世間体が気になる心理~自分らしく生きるために~

世間体が気になる裏側には、世間を代表する“誰か”の存在があり、同時にあなたのリーダーシップが求められています。

イメージワークを通じてそんな心を見つめてみるのはいかが?

カウンセリングをしていると、今ある問題に「世間体」すなわち、「社会の目」「他人の目」が引っかかっている場合が少なくありません。
他人にどう思われるんだろう?
こんなことして大丈夫だろうか?
変に思われるんじゃないだろうか?

そんな時は、自分の意志や気持ちよりも、他人の目を気にして行動や考え方を選択するようになってしまいますね。
そうすると、なかなか自分らしさを発揮できず、問題を抱えたり、自分を見失ったりして、しんどい生き方になってしまう場合も少なくありません。

●“恥ずかしい”という感情

そうした社会の目を意識し、世間体を気にする背景には“恥ずかしい”という感情が隠れています。

日本はよく“恥の文化”とも言われることが多く、
「世間様に恥ずかしくない生活をしなければ」
とか
「そんなことして、お前は恥ずかしくないのか」
とか、そうした風潮が自分らしさを埋没させてしまう要因になることも少なくありません。

だから、私達は「恥ずかしさ」を少しでも感じるようならば、「欲しいなあ」と思っているものを手にすることを躊躇してしまいます。

自分がしたいことを我慢するとどうなるでしょう?
だんだん苦しくなってしまいますね。

それは、カレーライスが食べたいのに、周りの人がオムライスを注文したから「私も・・・」と同意してしまうことと同じようなものかもしれません。
例え美味しいオムライスがやってきても「カレーの方が良かったなあ・・・」と思いながら食べてしまったら、美味しさは半減してしまいます。

そこでは「自分が選んだ」という自覚を持ちにくくなってしまうので、消化不良になってしまうことが多いんです。
そのために「誰かのせい」にしてしまうことだって少なくありません。

「根本さんがオムライスって言うから、私も仕方なく同じものにしたのに・・・」
なんて、恨み辛みに発展してしまうことだって少なくないんですね。

この恥ずかしさを乗り越えるというのが、自分らしく生きる一つの秘訣と言えそうです。
カウンセリングでも、「恥ずかしさ」をテーマにセッションを進めていく場合があります。
そこを乗り越えると、怖れが消え、何でもできそうな気がしてきて、自分に自信が持てるようになっていきます。
それは「何となく大丈夫な気がする」という感覚なのですが、そうなると素直に自分が欲しいもの、したいことを表現し、実現していくことが可能になっていきます。

●“世間”とは誰なのか?

先ほど「誰かのせい」にしてしまいがち・・・というお話をしました。
世間体と言うものの、世間は広いですから、じゃあ、実際誰なのか???と突き詰めていくと、案外、個人名が出てくることが多いんです。

あなたが普段接する人を思い浮かべて見ましょう。
家族、友人、職場の仲間、通勤電車でいつも見るおじさん等々、その一人一人全員があなたの行動に口出ししてくることって実際のところ、あまり無いんですよね。
また、あなたが有名人で顔バレでもしていなければ、すれ違う人の多くはあなたのことをほとんど気に留めないケースがほとんどだと思います。

でも、まるで、みんなが自分のことを気にしていて、監視しているように感じてしまうとしたら、実際は“世間”ではなく、特定の“誰か”の目を意識していると考えることができます。

実際のところ、その目の持ち主はあなたのお母さんやお父さんに行き着きます。

具体的な例をお話しましょう。
お母さんが世間体を気にして、あなたにあれこれ指示する過干渉なタイプだったとします。
服装から髪型、持ち物から考え方、お付き合いする友人や彼氏にまで、あれこれ口出しされたとしたら、自然とあなたは「世間体」という名の「お母さん」といつも付き合うことになっていきます。

例え、親元を離れて暮らしていたとしても、お母さんの数々のお小言が耳に残っていますから、何をするにも「お母さんはどう思うんだろう?」みたいな見方をしてしまいます。

でも、実際はそこにお母さんはいないわけですから、それが社会に“投影”されて、まるで周りの社会から「その服装は何なの?」と言われてるような気がしてしまうようになるんです。
それでは、まるで彼との楽しいデートにも、意気揚々と出かけていった職場にも、いつもお母さんが背後霊のように付いて回るような感じになりますから、心の底から楽しめなくなってしまいます。

そんな風に“社会の目”というのは、自分自身の幼少から思春期にかけての家族関係に基づくものが非常に大きい場合が多いようです。

●統合と手放しのプロセス

そうすると、社会の目を克服し、自分らしい生き方を選ぶには、その“誰か”と向き合っていくことが求められます。

それは心理的な抵抗を感じるものかもしれませんが、でも、社会全体を相手にするのではなく、特定の誰かを相手にする方が、余程希望が持てませんか?

そして、実際にその“誰か”との関係を改善することも意味のあることですが、その一方であなたの心の中にある、その“誰か像”を変えていくことで、この問題は処理することもできるんです。

例えば、先ほどの例では、お母さんの影響からあなたが世間体を気にする人になってしまったとしましょう。
“誰か”=“お母さん”なわけですから、あなたの心の中のお母さん像を変えていくことがテーマになります。
それは現実のお母さんと向き合うよりもまだ楽で簡単なことかもしれません。

私達はそれをイメージを使ったり、人を使ったりしながら変えていくこと(セラピー)を提案していますが、ちょっとその簡単なエクササイズを作ってみました。
一度試してみて下さい。

○イメージワーク

目を瞑って、その“誰か”(例えば、お母さん)を思い浮かべてみましょう。
どんな表情をし、どんな目であなたを見ているでしょうか?
厳しく監視をするような感じでしょうか。
品定めするような目でしょうか。
冷たく、疑いの目を向けているでしょうか。

感じるままにそれをイメージしてみましょう。
そのイメージの中で、お母さんに背を向けてみて下さい。
より強く感じされてるような感覚を抱くかもしれません。
きっとそれがあなたが普段感じている“世間体”であり、“社会の目”ではないかと思います。
いつもそんな目で見られているとしたら、自分らしさを発揮することって難しいんじゃないでしょうか?

そして、改めてお母さんと向き合って、その目を感じつつ、少しずつ勇気を持って近づいてみましょう。
近づくに連れてお母さんの目はどんな風に変わっていくでしょうか?
その目の奥に何が見えるでしょうか?

そして、目の前まで近づいたら、静かにお母さんと繋がって見ます。
手を繋いでもいいし、ハグしてもいいでしょう。
ちょっと勇気がいるかもしれませんが、一歩踏み込んで、しっかりとあなたの両手や体でお母さんを感じてみます。

これが心理的な“統合”を意味し、癒しを作る大きな方法になります。
特に感情が動かなくても構いませんので、ただ、お母さんを感じてみましょう。
嫌な気持ちがしてももちろんOKです。

十分にその時の感情を感じたら、ゆっくりそのお母さんを見つめながら離れていきます。
今度はどんな目であなたを見ているように感じるでしょうか?
そうして距離が空いたら、お母さんに背を向けて立ち去っていきましょう。
そのままあなたが心地良いと感じられる距離まで歩いていきます。
あなたの背にお母さんの目を感じながら。

そこで深呼吸しながら目を開けてみましょう。

一回ですべてが処理されるわけではありませんが、何度かやっていくうちに徐々に改善されていくのではないでしょうか。
一時的に“社会の目”を一層気にしてしまうこともあるかもしれませんが、それは好転反応の一種と捉えていただくと、また次にチャレンジするときに抵抗が少なくなっていきます。

●リーダーシップ

カウンセリングを通じて分かってきたことですが、この問題の多くは、両親が引っかかって抜け出せない“社会の目”を、息子として、娘として乗り越える“チャレンジ”として捉えることができます。

かつての日本では、今以上に近所の付き合いが密接で、家族だけではなく“向こう三軒両隣”な付き合いをしてきました。
また、お家の伝統もあり、なおさら「個人よりもお家」という風習があったと思います。
でも、近年、核家族化も進みこの風潮は徐々に廃れてきました。
もちろん、今でもそうしたお家の問題が無いわけではありませんし、カウンセリングでもよく扱う問題ですが、時代は確実に変わっていることは確かです。
そんな古い時代に生きてきた両親(あなたが何歳であったとしても、両親は確実に自分より古い時代を生きてますよね?)ですから、そうした社会の目の壁を乗り越えることを要求するのは少々酷と言えるのではないでしょうか。

幼少の頃から、私達は良くも悪くも両親が作ってくれた道の後をずっと歩んできました。
その辺は食事の好みなどにも表れますが、その両親ですら立ち止まってしまったところにやがて大人になった私達が近づいてきます。
そして、その場所から両親に代わって道を作っていくのが、子どもとしてのあなたの仕事になります。

例えば、男の子は“親父を越える”ことが息子としての目標のように語られた時代もありました。

両親と競争して、あるいは踏み台にして先に進むのではなく(この方法は罪悪感を作ってしまいます)、自分から率先して道を作ってあげるようなイメージです。

そうすると「老いては子に従え」の諺がある通り、今度は両親が楽にこれからの人生を進めるような道を与えてあげることができるようになります。
それこそが“親孝行”であり、“恩返し”になるのではないでしょうか。

そして、この新たに道を示してあげることを“リーダーシップ”と言います。

これは何も両親に限らず、会社でも、パートナーシップでも、相手が進めない道、皆が乗り越えられない壁を、率先して乗り越えていくことを意味します。

その時、あなたはあなたらしい“個性”や“自分らしさ”を存分に発揮して、自分が好きなように、楽なように進めていくことができるんです。

世間体を乗り越えると、ある種“恥知らず”な気楽な人生を選ぶことができます。
そして、それは社会にとって、家族にとって、パートナーにとっての“リーダーシップ”になるんです。

あなたが、自分らしく生きるために、ぜひ、お勧めしたい方法です。

この記事を書いたカウンセラー

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