愛情のつもりで与えたものが、犠牲的になってしまったがために逆に罪悪感を与えてしまうことがあります。
例え話を交えながら愛と犠牲、リーダーシップを紹介します。
愛情のつもりで与えたものが、逆に罪悪感を与えてしまうことがよくあります。
また、ビジネスやグループでのリーダーシップという点でも、ついつい犠牲をし、周りのメンバーに対してそうした感情を与えてしまうことも少なくないんですね。
頑張って周りに模範を示すことも大切ですが、大事なことを忘れてしまうと孤立してしまったりするものです。
今回はそんな愛情と犠牲、罪悪感についてのお話をカウンセリングやワークショップで使う例え話にてご紹介させていただきます。
●あるホームパーティで・・・。
ちょっと想像してくださいね・・・。
あなたが友達や色々とお世話になった人たちを集めてホームパーティを開きます。
あなたは美味しいスープを大きなお鍋にたくさんたくさん作って皆に振舞うんです。
皆はそれを「おいしいなあ」「めっちゃうまいなあ」と言いながらたくさん食べてくれます。
もちろん、その場には笑顔がいっぱい溢れていて、あなたもみんなも本当に気持ちが良いんです。
誰かのスープ皿が空になったら、あなたは「もっと食べろよ」と言いながら、次々みんなに食べさせます。
そして、小一時間が過ぎ、参加者みんなのお腹が満たされて、幸せそうに皆が寛いでいるのをあなたはどんな気持ちで見ているでしょう?
みんなは口々にあなたに感謝の気持ちを伝えてくれます。
それをあなたはどんな気持ちで受け取るでしょうか?
でも、そこで突然、あなたのお腹がグーッと音を立てます。
「あっ」と気付いたときにはもう遅し、残念ながら皆がその音を聞いてしまいました。
もちろん、恥ずかしいことこの上なしです。
でも、皆は今度はどんな目であなたを見ているでしょうか?
「え?お前、食べていなかったん?」
まさか、みんながあなたが食べてないとは思ってなかったんですね。
あれだけたくさんの量のスープがあったのですから。
さっきまで笑顔でいた皆は途端に静まり、あなたに対してとても申し訳なさそうな表情になってしまいました。
●本当に与えたかったものと実際に与えたもの
あなたは皆の笑顔が見たくて、このホームパーティを企画したのかもしれません。
皆を喜ばせてあげたい、幸せな気持ちを味あわせてあげたい、感謝の気持ちを伝えたい、そんな思いがあったことでしょう。
そして、半ばその目的は達成されました。
みんなはお腹いっぱいあなたの作ったスープを口にし、幸せいっぱいの笑顔を見せてくれていました。
でも、あなたが食べてないことをみんなが知った瞬間、その感謝の気持ちは罪悪感に変わってしまいます。
「ありがとう」
が一瞬で
「申し訳ない」
に変わってしまうのです。
あなたもみんなの罪悪感を浮かべた表情によって幸せな気持ちは吹っ飛んでしまったことでしょう。
愛を与えたかったのに、結果的に罪悪感を与えてしまったみたいです。
●“受け取ること”がリーダーシップ
どうしてそんなことが起きてしまったのでしょうか?
今回のお話は例え話ですが、こういうことは良くお母さんや面倒見のいい兄貴分がやってしまいます。
「俺はいいから、お前ら食え」
なんて人情モノもありますね。
夢を追う人の心を掻き立てる物語りもたくさんあって、それはある意味では“与える人”であり“良きリーダーシップ”として受け止められる事も少なくありません。
でも、それが本当にあなたが考えていた幸せを作り出すとは限らないんですね。
あなたが受け取っていないと、愛も犠牲に早変わりしてしまい、感謝が罪悪感へと変わってしまうんです。
だから、受け取ることというのはリーダーシップを取る上で不可欠な要素になるんですね。
すなわち、スープがそんなにたくさんあるのならば、皆の皿に配ると同時に自分の皿に山盛り入れて
「うまいな~!俺って天才ちゃうかな~?お前もそう思わへん?」
と受け取る形のリーダーシップもあるんです。
そうすると周りの皆も「じゃあ、頂きま~す!!」と遠慮せず、受け取りやすくなりますね。
そして、また笑顔の輪が大きく広がっていくと思いませんか?
仕事でも何でも、まず、リーダーが受け取ることはとても大切なんです。
そうしないと後からついてくるメンバー達は常に心のどこかで罪悪感を感じてしまいます。
一方リーダーの心の中には犠牲により抑圧されたニーズが溜まっていきます。
その結果「俺がこれだけしてやってるのにお前らは何もしない・・・」という不満になったりするんですね。
ビジネスやグループなどのリーダーもそうした犠牲を美徳とすることが少なくありません。
仕事でもプライベートでもリーダーになることを強く怖れる方も少なくないと思います。
それには様々な理由がありますが、“損する”“犠牲”“我慢”そんなイメージからリーダーを遠ざける人も少なくないと思うんですね。
リーダーというのは“得”で、“愛”や“感謝”がいっぱいあるものと思えたら、もっと多くの人たちがリーダーになりたいと思うのではないでしょうか。
●恋愛編
恋愛でもこういうことって起こるんですよ。
例えば、彼女に「お前が食べたいものを食べに行こう。俺、奢るから」ってカッコつけたとします。
でも、じゃあ、彼女が「やったー!!じゃあ、お寿司!お寿司が食べたいわ!」と言ったら、口では「お、おぉ、いいなー」と言いながら、表情は思い切り「No!!」を語ってるってことありません?
その勢いで寿司屋さんに行ったとしても、あなたの頭の中はお勘定のことでいっぱいになってしまうかもしれません。
そしたら、せっかく彼女を喜ばせようと思って「何でも好きなもの食いに行こう!」と言ったのに、あなたはとても辛い気持ちを味わうことになってしまいます。
これが“犠牲”なんですね。
これはもちろん彼女にとっても同じこと。
何でもいいって言うから「寿司!」って答えたのに、犠牲している彼の態度を見ているうちにだんだん楽しく無くなってしまいます。
そして、「私が我がまま言ったからかな・・・」とか「やっぱりラーメンって言った方が良かったのかしら・・・」とか悩み始めるかもしれません。
あなたは彼女に愛を与えたかったのに、犠牲的な態度がそれを罪悪感に変えてしまうんですね。
寿司を「うまいなあ!!中トロ、もういっちょ握ったって!!」と彼女以上に受け取るか、最初から「ごめん。廻ってる寿司でもええ?」と素直になるかが求められるところです。
●本当に与えたいものは?
皆の幸せな笑顔が見たい。
チームの皆を感激させたい。
彼女を喜ばせてあげたい。
そんな気持ちになれたことはとても素晴らしいことです。
待ってしまうばかりで与えることを忘れてしまう人もいますよね。
でも、そこで、本当にあなたが与えたいものは何か?を見つめ直すことが改めて今必要みたいです。
みんなを本当にお腹いっぱいにしてあげたかったら、自分も受け取ることが本当に大切なんですね。
カッコつけるだけじゃなく、本当に喜ばせてあげたい!って思いにコミットメントする(改めて決心する)のです。
あなたが本当に与えたいものにコミットメントすると、自然と受け取らなきゃいけないものが増えていきます。
でも、あなたが受け取った分だけ、またみんなに与えていくことができるんですね。
ある程度まではただ与えるだけでも良いかもしれません。
でも、財布の中身が空になってしまうと何も与えられませんよね。
あなたが本当に与えたいものを与えられるために、まずは今のあなたにとっての“スープ”とは何か?を考えてみてはいかがでしょうか?