれが欲しい」「こんなことがしたい」という願望や欲求を持つことというのは、自然な心の動きなのですが、時に、自分でそういった願望や欲求を自分に持つことを禁止してしまうことがあります。
自分の中にある願望や欲求を、わがままでいけないことのように感じていて、わがままな自分というのを嫌悪している場合、願望や欲求を感じたり、それらを持っていることに気づくだけで嫌な気分になってしまいます。
そうした嫌な気分を感じないようにする防衛的作用から、願望や欲求を持つことを禁止してしまうのです。
また、「自分に願望や欲求を持つ資格などない」と感じている時にも、同様に自分に願望や欲求を持つことを自分に許せなくなります。
大きく分けて、無価値感と罪悪感の2つの感情が「自分に願望や欲求を持つ資格などない」というふうに感じさせる原因になっています。
無価値感のラインで見ていくと、例えば、「お金持ちになって豊かな生活をしたい」というのは、多くの人が持つ願望や欲求ですよね。
ところが、自分に価値を感じられない無価値感があると、自分に感じる価値の分しか自分に与えることを許せないので、「自分がお金持ちになって豊かな生活をするなんてめっそうもない」「お金持ちで豊かな生活など別世界の話で自分には関係がない」と、「お金持ちになって豊かな生活をしたい」という願望や欲求を持つことがおこがましいことのように感じたり、「鳥のように自分の力で自由に空を飛んでみたい」というくらい、「そんなの無理無理」と感じて、望むことをしなくなります。
罪悪感のラインで見ていくと、例えば、結婚をして家庭を持って、自分は専業主婦になり、彼の収入だけで生活をしていたとしますよね。
彼の収入が、一月の生活費と同じくらいの額だったすると、その状態で、「欲しいバッグがあって、150万円なんだけど、買ってもいい?」とは、なかなか言いにくいですよね。
専業主婦で、実際にお金を稼いでいないということに罪悪感を持っていると、自分が欲しいものを買うためにお金が使えなくなってしまったり、欲しいものを欲しいと言えなくなってしまいます。
そして、「お金を稼いでいない私に、願望や欲求を持つ資格などない」と、それらを持つことを自分に禁止してしまいます。
他には、「やるべきことをやっていない罪悪感」がある時、「やるべきことをやっていない」というのが心の片隅にひっかかって、願望や欲求を満たしていっても、それをうけとれなかったり、楽しめなかったりします。
ショッピングというのは、欲しいものを買うということで願望や欲求を満たすことができるものですよね。
ストレス発散の手段としてショッピングをするという人もいます。
ショッピングを通して満たされたりすっきりしたり楽しめるといいのですが、例えば、「返事しなきゃいけないメールが一杯溜まってるな~」「部屋の片付けもしなくちゃいけないのに…」「資格取得の勉強のために本を買うお金がいるのに、このワンピース買っちゃってもいいかな!?」などと思いながらショッピングをしても、楽しくありませんよね。
「こんなことやってていいんだろうか?」と思ったりして、ショッピングをしていること自体がストレスになってしまい、楽しくないだけでなく、嫌な気分になってしまったりします。
そうすると、嫌な気分を感じないようにするために、願望や欲求を持つことを自分に禁止していきます。
このように、欲しいものが手に入らないというハートブレイク、自己嫌悪、無価値感や罪悪感といった、感じたくない感情を避けるという防衛作用から、願望や欲求を持つことを自分に禁止をすることで、願望や欲求が減ってくるのです。
また、痛みの感情を感じないようにするために感情自体を抑圧することで、願望や欲求といったものも感じられなくなってしまい、結果的に願望や欲求が減ってしまったり、無くなってしまったりします。
次回は、減ってしまった願望や欲求をもう一度取り戻すために役に立つヒントをご紹介します。
>>>次回『願望や欲求が減ってくるのはどうして?(3)~感情を感じることを取り戻そう~』に続く