つながりは、私たちの心を癒します。
心を緩和させ、安心感を作るのです。 逆に分離状態ということが心の緊張感を作ります。心の平和を作るのに役立つ“つながり”についての心理学です。
●無意識的にリラックス●
抱き枕という商品がありますよね。
あれを、足に挟みながら手で抱っこする形で寝ると、なぜかほっとして、
寝つきが良くなりませんか?
抱き枕で無くとも、朝起きたら布団を抱いて寝ていたという経験をされた方
もいると思います。
あれは、抱き枕を抱えているかっこうが、お母さんのお腹の中にいる胎児の
かっこうと似ることから、無意識的にお母さんのお腹の中にいる時の頃の感
覚を思い出して心が落ち着くらしいのです。
自分を振りかえってみると、冬は寒いので大人しく布団をかぶって寝ていま
すが、夏なんかは、目がさめるとタオルケットなんかを抱いていることが
結構あります。
僕も知らない間に胎児の頃を思い出してるのかなぁ・・・
お母さんのお腹の中を思い出すといえば、
38℃~40℃くらいのぬるま湯にゆっくりつかるリラックス方法を
聞いたことがあります。
38℃~40℃くらいの温度というのは、羊水と同じ温度で、
無意識的にお母さんのお腹の中にいた時の感覚を思い出す為、この位の温度の
お湯につかるとリラックスしやすいそうです。
抱き枕と、ぬるま湯につかってのリラクゼーションの共通するポイントは、
無意識的に母親との繋がりを感じているというポイントにありそうです。
●“つながり”と“安心感”の心の関係●
人が一番安心感を感じる時というのは、誰かと(何かと)つながっている時だ
そうです。
だから、無意識的にですが母親とのつながりを感じられる抱き枕や、ぬるま湯
のお湯につかる方法などは、リラックスしやすいんでしょうね。
私達は、生まれる前はお母さんと繋がっています。
そして生まれた時に、お母さんと分離して生まれてきます。
その分離する時に不安という感情を覚えるそうです。
だから私達は、分離することに不安を感じ、繋がっているということに安心感を
覚えるのです。
赤ちゃんの時は、泣いているとお母さん(お父さん)がとんできて、抱っこを
してくれます。
そうすると、さっきまで泣いていた赤ちゃんが泣きやみます。
お母さん(お父さん)とつながるので安心感を持つんですね。
こういう、親とつながることで安心感を得ようとする行動は、幼いころは、
当たり前のように行われます。
例えば・・・・
赤ちゃんから少し成長して幼児になると、手足が発達して行動範囲が広がって
いきますね。
三輪車というマイカーなんか持ち始めると、今までお母さんの側を離れなかっ
た子供が行動範囲を広げていきます。
公園に行くと、お母さんの側を少し離れて遊んだりするんです。
(少し離れてといっても、たいていは親から見て目の届く範囲ですが)
でも、お母さんから離れると不安になること、怖いことがいっぱいあるんです。
公園で散歩中の犬なんか見たりすると、犬を怖がる子供なんかは、とっても
不安な気持ちになります。
そうすると、お母さんの元へ、ピューと飛んで帰るんです。
「ママ、ワンワン(犬のこと)怖いー(泣)」という感じで飛んで行きます。
そして、お母さんとピタッとくっつくことで、不安感を安心感に変えていきます。
繋がることで、安心感を作るのです。
テレビ番組の初めてのお使いなんかを見ると、頑張ってお使いをしてきた子が、
お使いから帰り、お母さんの顔を見た途端、ほっとして泣き出すことがありま
すね。
あれは、顔を見ることでお母さんとの繋がりを感じて、安心感が出てくるから
泣き出すんですよね。
これは、つながりと安心感という心の仕組みの分かりやすい例だと思います。
●分離と許し●
自我が芽生え自分の意思が強くなると、親への不満や、怒りがでてきます。
反抗期なんかは、特に不満や、怒りが出て来て親に反抗しますよね。
「ママ(パパ)なんか大嫌い!(怒)」
そうして、親に怒りや恨み辛みなんかを持つと、親との心理的距離を作ります。
親との心理的距離を作るということは、繋がりと反対の心理状態(分離状態)
を作るということなんですね。
そうすると、心理的距離を作った度合いだけ、安心感という心理から遠ざかっ
てしまいます。
例えば、「ママ(パパ)なんか大嫌い!(怒)」と言った後に、
「ママ、ワンワン怖いー(泣)」とお母さんとピタッとくっつくことは、
ちょっとやりにくいですよね。
心の距離が開いた分だけ、安心感を得れなくなっていくのです。
すると、神経が緊張しても、「ほっ」と緩和することができなくなっていきます。
緊張ばかり高まり、緩和できないと、
寝られなくなったり、心が平和の状態から程遠い状態でいつも過ごすようになり
ます。
人との心理的距離を空けた分だけ、安心感を得られなくなってしまいます。
怒りや、うらみつらみは、人との距離を空けていきます。
誰かに怒っている時は、怒っている対称の人の為ではなく、
自分の人との心理的な距離が縮まっている構図を心に作る為に(安心感に満ちた
心理状態を作る為)に人を許すことをテーマとされるといいでしょう。
直接怒っている対象の人や社会との関係が人との距離を及ぼしている場合もあり
ますし、親などに怒っていて、その親を職場の人間関係に投影していることで、
対人関係の距離に影響していることもあります。
誰かを許すことで、心理的な繋がりを取り戻せます。
極端な例えですが、
「ママ(パパ)なんか大嫌い!(怒)」と思っている最中に、
「ママ、ワンワン怖いー(泣)」よりも、怒っている相手を許した後の方が、
「ママ、ワンワン怖いー(泣)」と繋がりに行きやすいと思いませんか?
●つながること●
私達は誰かとの関係で、傷ついた度合いだけ自立して行きます。
自立すると、さみしさや、孤独感を感じても、不安感を抱いても、一人で抱え
てしまいがちになります。
人によっては、その感情に耐える力を磨こうとします。
繋がりの中で安心感をもらおうとしないんです。
すると心の緊張ばかり高まり緩和できなくなってしまうんですね。
さみしさや、孤独感を感じた時、不安感を抱いた時は、つながりを求めること
(つながりを作っていくこと)をテーマにされてみてください。
人との心の繋がりが、私達の心を癒し安心感をもたらしてくれます。
自立していると、それに耐える力を磨こうとしがちですが、
心の仕組みとしては、つながりを感じることが大切なのです。
私達がカウンセリングや、ワークショップで、人との繋がりを大切にするのも、
人との繋がりが心を癒すからなんですね。
世のヒット商品なんかを見ていると、つながりがキーワードになっているもの
が結構多いですねよ。
それほど、私達にとって繋がりは大切なものだし、求めているものではないで
しょうか?