彼の気持ちが見えなかったり、自分に自信が無いとき、ふと相手にとって自分が「都合のいい女なんじゃないか?」という疑問に駆られます。
そんなとき、どういう風に自分を見つめたら良いのか?また、どうやってその状態を抜け出したらよいのか?をレクチャーします
遊び?それとも本気?相手の気持ちがはっきり分からないまま恋愛が続いていくと、「私って都合のいい女なのかな?」という不安・疑問が沸いて来るものです。
一般的に「都合のいい・・・」というと「女」が続くと思い勝ちですが、自立的な女性が増えてきた現代では「男」も多いのかもしれません。
そんな「都合のいい女(男)」って何だろう?という点を今日は掘り下げて見ましょう。
●どうして都合のいい女になってしまうんだろう?
私達の心には多かれ少なかれ「私なんて愛される価値などない」という無価値感があります。
自分に自信が持てない裏側にはこの感情が強く影響していると思ってもいいくらいです。
この無価値感が強く出てくると、人に嫌われないように言いたいことや自分の気持ちを我慢して相手に合わせるようになるんです。
それが「好きな人」が対象となる恋愛なら、なおのこと、ますます自分を隠してしまうようになっていくんですね。
もちろん、そんな時は相手の気持ちを確かめるのも怖いですから、「彼はきっと私のことなんて興味ないんだわ」と否定的に見てしまったり、全く逆に「彼は私がいなければどうしようもならない」と一方的に思い込むようになったりします。
こうした思いの背景には傷つくのが怖くて自分を守ろうとする心理も働いてます。
(傷つくのが怖いから、気持ちを確認するのではなく、自分で相手の気持ちを判断してしまうんですね)
そういう時は彼に怪しいところが見えて不安になっても、彼のことが好きな分だけ「気のせいだわ」と黙って見過ごそうとしたり、遠まわしな質問をして彼に不安な気持ちが伝わらずに寂しい思いをしたり、我慢に我慢を重ねて爆発してしまったり、「自分でも何やってるんだろう?」という嫌悪感が付きまといます。
こういう関係性になってしまうと、自分の中では色んな感情(好き、怖い、不安、会いたい、傍にいたい、寂しいなど)がたくさん動いていても、それがなかなか表に出てこないんですよね。
だから、相手にはあなたのその気持ちがまったく伝わらなくなるんです。
それは、まるで鎧の中に封じ込められるかのようでもあり、素顔を仮面で隠してしまっているかのような感じです。
そうして、自分の気持ちを押さえ込んだまま、相手の思うように(気を回して)動いてしまう状態が作られてしまいます。
すなわち、“都合のいい女”というのは「相手があなたのことを好き勝手に都合よく解釈している」という状態を招くことを指すのかも知れません。
(彼があなたを都合よく扱う、というよりも、(あなたの無価値感などから)自分を都合よく扱わせてる、と言えるかもしれません)
だから、彼のことが大好きで一生懸命考え、頑張っているのに「お前は気楽でええなー」とか能天気な事を言われて、傷ついてしまったりするんですね。
また、本当は彼の気持ちが信じられなくて不安でいっぱいなのに、それを出したら嫌われると思って「私は大丈夫よ」と強がった態度を示してしまうとしましょう。
そうすると、彼から見れば「お前は強い女だから、俺がいなくても生きていけるよ」と突き放されてやはりハートブレイクしてしまいます。
また、彼のことが大好きなのに、それを気付かれるのが恥ずかしくて「あたしはあんたのこと何とも思ってないから」なんて態度を取ると、「俺達はほんといいセフレだよな」なんて扱いに落ちてしまったりします。
ただ、そうした強がったり、頑張ってる場合はまだ気付きやすいんですね。
「自分は“都合のいい女”じゃないのか?」と感じる背景には、どんな事情があれ、自分のためだけでなく、相手のために我慢していることも少なくないんですね。
(だから、都合のいい女という方は人の気持ちを察することが上手だったり、木目細やかな配慮が出来る方が多いんです)
「彼もしんどい中、一生懸命頑張ってるんだから、私も少しでも彼を助けてあげたい」って気持ちで、夜中に呼び出されて単に体だけが目当てだと分かっていても、出かけてしまう女性も少なくないのです。
まるで、自分にはそれくらいしか与えられるものはないように感じて。
(娼婦マインドとか、助けたい症候群とも言えます)
でも、意識的でも無意識的でもそんな風にあなたが自分を隠してしまっている分だけ、相手の都合に振り回される機会が増え、あなたの本意とは逆方向に向かってしまうことが少なくなくなります。
そして、それがあなたの恋愛パターンとなって固定しまうと、いつしかあなた自身が恋愛をしていても「自分の気持ちが分からない」という状態に陥るのです。
(それが相手に投影されて「彼の気持ちが分からないんです」となることも多いですね)
●あなたの第一希望は何でしょうか?
そして、そういう時、あなたの本心、第一希望は常に鎧の向こう側に隠されるようになります。
例えば、本当は「今日はちょっと疲れてるから食事は軽いものがいいな」と思っても、都合のいい女になってしまうと彼が「今日は焼肉!」と言ったら、それに合わせるしかなくなります。
そうすると、自分の希望は叶えられない、どうせ報われないと諦めてしまうようになるんですね。
それは同時に自分の意志や思いを切り捨ててしまう事になります。
選択権を放棄して、自分の意志を持たないようにするんですね。(持っても叶えられないので虚しいだけだから)
でも、「本当はこうして欲しいのに・・・」という一番の思いを抑えてしまったら、自分に残るのは第二希望以下のものばかりです。
どんなに頑張って手に入れたとしても、それがどうせ二番手以下のものだとしたら、それを手に入れたいってモチベーションはとても下がってしまうと思いません?
どうでも良くなったり、諦めが早くなったりして、相手の都合の良さにさらに拍車をかけてしまうのかもしれません。
これは自分や二人の可能性を切り捨ててしまうことにもなるんですね。
パートナーシップが二人で築き上げていくものではなく、彼の一人舞台になってしまうんですね。
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こういうケースがありました。
長年付き合っていた彼が転勤になって遠くに行くことが決まったんですね。
それまでも、どちらかと言えば受身な恋愛だったのですが、そのニュースを聞いて彼女は「もう終わってしまった・・・」と感じたそうです。
長年先が見えない(結婚するかどうかもはっきりしない)状態が続いているのに、その上遠距離になってしまったら、もう自分が持たないと感じたんです。
そして、彼に付いていくなんて、きっと彼は喜ばないし、拒絶される怖さを思えば「彼の転勤先に一緒に行く」ことなど発想にすら無いことだったんです。
(それだけでも二人の関係がどんな状態だったのか窺い知れますよね?)
彼は自分の意志をはっきり言うタイプではなく、いつも“言わなくても分かるだろう?”的な態度でした。(それは恥ずかしがりやさんのパターンなんですが、もちろん彼はそんな風には見せません)
それで彼女はいつも彼の気持ちを考えて行動しなければならなかったし、機転を利かせて彼の意図を汲み取らなければならず、自分の気持ちを表現したり、通す事なんて常に後回しでした。
(ちょっと自分の意見を言っても、あっさり無視されたり拒絶されることが多く、言えなくなってしまっていたという面もあります)
友達からも家族からも「あんたは都合よく扱われてるだけ」って言われてましたし、彼女もそれは十分自覚していたんですが、かといって気持ちはコントロールできないんですよね。
もちろん、今回の転勤の際も彼は「付いて来てくれ」とか「しばらくは遠距離で頑張ろう」とか、そういう類の言葉は全く無く、予想していたこととはいえ、彼女は本当に途方に暮れてしまいました。
でも、彼女としてはとにかく彼と一緒にいたかったんですね。
でも、「彼の転勤先に付いて行って一緒に暮らしたい」という彼女の本音は、長年の「どうせ、無理だろう」というパターンに従って封印されてしまってたんです。
だから、僕が「ほんとうは付いて行きたいんじゃないのかなあ?」と言ったとき、彼女はハッと顔を上げて、すごく意外そうな顔をしました。
そして、無視されたり、拒絶されたりする怖れを乗り越えて、彼女の本当の気持ちをコミュニケーションしてみたんです。
そうすると意外や意外、彼は一緒に住むことを意外なほどあっさり同意してくれ、それがきっかけて今まで停滞していた関係が動き出したんです。
そして、転勤先に移ってしばらくした後には結婚することが決まったんです。
今まで何年も何年も停滞していたのに!
もちろん、色んな準備は要るかも知れませんが、あなたの本音をコミュニケーションしたとき、都合のいい女から抜け出して、状況が動き始めることができるんです。
●過干渉な親の影響
ただ、こうした都合のいい女になってしまう背景を掘り下げていくと、多くのケースで過干渉な親御さんの存在が出て来ることも少なくありません。
過干渉であるということは、自分の意志を持たせてもらえないということですし、怖れや不安に支配されてしまうことでもあります。
「きょうのおやつはリンゴがいい?オレンジがいい?」って聞いてくれるお母さんならば「リンゴ!」って選択できます。
でも、はじめから「今日はオレンジね!」とか「リンゴは昨日食べたでしょ?オレンジにしなさい!」って言われたら、リンゴを食べたかったあなたの気持ちは必然的に抑圧されることになります。
(だだをこねると「じゃあ、あげない。今日は何もなし!」になりますから)
そういうことが一事が万事続くと、どうせ我慢しなければならないんだからと、始めから意志を持つこと自体を辞めてしまうようになるんです。
服装や文房具、付き合う友達から進学まで、あなたが自分の意志で選択することができなかったら、人間関係においても、自分の意志が持てなかったり、気持ちを表現できなかったりするようになります。
こういう過干渉な親御さんを持つ場合には、その存在を疎ましく感じるんだけど、なぜか離れられない“癒着”の状態にある場合が少なくないんですね。
過干渉であるということは、別の面では過剰なほどに守られていて安心なんです。
だから「ウザイ」と感じても、距離を置くことが難しくなったりします。
だから、そんな親との関係を見つめ直すこと(彼との関係を良くするために、お母さんと距離を取ることが効果的な場合もあるんです!)で、よりスムーズに進む場合も少なくありません。
●都合のいい女を卒業するために。
そういう意味では深く両親との関係まで掘り下げて自分を見つめ、癒し、関係性を作り変えて行く必要がある場合も少なくありません。
でも、日常の中でもできることはいっぱいあります。
それは“きちんと自分の気持ちを見つめてあげる”、“自分の心の声をちゃんと聞いてあげる”ということです。
当たり前のこと・・・でも、難しいこと・・・ですね。
“心の言う通りにしなければならない”って訳ではありません。
心の声といっても、あなたを惑わすエゴの声も含まれます。
そうすると“彼にとっての都合のいい女”から、“エゴ”にとって都合のいい女になってしまいますから注意が必要ですね。
エゴの声なのか、真実の声なのかは、なかなか見分けは付きません。
だから、これと決め付けずに、何度も何度も自分に問い掛けてあげることが大切なのです。
例えば、『何が欲しいの?何がしたいの?』と自分に問い続けてみましょう。
すぐに答えが返ってこなくてもOK。
(もし、答えが返ってこなかったら、それくらい自分を抑えてきたことに気付けます。そこがまずは出発点ですね。)
今、あなたが何を求めてるか?何がしたいのか?
これがあなたのモチベーションを作ってくれます。
それは恋愛でもそうだけど、仕事でも、趣味でも同じですね。
第二希望以下のものだったり、あまりしたくないことをしても、私達の満足度は低く、心は満たされることはありません。
そして、自分の気持ち、本音をどんどん掘り下げていきましょう。
心、感情は地層のように何層にも積み重なっていますから、自分が思っているのとは違った気持ちが出てくることも少なくありません。
先ほどの例で紹介した彼女も、始めは「彼は私が付いて行く事をよく思わないだろう」と考えていました。
それはある意味では本音だったんですが、一方では拒絶される怖れから来るエゴの声でもあったんですね。
つまり、
「彼は私が付いていくことをよく思わないだろう」
↓
「それは彼にとっては迷惑に違いない(彼に迷惑はかけたくない)」
↓
「付いていきたいけれど拒絶されるのが怖い(もう傷つきたくない)」
↓
「本当は一緒にいたい」
と掘り下げていくことができるんです。
だから、「これが本音だ!」と決め付けるのはとても危険で、自分にその時々の本音を尋ねる癖を付けてあげるんですね。
その通り叶う事ばかりではありませんが、これが自分自身と繋がることであり、自分の心に嘘を付かずに生きる秘訣にもなるでしょう。
そうして自分自身との繋がりを深めると、地に足が着いた状態になります。
そして、相手にも、自分の気持ちにも振り回されなくて済むようになるんですね。
その結果、都合のいい女を卒業し、あなたがあなたらしい、本当の自分らしい関係性を築いていけるようになるのです。
そして、そうやって地に足の着いた、自分らしい状態でいられるようになると、相手の気持ちにも本当に配慮してあげられるから不思議です。
嫌われるのが怖くて相手に尽くすよりも、もっと深く満足感をお互いに与えられるのです。
カウンセリングでも「相手の気持ちよりは、まずは自分の気持ちを見つめよう」という提案をさせていただくことが少なくありません。
あなたも、相手の気持ちに振り回されてるな~、(恋愛だけでなく、会社との関係でも)都合よく扱われてるかも・・・なんて疑念が過ぎったら、「まずは自分の気持ち」という意識を持ってみてくださいね。