怒りの心理学2~ニーズや、無力感を押しつけていませんか?~

相手をはげますつもりが、相手をしかりつけてしまったり、喧嘩をしてしまったというご経験はございませんか?時には相手に為に怒っている場合もありますし、時には自分の感情を相手に押しつけている場合があるようです。そんな時は少し自分の感情に目を向けてみることが大切なようです。

叱咤激励(はげまし)をした結果、相手がとてもへこんでしまう。

悪気はなかったのだが、結果的にそうなってしまうということはあるものです。

叱咤激励をする時は相手をこてんぱんにして、潰してしまうことを目的にして
いるかというとそうではないと思います。

元気づけたり、やる気を引き出したり、相手に良くなってもらいたいというよ
うな目的で叱咤激励をするかと思います。

元気づけるなどの目的を達せず、へこましてしまうとか、相手を頑固にさせて
しまっている時は、少し自分を見つめなおすことが必要かもしれません。

相手の為だけではなく、少し自分のニーズや、感情をぶつけてしまっていない
かチェックしてみてはいかがでしょう?

●相手に価値を見いだしている時の怒り●

私たちは相手に価値(良いところ)を見ている時に怒りという感情が湧いてく
るようです。

えっ!価値を見いだしていると怒りが湧くの?
そう思われる人もいるかもしれません。

正確には、自分が相手に見出している価値の通り、相手が振る舞っていない
時に怒りが湧いてくる時があるようです。

例えば「俺はダメな人間だ、俺には未来は無いんだ」と言っている友人(仮
名Aさん)がいたとします。

そんなAさんを見て、『確かにダメな人間だし、あいつには未来はないよな・
・・』と思っていたとしたら怒りという感情は湧いてきません。

逆に、Aさんに『あの人は良いところがあるし、これから頑張っていって幸せ
になって欲しい・・・』そう思っていると、Aさんのネガティブな反応に対し
て怒りという感情が湧く場合があります。

「なんで、そんなこと言うの!あなたはダメじゃないし、良いところ一杯ある
じゃない、そんな未来がないなんて言わないで!」励ましを通り越して、怒り
の感情が出てくることがあります。

それは、相手に価値を見ているからこそと言えます。

だけと、その怒りの感情をぶつけ過ぎるのと、その怒りの感情に自分が飲み込
まれてしまうのには要注意してください!

前記のように、はげますつもりが、怒りをぶつけ過ぎて、へこましたり、自信
を奪ってしまうことがあるからが一つ。

もう一つは、自分が怒りに飲み込まれて「あんなやつ、もう知らない!」とい
うように自分から相手との関係を切ってしまったり、距離を空けてしまうと
いう場合があります。

こうなると励ましてあげる、自信をつけてあげる等の相手にしてあげたかった
目的は達成できなくなってしまいますから。
(怒ってはいけないわけではありません。怒り過ぎに注意ということです。)

自分が怒りをぶつけていて、それが相手の価値を見出していることから、という
ことに気づいた時は、自分が見出している価値を相手に受け取って欲しいのに
受け取って貰えないということで怒っているのだと、気づいてみましょう。

少しだけ押しつけの要素がはいっているのかもしれません。

相手が受け取れないことも認めた上で、相手の価値を伝えてあげましょう。
そう思うことができれば、怒りも少し収まるはず。

●自分への怒りを相手にぶつけている場合●

相手の助けになりたいと思っているのに、助けにならない時ってどんな感じがする
でしょうか?

無力感を抱くのではないでしょうか?
相手が大切な人だったり、助けてあげたい気持ちが強い程、比例するようにこの無
力感は強くなりやすいもの。

すると、この無力感がイライラに変わってくることがあるようです。

「どうしたの?元気だして。もっと楽しいこと考えようよ」
「ほっといてよ」
「いつまで、うじうじしているの!もう、一生そうしときなさい」

こんな風にあたってしまうことがあるようです。

表面的に見ると、相手のうじうじしているところに怒っているように見えますが
心理分析的にみると、これは相手に怒っているのではなく、自分の無力さを感じ
ることを防衛する為に相手に怒っているのか、もしくは自分の無力さを責めてい
て自分を責めるのを防衛する為に相手を責めていると分析できます。

つまり、本当の怒りの原因は相手ではなく、自分への怒りというわけです。

本当は自分へ向けていた怒りを、相手にぶつけてしまうということをしてしまう
と、少し八つ当たりチックな要素が入ってきますので、相手は自分の為に言って
くれているというよりも、ただ感情をぶつけられている感じがしてしまいます。

相手のことを思えばこそ感じている無力感なのに、そこは伝わらず表面的にでて
いる怒りの印象ばかりが伝わるのはもったいないことです。

愛や思いやりがあればこそ感じている無力感なわけですから、その愛や思いやり
が伝わらないことはもったいないことだと思います。

こんな場合は、自分への承認や、自分の相手に対しての価値を受け取るなどが要
るようです。他人から価値を見てもらうことも良い方法と思います。

愛や思いやりがきちんと伝わるようにする為に無力感を癒すことをテーマにする
のです。

「どうしたの?元気だして。もっと楽しいこと考えようよ」という気持ちを相手
が受け取れなくても、そういう善意の気持ちを向けてくれる人は、相手にとって
ありがたい存在なんだということ(自分の存在価値)を受け取ることができれば、
無力感は埋められると思います。

そうすれば無力感から、相手に当たることが無くなっていくでしょう。

●自分の感情に責任を持つ●

“自分の感情に責任を持つ”難しいことかもしれませんが、こう思うことができ
たら、相手が悪いのではなくて、自分への怒りを相手にぶつけてたんだなと認
めやすくなります。

認めることができれば、相手にあたることをしなくなっていくでしょう。

相手にあたりすぎてしまっているなと感じた時は、相手のことを思って言ってい
るのか、自分の感情をぶつけてしまっているのかを見直す時間を少しとってみて
はいかがでしょうか?

この記事を書いたカウンセラー

About Author

若年層から熟年層まで、幅広い層に支持されている、人気カウンセラー。 家族関係、恋愛、結婚、離婚、職場関係の問題などの対人関係の分野に高い支持を得る。 東京・名古屋・大阪の各地でカウンセリングや心理学ワークショップを開催。また、カウンセラー育成のトレーナーもしている。