恋のパターンを見つめてみよう~好きな人には好かれない~

私達が知らないうちに持っていて、どうしようもないとつい諦めがちなパターンがあります。

今回は「好きな人には好かれずに、そうでもない人から好かれる」パターンを見つめます。

無くて七癖といいますが、私達の行動にも癖のようなものがあり、気付かないうちにいつも同じことを繰り返してしまうことがあります。
それを心理学では“パターン”と呼びます。
それはとても気付きにくいので、ちょっと距離をおいて、自分自身やその行動を客観的に見てみないとなかなか分かりません。
でも、自分が持っているパターンに気付くと、より深く自分を見つめられたり、違う角度から自分を知ることができるので、新しい関係性やプロセスに踏み出しやすくなります。

今回はカウンセリングでもよく耳にするパターンをご紹介したいと思います。

●好きな人には好かれないのに、そうでもない人からは好かれるパターン

「私は自分が好きになった人からは好きになってもらえずに、あまり好みではないけれど、相手から好きになってくれた人とばかり付き合ってきました」
そんなパターンを持つ方によくお会いします。

そして「だから、自分から好きになることはもう諦めてしまって」いたり、「今、久しぶりに好きな人ができたんだけど、きっとダメだろう」と自信を失っている方もいらっしゃいます。

「最初はあまり興味がない人だったけれど、熱心なので渋々付き合い始めたら、だんだん私の方が相手のことを好きになり始めて・・・」
というケースもあります。
カウンセリングを使われる時は何か問題が起きた時が多いですから、その言葉の後には「でも、私が好きになればなるほど、相手の気持ちが冷めていってしまって」などと続いたりします。

なかなか思うように行かないのが恋愛ですが、好きになった人からは振り向いてもらえずに、どうでもいい人(というと失礼ですが)から好かれたりすると、あまり恋愛が楽しい、ワクワクするとは思えないかもしれませんね。

どうしてこういうパターンが生まれてしまうのでしょうか?

●緊張の影に潜む自信の無さ

「好きになった人には好かれないが、あまり好きじゃない人からは好かれる」とすると、まずは自分の「好きなものに対する態度」をチェックしてみる必要がありそうです。
というのも、私達は好きなものに対して思い入れが深すぎると、緊張したり、怖れから大切にし過ぎて壊してしまうことが良くあるからです。

シンプルな例を挙げてみましょう。
あなたの職場に大好きなAさんと、あまり恋愛対象とは言い難いBさんがいたとします。

Aさんがあなたに「これ、新しい商品のアイデアなんだけどどう思う?」と意見を求めてきたとします。
大好きなAさんが相手ですから、あなたはついつい緊張してしまい、なかなか自分の思いを表現することができません(それが仕事の話題で恋愛とは関係ないと知っていても!)。
だから、ついどぎまぎして「すいません。よく分かりません」などと答えてしまいます。
そして、その後はとても自己嫌悪するんですが、どうもうまく行きません。

一方Bさんが同じように「取引先のX社からクレームが入ったんだけどどうしたらいいだろう?」とあなたに相談を持ちかけたとします。
Aさんと違ってBさんに対しては好意がない分緊張は少ないですからリラックスしたあなたは気軽に自分の意見を表現することができるでしょう。
するとBさんは「君に意見を求めてよかったよ。助かったよ」などと喜んでくれるかもしれません。

さて、あなたに好意を持ってくれるのはAさん、Bさんのどちらでしょうか?

もちろん、健気で大人しい態度にAさんが惹かれてくれるかもしれませんが、一般的にはBさんの方があなたに行為を持ちやすいと言えるのではないでしょうか。

大好きなAさんに対しては、嫌われたくない意識や良く思われたい意識が働いて自分の行動をコントロールしようとしてしまいます。
それが緊張を招くので、自分の長所や魅力を表現することができずに相手の印象を下げてしまうことが少なくないんですよね。
心が緊張すると電球に箱をかぶせるようにあなたの輝きを隠してしまいます。
その緊張を招くのは自分自身を低く見積もっている無価値感や、自分が愛されるはずがないという観念なんです。
自分の中にそんな緊張や怖れが潜んでいないか見つめてみましょう。

実は好きなものに対しては思い入れを深くしやすい情熱的な方がこのパターンを持ちやすいようです。(でも、自分が情熱的だと気付いていない方も多いですね)

ですから、いかにリラックスできるか?がこのパターンを変えるのに重要なポイントです。
リラックスしていれば相手から魅力的に見られるんですから。
つまり、Bさんに対するように、Aさんに接することができれば良いのです。

その緊張の影にある自信のなさや、恥ずかしがりやな自分を見つめ直すなど、きっと気付いているけれどちょっと手を出すには億劫な領域に足を踏み入れてみる必要があるのかもしれません。
そして、自分が今持っている魅力をきちんと認めてあげることが大切です。

●受け取れない私~自己嫌悪や罪悪感~

また、その一方で好きな人からも好かれているのに、それを受け取れないパターンもあります。
これは自己嫌悪が強くて「私なんて愛されるはずがない」と思い込んでいたり、欲しいものを手に入れてしまう(好きな人から好かれる)ことが怖くて気付かないふりをしてしまったりするパターンです。
また、異性に罪悪感を持っていると好きな人に対して距離をとるような態度を取りやすく、全然愛情が受け取れなくなります。

好きな人に対してあまり緊張はしないんだけど、という方は、相手があなたに対して持つ好意やあなた自身の魅力を否定してしまっているのかもしれません。

例えば、先ほどの例では、あなたが好きなAさんに対しても緊張せずに自分の意見をバシバシ言えます。
でも、あなたの中に「Aさんはきっと私のことなんて好きじゃないだろう」という決め付けが先行していると(その理由は「私なんて魅力的じゃないから」など)、Aさんがあなたに対して持つ好意を徹底的に受け取らないようにしてしまいます。
食事に誘われたとしても「きっとたまたま暇だったんだわ」と感じてみたり、好意を示されれば「けっこうこの人遊び人かもしれない」と勘繰って素直になれません。
結果、やはりAさんからはあなたはよく見られなくなってしまいます。
もちろん、そういう意識的に拒否しているのではなくても、ある意味謙虚過ぎて逆効果になることも少なくないのではないでしょうか。

一方Bさんに対しては、あまり好意も無く、嫌われてもいいという許可が出ているからか、気軽に突っ込んだ話がしやすくなります。
「あたしのこと好きだとか思ってるんじゃないでしょうね?」なんて言えたり、「あたしと寝てみたいとか思う?」なんて心持ち迫ってみることもできます。
(もちろん、Bさんがそれに乗ってきたら、引くつもりでいるんですけどね)

こうして、自分の意図とは逆にAさんに対しては気付かないうちに否定的な冷たい態度を取り、Bさんに対しては好意的とも取れる態度を取ってしまうんです。

●自分の場合はどうなんだろう?

現実的にはこの二つのパターンがいくらかミックスされてる場合が多いと思いますが、無意識的なパターンが多いので、自分ではどんな態度を取っているのかが分かりにくいのが難点です。
そこで、自分はどれくらいこのパターンに当てはまるのかをチェックしてみましょう。

さて、あなたは自分が「好きなもの」をどういう風に扱っているでしょうか?
もちろん、それは人だけじゃなく、物でもそうです。

例えば、大事にしているアクセサリーやアイテムは普段どのように扱われてるでしょうか?
大事に大事に宝石箱の奥にしまわれていて滅多に使わないとすれば、あなたは大好きな人をそうして隠してしまう(遠ざけてしまう)こともあるかもしれません。
(今回で言うと先に紹介したパターンに当てはまります)
もっと実用的に扱ってみると良いかもしれませんね。
(いろんな意味で)傷つくことを怖れないようにしてみましょう。

一方で、普段から身につけてはいるけれど、あまり手入れをしたりしてないかな、という方は後のパターンに当てはまるかもしれません。
もっとそのアイテムの大切さや有難みを感じてみると良いかもしれません。

また、仕事に対してはどうでしょうか?
好きな仕事を見つけられているでしょうか?
実は「好きな人には好かれない」というパターンは「入りたい会社には蹴られてしまう」「やりたい仕事が見つからない」というパターンに繋がることもあります。
自分が望む仕事に対して現れるパターンと男女関係のパターンは不思議と符合することが少なくないんですね。

もし、あなたがこうしたパターンやそれに似たものを持っているとすれば、内面的な怖れや罪悪感を癒し、手放すのと同時に、好きなものにはきちんとそれらしい態度を取ることを目標としてみると良いかもしれません。
好きなものを好きと素直に言える勇気を自分に許可するようなイメージです。

そうして好きな人(物や仕事も)からの愛情や好意をまっすぐ受け取れるようになると、あなたが望む恋愛がまた一歩現実化していくと思います。

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