マリッジブルーの心理

「幸せなはず… なのに」「結婚したいって思った… はずなのに」何だか憂鬱な気分になってしまう…

そんなマリッジブルーの時に、心は何を感じているのか?を紹介します。

結婚というと、2人で育ててきたパートナーシップの集大成の象徴だったり、幸せの象徴だったりして、憧れや願望の対象となることが多いようです。
「結婚した=幸せを掴んだ」のようなイメージというとわかりやすいでしょうか。

このように、一般的に結婚というと華々しく、幸せ一杯でいい気分になるものなのですが、結婚が近づくにつれて憂鬱な気分になったり、それで相手との関係が悪くなったりすることがあります。いわゆる「マリッジブルー」と呼ばれる状態です。

では、なぜ「マリッジブルー」はやってくるのでしょうか?

●結婚が怖い!?

マリッジブルーになってしまった時に感じる感情の中で大きいのが、不安や怖れといった感情です。

まず挙げられるのが、「変化に対する怖れ」です。
これは、結婚に限らないことなのですが、人は変化を望む一方で、変化を怖れます。

初婚の方は、当たり前なのですが、今まで「結婚」を経験したことがありません。初めての経験には怖れという感情が付いてきます。

例えば、念願かなって初めて海外旅行に行くとしますよね。
今まで日本以外の国に行ったことがなくて、行ってみたいと望んで海外に行くのですが、現地に到着して空港に降り立った時、特に身の危険が迫っているわけではないのに何だか怖かったりします。
それは、ひょっとしたら、出国手続きの時にも感じることもあるでしょうし、旅行を申し込んだ時点で感じることもあるかもしれません。

このように、初めてのこと、知らないこと、経験がないことには、もれなくといっていいほどオートマチックに怖れの感情が付いてきます。

この種の不安や怖れに対しては、先程の海外旅行の例の場合だと、「怖い、 …けど、どうしてもあの国に行ってあの景色をこの目で見たい!」といった、夢や目標があると、勇気を持ってチャレンジすることができるようになります。
結婚することに関する夢や目標を再確認してみるといいでしょう。

次に挙げられるのが、結婚に関する観念が作り出す怖れです。
観念というのは「結婚とは○○だ」「結婚とは△△にちがいない」といった、「これはこうだろう」「これはこうあるべき」という考え方や思いのことです。

結婚に関してマイナスのイメージや感情を伴う観念を持っている場合には、不安や怖れが出てきます。

例えば、「結婚は人生の墓場だ」という言葉がありますよね。
これも結婚に関する観念の一つです。
もし、「結婚は人生の墓場だ」という観念を持っていたとすると、頭では「幸せになるんだ」と思っていても、心では墓場に向かう時のような感覚を感じたりします。

他にも「結婚すると自由がなくなる」「結婚すると家族や親戚の付き合いが大変だ」「嫁は旦那に仕えるものだ」などの、マイナスイメージのある観念を持っていると、「結婚=不幸」と感じることになります。
そうすると、頭では「これからもっと幸せになるんだ」と思っていても、心では「これからもっと不幸になるんだ」と感じていたとすると、不安や怖れや抵抗が出てきてしまいます。

この種の不安や怖れに対しては、観念の書き換えが必要になってきます。
いつ頃から、どうしてその観念を持つようになったのかという背景の部分を見直してみたり、その観念は真実かどうか?とか、その観念は今の自分に必要かどうか?とか、その観念は自分を幸せにするかどうか?などを検証して、必要なければ手放していきましょう。

他には、結婚して家庭を持つということに関しての不安や怖れというものもあります。

「いい奥さんになれるだろうか?」「きちんと家事をできるだろうか?」とか、「将来子供ができた時、うまく育てられるだろうか?いいお母さんになれるだろうか?」(これは妊娠・出産時に”マタニティブルー”という形で出てくることもあります)など、プレッシャーを感じて、不安や怖れが出てきます。
責任感の強いタイプの人や、完璧主義のタイプの人は、特にこの不安や怖れが大きくなってしまうようです。

この種の不安や怖れに対しては、自分が過去に、誰かに対して持った期待に目を向けてみるといいでしょう。
誰かに期待をした分だけ、自分も誰かに期待をされているように感じたり、誰かが期待に応えてくれなくて、その人を攻撃した分だけ、自分も期待に応えなければ攻撃されると感じたりします。
そういった期待を手放し、攻撃した人を許すことで、プレッシャーは少なくなっていくでしょう。

他には、「本当にこの人と結婚していいのだろうか?」という不安や怖れもあります。

この種の不安や怖れが出てくると、相手の欠点や至らないところが目について、それが原因でケンカをしてしまったりします。
不安や怖れが強い度合いだけ、大きなケンカとなって現れてきます。
どうしてケンカをしてしまうかというと、ケンカをして仲直りをすることで、再びロマンスを取り戻して「やっぱりこの人がいい」と思えるようになるからです。

その一方で、相手に対しての不安や怖れの裏側には、「こんな私でいいの?」という、自分に対する自信のなさが隠れていたりします。

「こんな私なんかが…」という無価値感を持っていると、そんな自分が相手と一生を共に過ごすのが悪いことのように感じてしまいます。
こうした無価値感や罪悪感を感じないようにするために、それを相手に転化して、「この人でいいのだろうか?」という不安や怖れを生み出していることがあります。

この種の不安や怖れに対しては、「私はこの人と共に生きる」というコミットメントと、自分の中にある無価値感や罪悪感に目を向けることが必要になってきます。
100%コミットし切れないのには、必ずそれだけの事情や理由があります。
その一つ一つに目を向け、耳を傾けていきましょう。
そして、自分の中にある無価値感や罪悪感を癒していくことで、自分に自信を持てるようになり、「こんな私でいいの?」という不安や怖れは少なくなっていきます。また、無価値感や罪悪感のために受け取れなくなってしまっていた、「相手が一生の伴侶として私を選んでくれていること」というのを受け取れるようになります。

●一番怖いのは?

様々な種類の不安や怖れを挙げましたが、潜在的に一番怖れているものは何かというと、

「幸せになること」

です。

人は、潜在的には、不幸になること以上に幸せになることを怖れていると言われています。
それにはいろいろな理由があるのですが、一例を紹介したいと思います。

ちょっと想像してみていただきたいのですが、パートナーシップもライフワークもお金も人間関係も自由な時間も、欲しいものが求める以上に手に入って、最高に幸せだったとしますよね。

その時、どんな気分になるでしょうか?

おそらく、最高にいい気分だと思います!

それでは、そんなあなたをまわりの人はどんなふうに見るでしょうか?
もしそこで、「いいわね~、あなたは。欲しいものが全部手に入って…」
「あなただけ幸せになれて、いいわね。私なんかこんなに苦労して辛い思いしているのに… ほんとにあなたはいいわね~」と言われたら、どんな気分になるでしょうか?

おそらく、先ほどまでのいい気分はどこかに飛んでいってしまうでしょう。
そして「そんなことないわよ。こう見えて大変なのよ…」と、自分が幸せになったことを申し訳なく思いながら、その人達に合わせて弁明を始めたりします。
そして、できるだけ幸せではなさそうに振る舞ったりします(笑)

このように、自分が幸せになると、まわりの人から嫉妬されたり攻撃されたりするのではないか?という不安や怖れを持つのと同時に、幸せになることに対して罪悪感を持つようになります。

極端に言うと、「幸せになって攻撃されるくらいだったら、不幸なままで攻撃されない方がまだマシだ」と、自分が幸せになることにブレーキをかけてしまいます。

では、なぜ、結婚前にこの怖れが出てくるのでしょうか?

それは、結婚することに幸せを感じていて、その幸せがすぐ側までやってきているからです。

幸せがすぐ側までやってきている時、不安や怖れは最大となります。
なぜなら「手を伸ばして掴むだけで幸せが手に入る」という状況の時に、潜在的にどのように感じるかというと、「攻撃される怖れと罪悪感が手を伸ばして掴めるくらい近くにやってきている」と感じるからです。

自分の指が核爆弾の発射スイッチと糸でつながれていて、指を少しでも動かすとスイッチが作動してしまうとしたら、怖いですよね。そして、絶対に手を動かさないように頑張りますよね。

この種の不安や怖れに対しては、自分が幸せになることを許してあげることが必要になります。そのためには、自分が幸せになることと引き換えに攻撃と罪悪感がやってくるという誤解を解く必要があります。

その誤解を解くには、自分が幸せになって心からの笑顔でいる時、その姿を見て喜んでくれる人の顔をイメージしてみましょう。
どんな人の顔が出てくるでしょうか?
パートナーや、家族や、親戚や、友達… そういった人達の顔は、あなたが幸せで笑顔でいる様子を見てどんな顔をしていますか?

その顔やその目を見て、それを感じてみましょう。

どんな感じがしますか?その人達のためにも、自分が幸せになることに許可を出せそうですか?

この誤解が解けた時、指と糸でつながれているのは、核爆弾の発射スイッチではなく、祝福のくす玉に変わるでしょう!

マリッジブルーの時に心が感じている、不安や怖れという感情に焦点を当ててきましたが、これは、心の中でも同じようなことが起こっています。

「幸せがほんとにすぐ側までやってきている、あと一歩でずっとずっと欲しかった幸せを手に入れることができる。それで、ちょっと怖くなっちゃってる」

そんなふうに「不安や怖れ」というフィルターを通してではなく、「幸せ」というフィルターを通してマリッジブルーを見てみることで、問題自体の捉え方や感じ方も変わってきます。

「不安や怖れ」と実は同時に感じている「幸せ」にも注目してみるといいかもしれませんね。

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