理想のパートナーに求める条件などから、自分の今を知り、隠れた魅力・価値を知るエクササイズです。
心理学的な見方を通じて、自分をより深く見つめる講座です。
今回は少し趣向を変えて、エクササイズ風に、また、心理テスト風に楽しんでいただける内容にしてみました。
このテーマでワークショップを開催させていただきまして、そこから分かったこと、また、そこで伝えたかったことを改めて心理学講座として纏めさせていただきました。
パートナーシップというのは1対1の人間関係を表します。
言わば対人関係の最小単位と言えるわけで、男女関係だけでなく、会社の人間関係、親子関係、友人関係などあらゆるジャンルの基本となる関係性です。
私達は全員、最初はお腹の中で母との1対1の関係からスタートしていますから、お母さんのお腹の中に宿ったときからスタートしている関係性でもあるんですよ。
その1対1の関係が広がって1対2、1対3などの自分と他者との関係が生まれるわけです。
ですから、皆さんが考えやすいように「男女関係」と軸にしていますが、そこから幅を広げてあなた自身の対人関係全般を見つめなおす役に立てばありがたいです。
まず、僕の方から問いかけをさせていただきます。
少し時間をかけてもいいですから、実際にやってみてください。
その後に解説を付けています。
それぞれの問いかけに対して「問題としての見方」「価値としての見方」を掲載しています。
あらゆるモノに「良い面」「悪い面」があるように、問題、価値としての両面から見つめられるように。
その時、自己嫌悪が強い方は「問題」の方に意識を取られやすいので、できるだけ「価値」の方に比重を置いてみてましょう。
自信過剰だったり、特別意識が強い方は、逆に「価値」の方しか目に入らず、「問題」の方には反発を感じるかもしれません。
それぞれに自分を見つめる切り口に役立てば嬉しいです。
~~~~~~~~~~~~~~ エクササイズ ~~~~~~~~~~~~~~
(1)あなたの理想のパートナー像は? あなたが自分のパートナーに求める理想像はどのようなものでしょうか? 優しさ、経済的な安定、セックスの相性、理解しあえる関係、など、 人それぞれたくさんの要素が出てくると思います。 どんな細かいことでもいいので、これを20個探してみましょう。 (2)あなたの理想のパートナーシップは? (3)あなたがパートナーに与えたいものは? (4)あなたがパートナーから受け取りたいものは? |
~~~~~~~~~~~~~~ 解 説 編 ~~~~~~~~~~~~~~
●エクササイズの持つ意味~そこから分かる自分のパターン
こうしたエクササイズはその内容も大切なのですが、そのエクササイズに向かう姿勢や自分の心に起こる反応なども重要なポイントとなります。
どうしても「問題」の方に目が行ってしまい、気になるし、自己嫌悪してしまう・・・としたら、それが今のあなたを苦しめているパターンそのものかもしれません。
また、エクササイズをやる前に、解説編を読まれてしまう方も多いでしょう。
(ドキッとしました?(笑))
もちろん、それも僕からすれば“想定内”でして(笑)、そうして答えを先に知りたくなるのが自分のパターンなんだなー、と気付いてもらえたら嬉しいです。
“結果重視”になったり、不安が強かったりすると、先に答えを読みたくなるものですから。
パターンというのは「気付く」ことが何よりも重要でして、多くの問題は「気付く」ことが出発点になります。
周りから見れば「その彼おかしいよー」って言われても、自分がそう思わなければ「問題」として取り組むことにはならないですものね。
パターンというのは、癖のように自分の中では当たり前になっているものですから、気付いて初めて変えていくチャンスが与えられるものです。
*
それぞれの問いかけには“20個集めてみましょう”って書いてあります。
そこでも自分のパターンを知ることができるんですね。
「ああ、そんなん無理やわー」と思う方もいらっしゃれば、
「よっしゃ、やってみよう!」とおもむろにメモ用紙にザクザク書き出す方もいらっしゃるでしょう。
あるいは「まあ、どんなもんかな?」ととりあえず2,3分考えてみる方も少なくないと思います。
このエクササイズに対してだけでなく、問題に対して、仕事に対して、対人関係で、同じようなところってないでしょうか?
因みに20個という数字には「簡単には集まらないけれど、めちゃくちゃ多くない程度」という意味を込めています。
(1)あなたの理想のパートナー像は?
○問題としての見方:
あなたがパートナーに求める要素からは、別の見方をすれば、あなたが今までもらえなかったもののリストでもあります。
例えば、お父さんがぜんぜん優しくなかったとしたら、あなたはパートナーに「優しさ」を求めるようになる確率が高くなるでしょう。
でも、意識的には“お父さんがくれなかった”という気持ちはあまり感じないことが多いんですね。
なぜならば、優しくして欲しいと思っていても手に入らなかったし、お父さんは与えてくれなかったわけですから、そこであなたは自立します。
「もう優しさなんて求めない」と。
だから、意識レベルでは「そんなの欲しくない」と思うのですが、潜在意識に抑圧された欲求はそのまま残りますから、相手に求めるようになるのです。
○価値としての見方:
このリストは、あなたがパートナーに対して“与えられるもの”のリストです。
なぜかというと、悪いものをわざわざパートナーに求めることはしないですよね?
だから、あなたがリストアップしてくれた要素が「良いもの」ということを、あなたは知っているはずです。
良いものであることを知っているということは、あなたがそれを誰かに与えたことがあることを表しています。
例えば、あなたがパートナーに「強さ」を求めるとすると、あなたは「強さ」が良いものであることを知っているんですよね。
(でも、あなたのパートナーはそれを知っているかどうかは実は分かりません。これは重要なポイントですよ。)
なぜ、良いものであることを知っているのでしょう?
それはあなた自身が手に入れたことがあるものではないでしょうか?
例えば、あなたは強くなろうと色々頑張ってきた過去があるのかもしれませんし、その「強さ」を持った人の近くにいて、あなたはその有難みを享受してきたのかもしれません。
もし、ここにリストアップされているものに自信が持てないとしたら、自分の価値、魅力を受け取れていないか、あるいは、受け取っているけれど表現できていないかのどちらかではないでしょうか?
改めて、そのリストが自分自身の隠れた価値、才能を現しているという目で見つめ直してみましょう。
信じられないかもしれませんが、案外真実を突いていると思います。
(2)あなたの理想のパートナーシップは?
○問題としての見方:
あなたがパートナーと共に創っていきたいこれらの要素は、同時にあなたが今までの関係性で手に入れられなかった痛みを示唆しています。
例えば、「何でも話ができる関係」を求めているあなたがいるとしたら、それはコミュニケーションが上手く取れなかった関係性が過去にあり、その痛みが今にも引き継がれていることを想像させてくれます。
自分を癒すという観点から見れば、この過去の関係に立ち返り、今更ながら振りかえってみることが有効です。
その関係でどのような痛みを負ったんだろう?
何を与えられず、何を受け取れなかったんだろう?
今、その相手を許すことはできているのだろうか?
そんな視点が役立つと思います。
○価値としての見方:
このリストは、あなたがパートナーとの間に築いていくことができる関係性を表します。
それを築く才能、能力、資格、価値が自分自身にあるということです。
先の「問題」としての見方に引き込まれると、ここでは自分にはそんな力はないように感じてしまいます。
でも、それらが、あなたが良い関係を築くために大切なものだと強く思っているとしたら、あなたには、それを創り出す才能がある何よりの証拠なのです。
もし、自信を失っているあなたがいるのならば、問題としての見方に立ち返り、そして、改めて自分自身を振り返ってみましょう。
そうすることで、これらを“自分が与えられるもの”として、また、自信や希望として見つめられるのではないでしょうか?
(3)あなたがパートナーに与えたいものは?
※あなたが自立している分だけ、この要素は(4)に比べてたくさん出てきます。
○問題としての見方:
あなたの無力感がそこに隠れているのかもしれません。
かつて、この要素を誰かに与えたかったのに与えられなかった・・・。
その痛みから自分自身を見失っている自分がいるのかもしれません。
あるいは、それを受け取ってもらえなかった痛みも、そこに現れるかもしれません。
大好きな彼にプレゼントしたのに、それを拒絶されたような痛みです。
そうしたら“与えたいけれど与えられないもの”として心の中では認識されるようになります。
そんな与えられなかった痛みにもう一度向き合ってみるときです。
そして、そこで自分を傷つけた誰かを、許してあげるときですね。
○価値としての見方:
このリスト、そのものがあなたの魅力であり、価値を表します。
あなたにはこれらの要素を与えられるだけの力があり、また、才能があることを受け取ってみましょう。
そして、それを実際にできる範囲から与えるチャレンジをしてみると有効です。
(実際に誰かに“与えてみる”というチャレンジです)
もし、パートナーがいない時は、家族や友人、同僚などに少しずつお裾分けするような気持ちで与えてみましょう。
自分に自信をより感じられるようになっていくのではないでしょうか。
(4)あなたがパートナーから受け取りたいものは?
※あなたが依存的である分だけ、(4)に比べてこの要素は多くなります。
でも、もし同じくらいの数だけが浮かぶとすれば、あなたは相互依存、対等なパートナーシップを受け取る準備ができていることを表しています。
○問題としての見方:
今までの見方と同様、あなたがかつて、欲しかったのに手に入らなかった痛みを表しています。
(1)の理想のパートナーに結びつく要素が多くなるかもしれません。
また、その一方で、あなたが罪悪感や無価値感などに邪魔されて、かつて与えてくれていたのに受け取れなかった痛みも表しています。
優しい彼と、かつてお付き合いしていたのに、その優しさを私がぜんぜん受け取れなかったとしたら、次こそはその優しさを受け取ってあげたいと思うでしょう。
これは受け取ると同時に与える行為にもなる素敵な心がけですが、同時に痛みの分だけ、自分自身に受け取る許可を出しにくくなってしまいます。
○価値としての見方:
あなたが幸せになるために“ただ受け取るだけで良い”要素を表します。
つまり、それは今現在もパートナーだけでなく、家族や友人などからも与えられている要素であることが多いんです。
人それぞれ愛し方があり、その表現は様々です。
ここでは、周りの人たちがこの要素を十分に与えてくれている・・・という前提で改めて彼らを見つめなおしてみることをお薦めします。
きっと新たな気付きと成長が得られることと思います。
また、あなたが受け取りたいもののリストは同時にあなたが与えられる要素でもあります。
それはあなたがその要素にきちんと価値をみて、大切なもの、良いものであることを知っているからです。
(2)の解説と同じものですね。
でも、あなたのパートナーがそれが良いものとは知らないこともあります。
例えば、あなたはパートナーから安心感を受け取りたいと思っているとしたら、あなたは安心感の良さ、すばらしさを知っています。
でも、パートナーが今まで嵐のような人生を生き抜いてきた方だとしたら、彼(女)は、安心感なんてものがあるとは信じられなくなります。
だから、そこはあなたがたくさんの安心感を与えてあげようとすることが大切なのです。
そんな風に、あなたはそれが良いものであることを教えてあげる意識(与える意識)がとても重要になってきます。
受け取りたいものを与えることで、関係性は大きく変わっていきます。
●まとめ
いかがでしたでしょうか?
問題としての見方は「過去の痛み」を表し、価値としての見方は「自分の価値や魅力」を表しているというのは、すぐには受け入れ難いものかもしれません。
(特に後者が)
ワークショップのグループ実習で同じような問いを投げかけさせて頂いたんですね。
その際、自分自身はそうは思わないのに、一緒に実習をしていた同じグループの人には「ああ、そんな魅力持っていそうな感じがする」と見える要素がたくさんあることも分かってきたんです。
改めて「自分の魅力は自分ではなかなか分からないものなんだな」と感じたものです。
大人になればなるほど、承認される機会は減っていきます。
そうするといつしか、自分の魅力は当たり前のものになって認め難くなり、欠点や問題点ばかりがクローズアップされるようになっていることがとても多いんですね。
ですから、皆さん自身が気付かない価値や魅力に気付いていただければ、と今回の講座を提供させていただきました。