「自分らしさ」の出し方・活かし方(3)~自分らしさを出した時にやってくる罠~

自分らしさを取り戻すと、これまで抑圧していた分だけ、勢いがついた状態で自分の気持ちを出したくなります。

それは主に、抑圧していたことで満たされなかったものを満たしたいという欲求になりますが、この欲求を出すことで対人関係に悪影響を及ぼしてしまう罠があります。そんな罠をご紹介すると共に、その罠をあらかじめ知っておくことで、罠に陥らないようにお役立ていただければと思います。

前々回前回と、自分らしさを失ってから自分らしさを取り戻すプロセスをご紹介しましたが、今回は、自分らしさを取り戻してそれを出していった時に陥る罠についてご紹介します。

●自分らしさを出した時にやってくる罠

自分らしさを取り戻していくというのは、抑圧されて出すことができなかった自分の気持ちを取り戻していくことになります。

その気持ちを取り戻して、自分にその気持ちを持つことに許可を出すことができると、その気持ちを出したくなります。

その気持ちの多くは「○○してほしい」「△△したい」といった、「ニーズ」と呼ばれる気持ちで、その気持ちが出口を失って、長い間満たされないままになっています。

その満たされない気持ちを満たすために、その気持ちを出したくなるのです。

そうすると、「自分を出す」となると、自分のニーズを満たすための言動や行動を取るようになってきます。

例えば、恋愛で、自分の気持ちを抑えて、彼に合わせていた女性がいるとします。
それまでは自分の気持ちを抑えて彼に合わせていたのですが、自分の気持ちを取り戻すことで、「もっと会える時間を増やして欲しい」「メールしたらすぐに返事を欲しい」といった気持ちを出していきます。

それ自体は間違ったことでも悪いことでもないのですが、それをすることで、彼との関係がギクシャクしてくることがあります。

ニーズを彼に表現して、それが彼の応えてられる範囲だといいのですが、彼が応えられる以上のニーズを彼に満たしてくれるように求めることで、彼にはそれが負担になってきます。
そして、彼がそれに応えることができないと「何でやってくれないの!?」と不満を持ち、その不満も彼に向けていきます。

そうすると、彼なりに彼女ニーズを満たそうとがんばってきた彼も不満を持ち始めます。

こうして関係がギクシャクし始めます。

彼女にとっては、今まで自分の気持ちを抑えていた分だけ、そのニーズを出したくなる気持ちが強くなったり、「私は今までこんなに我慢してたんだから…」と、そのニーズを満たしてもらうことを当然のように感じたする心の状態となります。

それはちょうど、今まで「隠す」「我慢」の方に振れていた振り子が、反対側の「出す」「求める」に向けて振れ出すようなものです。

これまで「隠す」「我慢」の位置で留まることで蓄えられたエネルギーが解放されるので、勢いがついた状態で対極のところまで振れていきます。

そうして勢いがついた状態で相手にニーズを満たすように求めると、それが時には、相手にとっては「奪われている」と感じさせてしまったりもします。

結果的に、それが「わがままだ」「自分勝手だ」という評価になってしまったり、「ついていけない」と言われ、関係がギクシャクしてしまうこととなってしまいます。

自分らしさを出していく時、ニーズの出し方や、その勢い、相手の反応などに配慮をしないと、「自分を出したから嫌われた」という、元々自分らしさを失ったプロセスの時に感じたものと同じ状況や感情を繰り返すだけではなく、それが強化されてしまうという罠に陥る危険性が高くなってしまいます。

>>>『「自分らしさ」の出し方・活かし方(4)~自分らしさを出した時の罠に陥らないために~』に続く

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