もう仕事を頑張れないと感じたときは。

相談者名
カズイ
私は幼い頃から親の顔色を伺って対応を変えて適用してきました。
そのせいもあってか私は自己否定感が強い人間で、世間の流れに無理矢理自分を当てはめる生き方をしてきました。

仕事においても我慢しながら身を削る働き方を新卒から12年間続けてきました。
その献身さと適応力を買われ年々要求される仕事のハードルが高くなっていくのですが、客先の矢面になる立場故に他部門所掌の仕事の遅れも自分でフォローしなければならず、仕事量に対処する知識や処理能力が現在の自分のキャパシティーを超えてしまいました。
今は騙し騙しで続けていますが、今までにない無力感を感じ、意欲は完全になくなっています。
「なんでこんなことを続けているんだろう?」という気持ちが付きまとっています。

このまま今の仕事を続けても自分に明るい展望が見えないので転職を検討しています。
しかし、ずっと他人の目を気にして生きてきたので「自分がやりたいこと」が分かりません。
「自分はダメな人間だから頑張らないといけない」という名目の元に自分を奮い立たせてきたつもりですが、もう疲れてしまいました。

承認欲求のエンジンを積んで走り続ける限界を知ったと同時に、このやり方をこの先も続けていっても通用しないし、自分が壊れてしまうことを身をもって感じ取りました。

しかし、求人情報を読んでも、どの仕事も自分が我慢して苦しむ姿が浮かんできます。
今のやり方を手放すことも、今のやり方を続けるのと同じくらい不安なのだと思います。
毎日その繰り返しで気持ちがどんどん沈んで絶望感を感じてしまいます。
年齢による再就職の不安も大きく、時間が過ぎる焦りと不安で落ち込みます。

こういう時はどういう心持ちでいるべきなのでしょうか?

カウンセラー
大塚亘
カズイさん、はじめまして。

今回担当させていただきます、大塚亘と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

カズイさんの文章を拝見して、私は、カズイさんの長所がたくさん分かりました。

幼いころから親の顔色をうかがう「ことができる」ということは、相手への思いやりや、
やさしさ、そして、幼いころから大人であったということだと思います。成熟した心が
ないと、相手を思いやることはできないと思います。

自分の意思とは少し違いながらも世間に合わせることができたということは、それだけの
柔軟性と、人間としての大きな器があったといえると思います。

そして、しんどさを感じながらも、12年も仕事を続けてこられたわけです。短期間で仕事を
辞めてしまう方はこの世にたくさんいますが(その方たちがダメという意味ではありません)、
カズイさんは、投げ出すことなく、ずっと頑張り続けてきたわけです。

そして、実際に、仕事における周りからの評価も高いですよね。

つまり、カズイさんは、「ダメな人間」であるどころか、全く正反対の、「素晴らしい人間」
であったということです。

これは、12年間頑張って素晴らしい人間になった、ということではなく、幼いころから
大人の成熟した心を持つ「もともと素晴らしい人間である」カズイさんが、親や職場の
人など、周りの期待に応えながら、頑張ってこられた、ということです。

つまり、もともと素晴らしい人間であっただけであり、幼いころから今までずっと、
「ダメな人間」ではなかったのです。

でも、カズイさんは、

「いやいや、私はたいした人間ではないですよ」

と思われたかもしれませんね。しかし、カズイさんが素晴らしい方であるというのは、
客観的な事実なのです。

問題があるとするならば、カズイさんが、ご自身のことを「ダメな人間である」と、
「誤解」してしまっている、ということです。客観的事実は、以前からカズイさんは
素晴らしい人間であった、ということなのです。

>承認欲求のエンジンを積んで走り続ける限界を知ったと同時に、このやり方をこの先も
>続けていっても通用しないし、自分が壊れてしまうことを身をもって感じ取りました。

そうですよね、ここは、今までのやり方を少し変えてみる必要があるかもしれません。

自分が「ダメな人間」であると根本的に「誤解」してしまっている場合、「自分はダメ
だから頑張らなければならない」という感じになってしまい、どんなことでも必要以上に
頑張ってしまいます。

しかし、その頑張りは、心理学では「補償行為」といいまして、どういう感じかといい
ますと、

「ダメな部分の埋め合わせを一生懸命続けている」

という心理状況になります。

能力があるので「ダメな部分の埋め合わせ」はできるのですが、カズイさんが書いて
くださっているように、

「もともと自分がしたいことをしているわけではない」

ため、埋め合わせができても達成感がなく、楽しくありません。

埋め合わせができても、「周りから責められずに済んだ」、「問題を起こさないことが
できた」というぐらいの感じであり、積極的な達成感は得られないのです。

しかし、客観的にみると、カズイさんのように周りの評価が高い場合が多いのです。

「承認欲求のエンジンを積んで走り続ける」ことをされてきたわけですが、周りは、
以前からカズイさんのことを承認していたみたいですよ。

それでは、この世で一番カズイさんを承認していないのは誰でしょうか。もうおわかり
ですよね。

「カズイさんご自身が、この世で一番カズイさん自身を承認していないのです。」

客観的にみると、素晴らしい人間で、実績も積んできたにもかかわらず、承認されて
いないようですね。

ですから、ぜひ行っていただきたいことは、

「カズイさんが、カズイさん自身を承認してほしい」

ということです。

>しかし、求人情報を読んでも、どの仕事も自分が我慢して苦しむ姿が浮かんできます。

カズイさんがご自身を全く承認していない状態で転職した場合は、このカズイさんの不安が
的中する可能性があると私は思います。なぜなら、「ダメな人間」には、苦労するという
罰がふさわしいと、人間の心は無意識に思ってしまうからです。

もともと、はじめから、カズイさんは「ダメな人間」ではなかったのです。それなのに、
「ダメな人間だから罰がふさわしい」と無意識で思ってしまい、「無意識に罰を集めて」
ご苦労をされてきたようです。

カズイさんは、生まれた時から、幼いころから、そして、学生時代、社会人と、ずっとずっと
「真実は素晴らしい人間であった」ということなのです。

まずは、いままでご自身が頑張ってきたことを、心の中でいいですからたくさん思い出して
みて、そして、何度も何度も、心の中で、

「私は頑張った」

「私はよくやった」

「私は素晴らしい」

と思ってみてください。自己承認は、すぐにできるものではありません。今まで何十年と
「自分はダメな人間であると誤解」してこられたわけですから、その誤解を解くのは少し
時間がかかります。

もし、自己承認のスピードを速めたいのであれば、ぜひカウンセリングを使っていただき
たいと思います。

そして、自己承認が進んでくると、こうなります。今までは、

「ダメな人間であるから罪がふさわしい」

という無意識の願いが叶ってきました。しかし、自己承認が進んでくると、今までとは逆で、

「自分は価値ある人間であるから、自分には、楽しさ、やりがい、達成感がふさわしい」

という無意識が大きくなり、

「自然とその無意識(価値がある人間である)にふさわしい行動をし始めるので」

楽しさ、やりがい、達成感のある生活が近づいてくるのです。

とても素晴らしいと思いませんか?

そして、そのような楽しい、達成感のある生活に、価値あるカズイさんはふさわしいのです。

自己承認が進んでくると、年齢の問題(これも、問題があると誤解していただけですね)
も吹き飛びます。私大塚からすれば、カズイさんはとてもお若くて、前途洋洋であるだけ
なのです。

転職するしないとか、転職するなら何をするのかを考えてもかまいません。しかし、
自己承認が進んでくると、そのような具体的なことは、どこから来るかはわかりませんが、
ひらめいたり、誰かが助けてくれたり、何か縁があるなど、

「チャンスは向こうから勝手にやってくる」

という感じになります。これは、言葉で説明するのはとても難しいので、「そんなことも
あるんだ」ぐらいに思っておいてくださいね。

そして、ただただ「自己承認を続けていってほしい」と思います。もともと素晴らしい方
なのですから、近い将来に「道が開けてくる」と思いますよ。

読んでくださり、ありがとうございました。

大塚亘

この記事を書いたカウンセラー