キャリア(仕事)関係の問題をカウンセリングで覗いていくと、ちらり、ちらり、 とお父さんの影が見え隠れすることが・・・。
父親との関係で芽生えた権威との葛藤が及ぼす影響と、カウンセリングの現場で実際に使われている解決方法をご紹介します。
カウンセリングで、キャリア(仕事)関係での問題を聞かせていただいた時に、
でてくるテーマの一つに権威との葛藤というテーマがあります。
上司(権威者)が何らかの形で気になってしまうようなテーマです。
例えば、上司に怒られるんじゃないかという感覚が常に付きまとったり、
上司が言うことにカチンっと、むかっ腹がたちやすかったり、
上司に認められたいという思いが、強くなり自分の意見をだしにくくなる等、
なんらかの形で、上司との関係が絡んでくるような問題です。
この上司との関係の問題が、なぜおこっているのか原因を、紐解いていくと、
家族関係に、ルーツがあったということに、行き着くことは、少なくありません。
とりわけ、父親との関係が絡んでくることが多いです。
家族の役割では、父親は権威、力、与える、的な象徴になることが多く、
母親は、慈愛、つつみこむ、受け取る、的な象徴になることが多いようです。
その為、キャリアの問題では、上司、先輩、先生などの権威者に、父親を投影することが多くなります。
とりわけ、会社なんかでは、上司は、男性であることが多いことから、
父親を投影しやすいようです。
そして、父親を投影する権威という要素を、権威者に見るようになります。
すると、怒りという感情が刺激されやすくなったり、
怖いという感情が刺激されやすくなったり、認められたいという感情が刺激さ
れやすくなったりと、父親に対して持っている感情がでやすくなります。
そのでてくる感情は、上司、先輩、先生などの向けられた相手との、
人間関係に影響してきます。
仕事に関係する人間関係ですから、キャリア上の問題にかかわってくるように
なります。
例えば、上司に対して怒られるんじゃないか気持ちが出やすい方は、
上司に近づきにくくなる傾向がでるようです。
そりゃあ、そうです。僕たち、怒られたり、文句を言われたくありませんもの。
すると、定時後なんかに「部長、今日飲みに行きませんか」なんて気軽に声をかけにくくなりますね。
こういう形で、権威者に持つ感情が、接し方に現れるようになります。
その接し方の違いから、権威から可愛がられない存在になったり、
権威から疎まれる存在になったりします。
逆に、権威との葛藤がない場合は、権威に近づくことに抵抗感がないので、
権威に可愛がられる存在になったりします。
権威に可愛がられる存在になることができると、権威(上司、先輩)が、
サポートをしてくれるので、キャリア上の成功を収めやすくなります。
上司の推薦を受けての出世なんかは、わかりやすい例ですね。
偉い人の抜擢を受けて、出版、出演という形の成功もわかりやすい例と思います。
逆に、実力が十二分にあるのに、上司から疎まれて、キャリアの成功から、
遠のく人もいます。
キャリアの問題に関しては、父親との関係が起因することが多いですが、
家族の中の権威者が母親だった場合は、母親との問題が起因する場合もあります。
カウンセリングでは、このような問題の場合は、父親(権威の象徴)に持っている
感情を見つける作業を行い、父親に持っている感情に気づき、その感情を解きほぐ
していくことで、実際の上司などに、でてくる感情的な問題の解決をしていきます。
●権威者を恐れるケース●
上司などの権威者に対して恐れの感情を抱きやすいタイプの方を、
カウンセリングしていくと、父親が怖かったという感情を持っている方が
少なくありません。
父親は基本的に優しかったが、怒ると怖かったという場合も、
権威への恐れという感情をいだいてしまう場合もあります。
また、大きくなってから父親は怖くなくなったが、幼い頃は、怖かった
という場合も、権威への恐れがでてくることがあります。
これは、幼い頃の怖かったという感覚が、心に残っている為です。
上司に恐れの感情を抱きやすいので、上司から怒られるんじゃないか、注
意されるんじゃなかという気持ちを抱きやすくなります。
その為、上司の目を気にしすぎてしまったり、
上司の目の前では、萎縮してしまい、自分を出せなくなってしまうことがあります。
カウンセリングの内容は、その方、その方、人によって、内容が違ってくるの
で、癒しの手法はケースバイケースになりますが、
僕のカウンセリングでは、次のようなアプローチをとって、父親への恐れの感
情を解きほぐしていくことがあります。
父親への恐れを持つ場合は、この感情を解きほぐして行く為に、
まず、怖かったという感情を見つめていき、
その思いを吐き出してもらい、そして、その感情を受容していくことを、
最初のアプローチとしてしていくことが多いです。
まずは、怖かったという感情で傷ついたハートを癒していくことをしていくんですね。
それから、怒っている父親を理解し、その理解を受けとめる
ことを通して、最終的に怖い父親を許していくプロセスを踏むことをしていく
ことが少なくありません。
理解し、受け止め、怖いという思いをさせた父親を許していくことで、
父親を新たな目でみれるようになり、新たな感覚で父親を捕らえられるようになります。
そうすると、上司などの、権威者に抱きがちだった怖れの感覚が、緩和されて
きて、せっすることが怖くなくなってきます。
●権威者に反発的な態度をとりがちになるケース●
権威者(上司、先輩、先生)に反発的な感情が芽生えやすい方は、
父親に対して、怒りの感情を持っている場合があります。
父親に怒りがあると、父親を攻撃したくなるように、
権威を投影する者に、攻撃的なマインドがでてしまい反発的な態度がでがち
になります。
そんな場合は、権威者からアドバイスをもらっても、素直に聞けません。
『わかってないくせに、えらそうに』とカチンときてしまいがちになっちゃいます。
攻撃されて嬉しい人はいませんよね。
(そういうM的な趣味があっる上司だったら別ですが・・・(^^))
そうすると、可愛がられない部下になりがちになります。
疎まれてしまいます。
そして、権威に対して攻撃的になるマインドがあると、投影の心理が働き、
自分が権威者に攻撃的なマインドを持つように、権威者も自分を攻撃的に思っ
ているのではないか?という、攻撃される恐れが、おまけとしてついてきます。
すると、昔、アメリカが核ミサイルを持つと、自分の国を守る為にソ連は
より多くの核ミサイルを持とうとしたように、権威者の攻撃から、自分の身を
守る為に、より攻撃的なマインドを持とうとします。
権威者から揚げ足取ろうと、常に相手のアラを探すような感じになります。
また、父親に競争心がある場合も、権威者からのアドバイスを素直に聞けなく
なりがちになります。
もらったアドバイスよりも、自分のやり方を使いたくなります。
そして、自分のやり方の方が、権威者よりも、優秀だということを証明したい
気持ちになります。
競争心から、自分のやり方で勝ちたいという心理が、そうさせてしまうのです。
父親への怒りがある場合は、カウンセリングでは、父親を許すことを最終目標
に、父親とのかかわりで傷ついた気持ちを癒し、父親を理解し、受け止め、
許しをしていくアプローチをとっていく場合があります。
そうすると、攻撃的なマインドから解放されるので、攻撃される恐れからも解放されます。
競争心がある場合は、競争心を手放すことを目的に、
劣等感を癒し、自分の価値を認めていき、父親の価値を認めていく、プロセス
を通っていくことで競争心を手放すアプローチをとっていきます。
そうして、父親を許せた度合いだけ、父親への競争心を手放せただけ、
上司を受け入れる自分、上司から可愛がられる自分になれていけます。
こちらも、もちろん、今回、紹介したアプローチ方法とは決まっておらず、
その人、その人のたどってきた経験、持っている感情、などから、
ケースバイケースのアプローチをとっていきます。
●権威者から認められたいという思いが強くなるケース●
権威者(上司、先輩、先生)に、認められたい、褒められたい、という思いが
強くなるタイプの方は、父親から認められたかった、褒められたかった、
愛されたかったという痛みや、なんらかの欠乏感を持っている場合があります。
認められる為に頑張る、褒められる為に頑張ること自体は悪いことではありませんが、
その思いが強くなりすぎて、権威者から自分が、どう見られているかが、
気になりすぎてしまう場合があります。
その目が気になりすぎて、自分を出せなくなったり、
認められる為に、褒められる為に、
本来の自分ではない自分を演じてしまったりしてしまいます。
その度合いが強くなると、しんどくなってしまいますね。
また、権威者からの期待に答えなければと過度のプレッシャーを背負ってしまう場合があります。
これもしんどいですね。
この場合は、カウンセリングなんかでは、
父親から認められたかった、褒められたかった、愛されたかったという痛みや、
欠乏感を癒していくアプローチを取っていきます。
この場合は、認められなかった、褒められなかった悲しみや、寂しさを受容して
いくことからスタートしていくケースが多いです。
それから、本当に父親は自分のことを認めていなかったのか?
もし、本当は認めている部分もあったとしたら、なぜ上手く表現できなかったのか?
なぜ認めること、褒めることができなかったのか?
色んな角度から、父親を見ていきます。
そして、最終的に上手く満たしてくれなかった父親を許すことを行っていくことで、
父親への感情を解きほぐしていきます。
父親から認められたかった、褒められたかった、愛されたかったという痛みや、
なんらかの欠乏感を癒していくことで、権威者から、父親から与えて欲しかった
もの(褒められる感覚など)を、与えて欲しいという欲求が無くなっていくので、
過度に上司の目が気になることが無くなっていきます。
こちらも、本当にケースバイケースで、全部が全部、このアプローチ方法どおりに
やってはいきません。
カウンセリングは、その人その人に合わせた、オーダーメイド製品になってい
きます。
●権威から愛される●
権威に文句ばっかりいう批判家だと権威者からは愛されません。
権威への葛藤があると、そうなりがちになってしまいます。
権威への葛藤が無くなれば、権威を敵として扱わず、味方として扱うようにな
り、権威者をサポートしてあげようという気持ちになりやすくなります。
権威者をサポートすると、次は、権威者があなたをサポートしてくれます。
そして、そのサポートを受け取り、感謝することができれば、
権威から愛されることが多くなります。
つまり、上司と部下の関係だと、上司が部下のあなたを気に入り、
いろいろ面倒を見てくれたり、次のリーダーへと後押ししてくれます。
それは、キャリアでの成功の近道になります。
仕事というのは、人と人との関係から成り立っていますから、
権威者との関係が良くなるということは、キャリアでの成功の近道になるわけです。
権威への葛藤を無くしていく為に、感情と向かいうこともあれば、
父親を理解して、受け止めて、許すこともあります。
簡単にクリアーできる時もあれば、それが難しく感じる時もあると思います。
難しく感じるとき、上手くできなく感じる時、焦らず、一つ一つクリアーして
きましょう。それは、ゆっくりでも解決していけますから。