本気になれない

相談者名
きのこ
31歳女性です。無職の期間が長いです。

何事にも本気で取り組めません。馬鹿馬鹿しく感じたり、動こうと思っても動きたくない気持ちの方が勝ってしまいます。

プライドが傷ついてしまっているのかもしれません。

引きこもって自分を慰めるのに精一杯で、働いたり外の世界に目を向けたりすることに意識がむきません。

幼いころは、家族の気持ちをよく汲む子どもで、大人のそばにいて手伝いをしたり、役に立ったりすることが好きでした。近所のお友達に遊びに誘われても気がすすみませんでした。

働いてみたいとか、人とのかかわりを持ちたいとか、人生を充実させたいとか、そういう意欲をあまり持つことができず、そういう自分に違和感を感じ、人生が停滞してしまっています。生き方がわからない感じです。

何かアドバイスいただけたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。

カウンセラー
近藤あきとし
きのこさん はじめまして。
カウンセラーの近藤あきとしと申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

ご相談内容を読ませていただきましたが、きのこさんはずっと周りに
気を使って生きてこられた方なのではないかと感じました。

メールに書かれいただいたように、小さな頃は両親や周りの大人に気を使って、
いわゆる“良い子”であることを求められてきたのかもしれないですね。

私たちは誰もが、親の役に立ちたいと思って子供時代を過ごしてきますので
そうすることは決して悪いこととは言い切れません。おそらくきのこさんも
初めは嬉しくてお手伝いしていたかもしれませんし、役に立っていたことで
きっと周りから褒められてきたことと思います。

しかし、もし親から愛される為に犠牲をして、役に立とうとすることを
繰り返してきたのであれば、次第に愛される喜びよりも、見捨てられなくて
ホッとしたという気持ちが強くなったり、何もしなければ拒絶されるかもしれない
恐怖を常に感じながら、いつの間にか「やらねばならないこと」へと変わって
しまったのかもしれません。

それはいつしか、自分自身でなく他の誰かのための人生を生きているような
気にさえなっていったかもしれませんね。だから、本当は友達と遊びたいと
思っていても、素直な気持ちを言ってはいけないような気がしてしまったり、
なんだか悪いことをしているような気がして、本当の気持ちを隠してしまい、
遊びになんて行きたくない、という気になろうとしていたのではないでしょうか?

対人関係で相手に合わせてしまうパターンが、子供時代の家庭の中だけでなく
成長してからも、出会う人たちや身近な人たちとの間でも、いつの間にか
無意識のうちに繰り返されていたとしたら、きのこさんの本来の気持ちは
いったい、いつ表現できていたでしょう?

他人に気を使って、自分の気持ちを横において、相手に合わせてばかりいると
私たちは素直な気持ちを表現できなくなってしまいます。
すると自分の感情を抑えて、相手に譲った分だけ、小さい怒りが徐々に
蓄積されていくんですね。もし、それが20年30年と続いてきたのなら、
その怒りはどれほどのものになるか、想像してみてください。

素直に気持ちを表現できないことは、私たちにとっては無視できない
重大なストレスなんですね。一つ一つは小石のような、それほど気にならない
存在かもしれませんが、その小石が少しずつ蓄積されてくっついていき、
徐々に大きな岩になって、きのこさんの心の中に詰まっていたとしたら、
それはとても重く、常にどこか息苦しい感じをもたらしてきたはずなのです。

きのこさんの心の中は、もしかすると大きくなりすぎた怒りでいっぱいになり
それが外へ出すことも出来ずに、いつしか諦めに変わってしまったように
私には感じられました。

では、どんなことに諦めを感じてしまったのかというと、きのこさんの場合
誰かに解ってもらうこと、認めてもらうこと、受け入れてもらうことなど、
つまり“愛されること”を諦めてしまったのではないかと思いました。

実は怒りは2次的な感情といわれていて、もともと感じているはずの感情の
上に乗っかって、本来の感情を見えなくしてしまうんですね。このことから、
怒りは感情のフタと言われているんです。きのこさんの愛して欲しいという感情は
怒りを感じる度に、心の奥へと押し込まれてしまったのかもしれないですね。

怒りが次第に諦めに変わり、無気力・無感動・無関心という状態になっていくことは
珍しくはないのです。すると自分の人生を充実させたり、心の底から喜ぶことが
出来なくなってしまうんですね。楽しむことを自分で禁止しているような状態です。

それは、自分自身に罰を与えて苦しむという目的もあるのかもしれません。
親の期待に応え続けることが出来なかった私には、愛される資格がないと
自分自身を責めているのかもしれないのです。

さらに、両親が苦手としていた分野で、自分も同じ感情を味わうコトで親の気持ちを
理解してあげたいということも考えていたのかもしれません。良い子であればあるほど、
両親が苦しんでいた問題を自分か引き継ぐことで、助けてあげられるのではないかと
子供の心は感じたりもするのです。

きのこさんの両親は楽しむことが上手でなかったり、楽しむこと自体を禁止している
ように見えてはいなかったでしょうか?

私からきのこさんへの提案は、「本当の自分自身の人生を生きることを選ぶ」ことと
「楽しむことを自分に許す」ということです。

誰かの役に立つ為の生き方ではなくて、むしろ例え誰かの迷惑になってでも、
私はこうして生きていきたいという、きのこさん本来の生き方を選びとって
欲しいのです。

それには「やらねばならないこと」を手放して、きのこさんにとって「楽しいこと」
イコール「やりたいこと」にしていくことが必要なのです。

きのこさんの本質はおそらく、周りの人が楽しんでくれて笑顔になってくれることが
自分の喜びになるトコロではないですか?その為にまずは自分を楽しませることから
始めてみてはいかかでしょうか?その意識の変化が、きのこさんの感情と環境の
変化をもたらしてくれるでしょう。

どうしたらいいかが分からない時は、私たちカウンセラーに尋ねてくださいね。
ぜひ電話や面談のカウンセリングを利用してみてください。私たちにはきのこさんへ
差し出せる助けの手がたくさんありますからね。

きのこさんが、楽しさでいっぱいの充実した人生を過ごすためのヒントになれば幸いです。

今回はご相談ありがとうございました。

近藤あきとし

この記事を書いたカウンセラー

About Author

超自立男性との恋愛・コミュニケーションに関わるお悩み・慢性的な生きづらさの解消などを得意とする。 理論的な“心理分析”と、感覚を使った“心理セラピー”を活用する多面的なサポートが好評。 問題の裏に隠れた「真実の物語」を読み解き「自分の本質を生きる」ことを目指すカウンセリングを提供している。