2週連続でお届けしています。今回は更に浮気や離婚の深層心理について理解を深めるとともに、その解決へのアプローチ、心の持ち方をカウンセリングの現場からお届けしたいと思います。
(lec258.浮気と離婚の問題を乗り越える~それでも幸せになれるのです(1)~ をまずはご一読下さい)
今、分かること。相手が今までいた位置に自分はいる
離婚へのレールを敷かないために、そして、自分自身を見つめるためにお勧めの着眼点があります。
不安になって焦り、早く何とかしたいと思うと、つい、相手にばかり意識が向いてしまいます。
それこそ「依存」の状態なのですが、そこから分かることもたくさんあるんですね。
依存と自立の立場がひっくり返ったということは、言い換えれば、今、あなたが感じている感情は、ついこの間までご主人が感じていた感情に他ならないということです。
もし、今のあなたの気持ちがそっくりそのままかつてのご主人の気持ちだとしたら・・・?
どんな気分になりますか?
その不安、絶望、愛されてない寂しさ、自分のことをいい加減に扱われる痛み等々。
もし「あの人は今までこんな気持ちでいたんだ」と謙虚に受け入れられたら、きっとあなたの心は不思議と平安を取り戻し始めます。
そこで罪悪感を感じてしまうこともありますが、むしろ、それは悪い事ではありません。
浮気をしている彼も今罪悪感にまみれてるはずですから(それが強すぎて自覚がまったくないこともありますが)、そこで彼と心理的な繋がりを取り戻せるからです。
またその逆を考えて見ましょう。
今のご主人の気持ちを知りたいとしたら、それは少し前までのあなた自身の気持ちを思い出せば良いことになります。
もし、この問題が勃発するまで「本当にこの人と結婚して良かったのかしら。頼りないし、嫌だわ」なんて思っていたとすると、今立場が逆転して、相手がそんな風に思っているかもしれません。
(もちろん、全く一緒というわけではありません!でも、似たようなものだと思ってみてください)
俗に「吐いた唾が戻ってくる」なんていうのですが、かつてのあなたの心境を思い出してみれば、彼の今の態度も理解できるのかもしれません。
ご主人があなたにとても冷たい言動を向けているとしたら、あなたは知らず知らずのうちに、そんな風に冷たく彼を扱ってしまったのかもしれません。
そう思えば、自分を見つめ、謙虚に、じっくり今の問題と向き合える準備もしやすくなります。
そして、今のあなたの態度が将来に対してとても重要なことがわかってきますよね。
もし、今あなたが彼に対して酷い態度を取ったり、見せしめに浮気をしてみたりすれば、それが後々あなたのところに返ってきてしまうんです。
逆に良い行いをすれば・・・?そう、きっとあなたのところにその報酬がやってくるのです。
辛くて、不安で、しんどいけれど、ここに光を見出す事は可能なのです。
今日一日の過ごし方、態度が、何週間、何ヶ月かあとの自分達に影響するという気持ちでいられたら素晴らしいですね。
カウンセリングの初期に「種を撒きましょう」というお話をさせていただくことが少なくありません。
今あなたがご主人のために、家族のために、自分自身のためにしたことが、すぐにではないものの、必ず花を咲かせ、実を実らす時期が来るということです。
そして、ただ一時だけで放っておけばいいわけでなく、水や肥料をやるように継続することが大切なんです。
種を撒いてもなかなか始めは芽は出ません。
でも、そこで諦めてしまったら、種のまま、もしくは発芽しかけたままで枯れてしまうことだってあるのです。
必ず芽は出るし、花は咲く、そう信じて続けることがとっても大切なんですね。
そこでは子ども達などの家族、友人、信頼できるカウンセラーなどの存在はとても心強いものです。
藁をも掴む気持ちなればこそ、プライドをかなぐり捨てて問題解決のために踏み出すことも大事なこと。
ご主人の前では笑っていなければならないわけですから、泣ける場所、愚痴を言える人、弱い自分を晒せるところが必要ですよね。
元々自立側に居た方は、問題を軽視したり、面倒に感じたり、いい加減にしてよ、という気分になったり、相手からすればますます興ざめする態度を示しやすいんですね。
いわば、自立時代に取っていたあなたの態度が蘇り、クビを締めつけられる時期とも言えます。
「あたし、何をやってるのかしら。もうあの人、いい加減にしてよね」
とか
「もう、どうせ浮気なんて一時のことなんだから、元に戻ってよ」
などとか、そういう思いが心を過ぎり始めたら、もう一度ふんどしを締めなおすことが大切です。
でも、そう言う風に嫌な自分、最悪な気分など、本当にしんどいものばかりを見たとしても、すべての問題は必ずその大きさに比例した恩恵をもたらしてくれます。
人生最大の悲劇は、人生最大の喜劇となるのです。
●同じパターンを繰り返さないように注意。
そんな風に問題と向き合い始めても、なかなか思うように状況が進展しないとイライラしたり、自立時代の習慣が蘇ってくる事があります。
例えば、かつてご主人に「あれをこうして、それを何とかして」など色んな注文を付けていた奥さんがいるとします。
そんな中、浮気の問題が起こり、改めてご主人への愛情に気付いた奥さんは、何とか関係をやり直したいと頑張っています。
(この愛情が無く、子どものため、経済的な都合、などの他の要素で離婚したくない場合は、やはりしんどい結果になることが少なくありませんね)
でも、何かふと張り詰めていた気が緩んだときに、やはりご主人に
「浮気をやめて帰ってきて、元通りあたしを愛してよ」
などと、まるで過去と同じように、あれこれを注文をつけてしまうんです。
そうするとやはり
「お前は何も変わってない」
ということになりますが、こういう切り出し方は相手に最悪の印象を残してしまうことが多いんです。
だから、特に言葉の使い方には注意したいところです。
でも、そんな風に色んな方のお話を伺うと、問題が架橋に入ってきたときに、
「なぜ、二人がうまく行かなかったのか?」
「なぜ、ご主人が浮気に走ったのか?」
「なぜ、離婚を切り出してくるのか?」
といった根本的な問題がわかってくることが少なくないんです。
だから、もし、解決に向けて頑張っているときこそ、相手ではなく自分を見つめることが大切になってくるんです。
相手がどうする?相手が何をする?よりも、自分の日常の中での当たり前の態度がとても大切になってくるのです。
そして、きちんと自分を見つめることが大切なのです。
●“浮気返し”は禁物。
そして、もう一つ大切な事。
この問題でカウンセリングに来られた方ほぼ全員に僕がお伝えする事は、
「離婚するまでは男作っちゃダメですよ」と。
皆さん、「それは絶対無いです。何てこと言うんですか」という反応をされるのですが、実は高い確率で、そうなる、あるいは、そうなりかけることが多いんです。
浮気の問題と向き合っていくとき、必ず自分磨きをしていきます。
魅力的になって旦那をもう一度振り向かせよう!というプロジェクトをスタートさせていくんです。
理屈や法律ではなく、情で心を動かすのが目的ですからね。小手先ではない、心の内側から自分を輝かせていくアプローチをします。
そうすると、本人が認めようが、認めまいが、確実に魅力的になっていきます。
でも、まだまだ初期の段階では旦那はそれに気付いてくれませんし、内面的な変化は服を変えるようには目に見える効果を出してくれません。
だから、自分が魅力アップしてるってことに全然気付けないんですね。(受け入れられないんです)
でも、魅力的になってることは事実だから、そこに付け入る隙が生まれてしまうんです。
しかも、旦那にそっぽ向かれて寂しいし、プライドはずたずただし、そんな時に、別の男性にアプローチされたら、すごく心が揺れてしまうと思いませんか?
「そんな出会いなんてあり得ませんもん!」
そうおっしゃる方もたくさんいましたが・・・、でも、出会う時には出会っちゃうんですよね。
数ヵ月後に「ほら、言ったでしょ?」と僕に意地悪を言われることになってたりするんです。
だから、先ほどの言動、態度に気をつける、という意味でも「浮気はしないこと」と肝に銘じておいて欲しいのです。
(そのお陰で助かりました・・・という方もたくさんいらっしゃるのは嬉しいことです。好きな人ができそうになったときに、この注意点を思い出して相談してくださり、難を逃れた(?)方も少なくありません)
●再選択~最後はあなたがもう一度選択します~
さて、辛い道のりが続くので、しんどいばかりかというとそうではありません。
魅力的になったり、自分を見つめなおしたり、多くの変化が訪れます。
そこで学ぶことといえば、本当はたった一つ。
「いかにご主人を愛するか?」
浮気している(していた)夫というのは、妻から見れば裏切り者だし、自分を傷つけた罪多き犯罪者という見方もできます。
どうしたって許せない気持ちになることだってあるでしょう。
でも、「夫ともう一度やり直したい」という気持ちは、言い換えれば「夫をもう一度愛したい」ということになるのではないでしょうか。
だから、今の最低、最悪のご主人をいかに愛するのか?が実は最大のテーマなのです。
彼のことを本当に愛することができたら、彼の前でグチグチ言わず笑顔で接しようとするでしょう。
彼が居心地が良くなるように、家の空気を保とうとするでしょう。
彼を自由にしてあげることだってできるでしょう。
でも、そんなこと言われてもそんな聖人君主にはなれないよ・・・と思われるかもしれません。
いえいえ、この問題が発生したときに、すぐに諦めたり離婚届を取りに走らなかったあなたはきっと、そんな人になりたいのではないでしょうか。
彼の笑顔のために、自分や子供達の幸せのために。
だから、そこに向かって「今の彼を愛する」ことを選択してみてはいかがでしょう。
もちろん、上手になんてできません。
でも、不器用でいいんですよ。泥臭くていいんですよ。
葛藤しながら今の彼を愛そうとすること。
それがきっと光明に繋がります。
そんな茨のようなプロセスを進まれると、最後にもう一度あなたが選択するチャンスが巡ってきます。
離婚するかどうか?の選択になる場合もありますが、実は「もう一度やり直すか?」という選択権があなたにはまだあるんです。
「え?旦那が離婚したいって言うんだし、あたしはやり直したいんだから、そんなのっておかしくないですか?」
と思われるかもしれません。
でも、多くの方のプロセスを拝見していると、最後の最後は「戻って来たい」と旦那が言い出したときに一番の苦渋を見るようです。
「本当にそれでいいのか?受け入れてもいいのか?本当にこの人でいいのか?」
変な話ですが、改めてこの人のプロポーズを承諾するのかどうか?という機会がやってくるんですよ。
始めの頃は、そんなときが来たら、すぐにYesを出しちゃうのに!と思うんですけど、いざ、その場面になってくると迷うんですね。
それは本当に幸せが手に入ってしまうという怖れでもあるし、今までの疲れや怒り、恨み辛みなどが表面に出てくるタイミングでもあります。
(迷子になった子どももすぐには泣き出さずに、お母さんの顔を見てホッとした瞬間にぎゃーっと泣き出すでしょう?それと同じで、旦那とやり直せる、と思ってホッとした瞬間に自分には信じられない感情が噴出すこともあるんです)
だから、それを見越して、「選択」や「感情の解放」を始めの頃から進めていくんですね。
そして、改めてご主人を選択できる自分へと成長してくんですね。
●それでもあなたは幸せになれます。
こういう問題は消耗戦ですし、頑張れば頑張るほど、相手を許せなくなったり、何でこんな目に合わなきゃいけないのか、と弱さが露呈してしまったり、様々な内面の問題を見せ付けられます。
それだけでも辟易するのに、相手の暴言や悪態などが重なってくると、本当に絶望してしまうことも少なくないと思うんです。
そんなときに明るい未来を描こう!とか言われても、逆に「できるわけないじゃんっ!!」と逆切れしてしまうと思います。
だから、そこで幸せなヴィジョンを描く事こそ、そこは我々の仕事だと思っているんですね。
本当に「これはもうだめなんじゃないか?」と思われる状態に陥った方が、今は夫婦仲を取り戻して子どもが生まれちゃったりしています。
笑顔で離婚して、今はまた新しい人と、素敵なパートナーシップを築いていらっしゃる方もいます。
どんな結果になるかは分かりませんが、あなたがまた心から笑えるようになることは可能なのです。
幸せだなあ~と実感できるようになることもできるのです。
そのときにはきっと、この問題が起きた事に自然と感謝すらしています。
「相手の浮気のお陰で、私は自分を見つめなおせたし、成長できたし、パートナーを本当に愛することを学んだ」と。
今は信じられないかもしれませんが・・・。