浮気と離婚の問題を乗り越える~それでも幸せになれるのです(1)~

カウンセリングの場でとてもよくお伺いする浮気と離婚の問題。

そこで起こる様々な辛い思いや葛藤は私達の人生そのものを映し出している鏡のようです。カウンセリングを通じて分かってきた解決へのアプローチと幸せになれるプロセスを2回に分けてご紹介していきます。

頂いた浮気から離婚にまつわる問題のリクエストにお答えしてみたいと思います。
ここは個人的なご相談を承る場所ではないのですが、僕がカウンセリングの中でも非常によくお聞きするテーマですので、取り上げさせていただきました。
そのため、本当にお伝えしたい事が山ほどあって、どれを紹介しようか、すごく迷いました。
そこで、これぞ重要!といえるポイントを纏めて2週連続でお送りします!

この問題に直面されている方はもちろん、今後の関係性に不安を感じていたり、予防接種のように、過去を振り返るために活用していただけると思いますので、是非、お楽しみ下さい。

 【 頂いたご相談内容(こちらで一部編集させていただいています)】

> 夫が離婚を考え、浮気していることも発覚しました。原因は私の我がまま、
> 思いやりのなさにあるといわれました。仕事の辛い時期、心の拠り所になった
> のは浮気相手で、浮気した自分が悪いが、責任は100%私にあるというのです。
> また夫に依存し、自信のない私が嫌いだとも言われました。
> 私は反省し、自分にできることを考えているのですが、私が気を遣えば遣うほど
> ストレスがたまるとも言われました。
> このように、私の人格を否定され、夫への歩みよりも拒否された場合、
> どうすれば夫はもう一度私を受け入れ、許してくれるのでしょうか。

それまで自立側にいた私(好きなことを言える、我がままを我がままと感じない、この相手でいいのかしら?とか思う、などの心理的な優位に立っている状態。依存はその逆の立場。)も、離婚や浮気などの非常に強いショックを受けると、自立と依存の立場がひっくり返ってしまいます。

文面からお察しするに以前から知らず知らずの上に奥さん(ご相談者)が自立側にいらしたようですね。
(注:自分では「依存側」だと思っていても、実際お会いしてお話を伺っていると実は「自立側」であることも少なくありません!)
それが浮気や離婚という問題をご主人から突きつけられて、立場が入れ替わってしまったような感じです。

それは晴天の霹靂だったのでしょうか。
今はとても辛い状態で、また、これからどうしたらいいのか?どういう風にしていけばいいのか?不安や怖れにどっぷり浸かってしまう状態かと思います。
自暴自棄になっていらっしゃらないことを願っています。

今までとは態度を一変させて、ご主人の顔色を伺ったりして神経をすり減らしますし、また、気を使う方も、使われる方も不慣れなものですから、ますますぎこちなくなり、家の中の空気は少し居づらい状態にあるのかもしれません。
どうしてもご主人の気持ちや態度、今の考えなど、相手のことばかり考えてしまうものですが、できれば早い段階でそれを手放して、自分自身を見つめるように方向転換していきたいところです。
そのプロセスも含めて、こうした問題の解決に向けてのサポートをご提供させていただければ、と思っています。

●罪悪感と無価値感から来る攻撃性。

こうした浮気の問題では、浮気した側(ご主人側)が「罪悪感」、された側(奥さん側)が「無価値感」を強く感じます。

罪悪感という感情はとても自分を激しく攻撃すると同時に、自分を正当化させようとする動き(すなわち、浮気したのは自分だけが悪いんじゃない、という気持ち)を起こすんですね。。
そうすると、罪悪感を感じれば感じるほど「お前が全て悪い。お前のせいだ」と100%相手に責任を押し付けるような態度に出ることもあります。
それに今まで押さえつけられてきた復讐心ともあいまって、暴力・暴言などのとても酷い状態になってしまうことも少なくありません。

特に誠実でまじめで、傍目には「この人が浮気をするなんて信じられない」という方が浮気をしてしまった場合は、罪の大きさを受け止め切れずに

「俺は悪くない」→「悪いのは妻」(むしろ、俺は被害者だ)
とか
「俺はずっと我慢してきたんだ」

という正当化はもちろん、逆に「全部俺が悪い。お前は全然悪くない」と全部背負おうとするケースもあります。
これは表向きは責任を負う言葉なのですが、その後の態度を見ると、反省している様子もないし、必ずしも言葉どおりでない場合も多いです。

そんな強い罪悪感が繰り返されると、その感覚はすっかり麻痺してしまいます。
「俺はなんて事をしているんだ。もう取り返しのつかないことをしてしまった」
という気持ちが最初は強くても、そういう自分を責める気持ちが強くなると
「今まで我慢してきたのだから、これくらいは許されてもいいはずだ」とか
「浮気なんて誰でもしていること。だからびくびくする必要なんてない」などと
正当化するようになると同時に、開き直りを見せる事もありますね。

そうすると傍目からは、とても相手が罪の意識を持っているようには見えないものです。
でも、その裏側にはすごい葛藤があり、苦しみがあるものです。
被害者の立場(無価値感側、奥さん側)に立ってしまうと、自分の権利(私は被害者だ、傷つけられた、あなたが悪い)ばかりを主張してしまって、相手のそうした痛みが分からなくなります。
むしろ、「悪いのはあなたなんだから、この私の傷を何とかしてよ」と逆に攻撃し返してしまうこともあって、一層関係・状況をややこしくしてしまうこともあるくらいですね。

確かにとても辛く、厳しく、しんどい状況を突きつけられたことは間違いありませんが、もし、やり直したい、もう一度相手を愛したいと思うのならば、自分の痛みだけでなく、相手の心にも目を向けてあげることは大切なことです。

特にここで「彼を愛したい」という動機付けはとても大切なものです。
やはり経済的な事情や子育て、世間体など様々な事情があっても、この愛情に関するものが無いともう一度始めることは一層困難を極めます。
もちろん自信はなくてもいいんです。(あったらきっと悩んだりしません!)
これから付けて行けばいいわけですからね。

浮気疑惑が浮上した、最初の段階で起こりやすいトラブルですので、是非、注意していただきたいな、と思います。
しんどいけれど、難しいけれど、先々のことを思い、自分を見失わないようにしたいものです。

●浮気の心理的な背景。浮気の力学。

実は浮気の問題というのは、深層心理では、依存側にいて苦しむご主人が放つ、一発逆転の秘策であることが多いのです。
もちろん、無意識ですから、そんな自覚はありません。

ただ、浮気相手の存在から自分自身を再発見したり、自信を取り戻したり、奥さんに対する優位性を感じられるようになったり、多くの心境の変化もあろうかと思います。
いわば、ずっと日の目を見られなかった自分が、いよいよ天下を取ったよう達成感(少し大げさですが)を感じられますから、なかなかこのポジションを手放したくはないはずです。

それは、いわば、1対1では適わない【奥さん>ご主人】ので、浮気相手を入れて【奥さん<ご主人+浮気相手】という力関係を作り出すようなものかもしれません。

卑怯といえば卑怯だし、悪いと言えば悪いのですが、一方で、それくらい奥さんの圧政に苦しんでいた・・・という見方もできるのではないでしょうか。
それくらい今までが対等でなかった、と言えるのではないでしょうか。

こうした見方をするのは、一方的に、感情的に、「浮気した側が悪い」と決め付けてしまわないためなのです。
相手を責めたり、自分の辛さを嘆いたりしてしまいがちなのですが、今までの関係を見つめなおし、現状を受け入れる上で、とても大切なことだと思うんです。
喧嘩両成敗というか、この問題を正面から向き合うときは、50/50(フィフティ・フィフティ)の意識はとても大切なのです。

●正しさの争いをしないことが大切。

こうした問題と向き合う上でとても大切なポイントがいくつかあります。
その最たるものが、「良い/悪い」「正しい/間違ってる」といった価値基準で、この問題を見つめないことなんです。
もちろん、これは出来れば離婚を避けてやり直したい、と思っている場合にのみ有効な考え方なんですけどね。

なぜかというと、ご主人に対して社会的、倫理的、法律的観点から「浮気したあんたが悪い。最低!」と決め付けてしまうとしますね。
(これは簡単なこと)

そうすると、そう断罪されたご主人側は、「もし、こいつ(奥さん)とやり直すとしたら、一生そんな風に攻め立てられるに違いない・・・」と思うのではないでしょうか。
(もちろん、男女が逆でも)

そうすると、罪を償わされそうな、自分を責めそうな相手のところに戻りたいか?そんな奥さんを愛したいか?と言われると、よほどのことがない限りはYesとは言い難くなってしまうのではないでしょうか。
だから、相手がしたことは悪い事だったとしても、それは相手も十分過ぎるほどわかっていると“信頼”し、“許す”という姿勢が大事になってくるのです。
(相手に自分を許して欲しい、と思うとき、大切なのは、自分から今の相手を許すことなのです。)

やり直した後にお互いがこの問題で苦しむことの無いように、今から準備をしていくのです。
やり直した後に許そう、とか、元の関係に戻ったら責めるのは辞めよう、とか思わないで下さいね。
本末転倒というか、そうした“条件付の許し”は相手にすぐに見限られ、ほとんど意味がないどころか逆効果になってしまいます。
今は「やり直す」までが問題なのですし、「元の関係に戻る」ことが難しくて悩んでいるわけですからね。

だから、今大切なことは「やり直せるような環境を作る」とか「彼が戻って来やすい家庭の雰囲気を作る」ということなのです。

●自分から離婚へのレールを敷かないようにしよう!

特にこういう立場の方に僕がよくお願いする点の一つは

「奥さんの方から離婚へのレールを敷かないで下さいね」

というものです。

元々自立側で夫婦関係をリードしてきたので、つい、こういう場面でも主導権を発揮して、「あんたが悪いんだから、さっさと改心して私の所に戻ってきなさい」的なアプローチを仕掛けてしまうことがあるんです。(しかも、無意識に!だから要注意なのです!!)

もちろん、はっきりそう言わなくても空気、雰囲気、言動の端々にそうした空気をにじませてしまうことはよくあります。
そうすると、旦那からすれば「そういうところが嫌で浮気したし、離婚も考えてるのに、何も変わってないじゃないか!」となって、せっかくの努力が無駄になってしまいます。

不安な分だけ、頑張って努力するのですが、今までの経緯もあって、すぐに好転することってまずありません。
そういう時に「もう、いい加減にしてよ。さっさともう終わらせて仲良くしようよ」みたいに持ち出してしまうんです。

それはますます相手を遠ざけることになってしまいますね。

この問題に限らないのですが、とてもしんどい、ショック、辛いなどの酷い感情を伴う問題には、慢性的な問題や積年の感情が背後にあります。だから、即効性を求めるよりも、長期戦を覚悟して、じっくり向き合っていく意識が必要なのです。

だから、まずはきちんと地に足を着けて、じっくり現実と向き合う準備をしましょう。
「自分をきちんと見つめる。」
「相手ではなく、自分自身。」
カウンセリングでも1回目にはこの辺のお話をさせていただくことが一番多いような気がします。
特にショックや継続的なプレッシャーで、精神的にもかなり疲れてきます。
だから、自分を無視して相手の態度ばかりに意識を向けることは、気付かない内に自分自身を相当疲弊させます。
長期戦ということは、体力勝負なところも出てくるわけで、きちんと自分の心身をケアしてあげる事は大事なのです。

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続きはこちら>>>259.浮気と離婚の問題を乗り越える~それでも幸せになれるのです(2)~

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