我慢しない関係を創るために(3)~理解する、与える~

我慢しない関係を創るための3つめのご提案です。相手を理解し、与えることで自由を得、通信手段を見つけていくことができるようになっていきます。

我慢しない関係を創るために(3)~理解する、与える~

さて、前回の宿題には取り組んで頂けたでしょうか?(笑)
(今回初めて目にされる方は、 前回の心理学講座にも目を通していただいた方が良いかもしれません。)

パートナーシップは見えないバランスの上に成り立っています。
そのため、あなたが我慢している分だけ、パートナーも同じように我慢しているものですが、自分が余裕がない分だけ、それが見えなくなってしまいます。
そして、「私一人が我慢している」と“誤解”してしまうんですね。

そして「あなたが悪いんだから、あんたが変わりなさいよ」と主導権を相手に渡してしまうこともあります。

こうなると関係性は悪くなることはあっても良くなることは期待できず、離婚や別れを考えざるを得なくなるんですね。
それも選択肢の一つですが、前向きな気持ちでないと自己破壊的な選択になってしまうことだって少なくありません。

●相手を理解する

「相手も何だかんだ言いながら我慢してるのかもしれない・・・」
ここに気付けると、劇的と言ってもいいほど関係性は変化し始めます。

我慢が募ってしまえば「私一人が・・・」の思いが強くなりすぎて、相手を理解し、受け入れることが出来なくなってしまいます。
いわば、心がいっぱいいっぱいで相手を受け入れるスペースが無いんですね。

でも、そこで自分のその苦しさに負けてしまうのではなく、敢えて相手を理解してみよう!と踏み出すことは素晴らしいチャレンジです。
それはやがて大きなギフトをあなたにもたらしてくれるものです。

でも、そこで最初に向き合う感情は「いやっ!そんなわけない!」という強い否定的な気持ちだと思います。
実はこの強い抵抗にこそ、あなたが我慢しない関係を手に入れられる秘訣があるんです。
パートナーを理解することは、同時に自分自身を理解することにもなります。

だから、そこで感じる怒り、憎しみ、恐れ、罪悪感、自信の無さ、無価値感、無力感などの感情こそ、今あなたが向き合い、手放す感情なんですね。
その感情の多くは、今のパートナーシップで築かれたものばかりではなく、中には遠くあなたと両親との関係から生まれたものも少なくないはずです。
だから、すぐに解消されることは無いかもしれませんが、このチャレンジはあなた自身を本当に成長させ、自由にさせてくれるものだと思います。

だから、それを感じることを怖れないで下さい。
「そんなことしたら、旦那を殺してしまうわ!」
と感じるくらい強い怒りを感じてもいいんです。
自分がそれくらい強い怒りを持つということは、同時にそれくらい相手が自分にとって必要な存在であり、大切なものであることを指し示しているのです。

頭で分かっていることと、心で感じることはまた別物です。
だから、怖れずにその感情をただ感じてみましょう。
もちろん誰かに話を聞いてもらうことも大切です。

そうして自分の感情と向き合えた分だけ、感情は解放され、心に余裕が生まれ、パートナーを理解できるようになって行きます。

なぜ、あなたのパートナーはあなたを我慢させるような行動をするのでしょう?
本当にそれはあなたを苦しめたいからする行為なのでしょうか?
その行動に隠れたパートナーの心の痛みは何でしょうか?

このレベルまで降りていくことができると、相手が自分と同じ感情に苦しんでいることが見えてきたりします。
パートナーシップでは、入り口やプロセスは違えど、お互いが同じ感情で辛い思いをしていることが非常に多いのです。

お互いいい関係を創るために頑張ってるのに、それが分かり合えないのは本当に辛いことですよね。

●与えること

相手を理解し始めると心に余裕が生まれてきます。
お互いが同じ感情で苦しんでいると気付くだけでも、心は繋がりを感じてホッと一安心することすら出てきます。

でも、我慢が重なって不満になると「~してくれない」という依存の形で現れてきます。
一方、「~してくれない」って言われる側はどんな気分でしょう?
あんまりいい気はしないものですね。
それは「要求」といって、まるで請求書を相手に突きつけているような関係になってしまいます。
ですから、そこでは要求ではなく、与える姿勢が求められます。

“与える”とは、一言で言えば“相手が喜ぶことをしてあげる”ということです。
自己満足ではありません。
それは同時に自分自身を満たす行為でもあります。

あなたが大好きな人に花束を贈ったとしましょう。
それを相手がすごく喜んでくれたとしたら、それだけであなたは満足感と充実感を手に入れられるはずです。

夜、疲れたご主人をマッサージしてあげたら、すやすやと寝息を立て始めたとしたら、あなたはどんな気持ちになるでしょうか。

与えるとは同時に自分自身を解放してあげることでもあります。
与えることで、自分がパートナーから欲しかった安心感や安らぎ、愛情や喜びを受け取れることも少なくないでしょう。

あなたが今、どんな状況であれ、パートナーに何をしてあげたら喜んでくれるか?を考えてみましょう。
我慢が強いとそれを考えることにも抵抗を覚えます。
そういう時は無理にあれこれ考えなくてもいいです。
少しでも余裕がある時にしか出来ないことですからね。

●自分の好きなことをする

これは以前にもご紹介したことがある心に余裕を持つ方法です。

趣味を持つことって良く言われますけれど、「夫が趣味」でも構いません。
それならば、もっとご主人のことを好きになって、好き好きオーラをたくさん発信してあげることが大事です。

競争意識があると「惚れるが負け」と思って、相手を好きになることを怖がってしまうものです。
それはせっかく見つけた大好きな“モノ”を好きにならないようにするのと同じではないでしょうか。
その方がとても苦しいことだと思います。
遠慮なく大好き光線を出してあげましょう。

自分の好きなこと、したいことを見つけ、チャレンジすることは本当に自分の心を解放してくれるものです。
「これやってて気持ちいいよなー」
「ここ好きだなー、居心地いいなー」
と感じる場所は、あなたの心にとってのガソリンスタンドになります。

●通信手段を手に入れる

コミュニケーションで難しいのは、お互いの言語が異なることです。
「え?私も彼も日本語をしゃべってるのに?」
と思うかもしれませんが、「彼の言ってる言葉の意味が分からない」とか「お前の言ってることはおかしい」とか、そういう会話になったことありませんか?

お互い日本語を使っていても、その解釈、使い方は様々です。
言葉の定義も人によって異なります。

その二人にとっての共通言語、すなわち、通信手段を手に入れることはとても大切なことです。

言葉を交わさなくても信頼や愛情を感じられることがあるように、何も言葉に限定してしまう必要はありません。
表情や態度、セックスやケンカもコミュニケーションの一つです。

僕のとある友人夫婦はいつもケンカばかりしています。
何度も別れそうになったそうです。
だから、話をするといつも「こんなケンカをした」「あいつがこんなこと言ってからぶちぎれた」などの武勇伝(?)をよく聞かされます。
でも、二人はとても仲が良さそうなんです。
付き合い始めから知ってますけど、そんなケンカを繰り返しながらも結婚し、今は幸せそうに暮らしています。

本来ケンカというのも信頼が無ければできないものです(信頼してない相手に、ケンカするほどのパワーを使おうとは思わないものですから)。

だから、二人にとってどんな形でもいいですから、お互いの意思疎通が図れる手段を見つけることが一番良いんです。
これはパートナーとの共同作業であることが一番望ましいんですけど、二人一緒でなければできないことではありません。

パートナーがどんな言葉を使い、どんな態度にどんな反応をし、どんな風に感情を表現するのか?をあなたが見つけるだけで、半分は通信手段を手に入れたようなものです。
そして、パートナーのその態度を真に受けるのではなく、その意味に沿って対応してあげること、そして、喜ばせてあげる何かを与えられたら、相手だけでなく、自分自身も満たされた気持ちになっていけます。

つまり、相手を理解し、与える行為が二人の間の通信手段となっていくわけです。

●最後に

我慢の問題というのは、知らないうちに相手を見失い、自分を見失うことに繋がります。
我慢しない関係というのは自分が余裕を持つことと同時に、相手を理解し、相手に与えていく姿勢を自分から創り出して行くことが大切です。

ロマンスがある時は容易にできることも、関係が長くなればなるほど難しいチャレンジになります。
でも、それを乗り越えたときに、新たなロマンスを感じることができます。

最後に浮気とセックスレスの問題で悩んでいたある奥さんのお話を紹介します。
はじめは自分が全然愛されていない不安や痛みをたくさん抱えていたのですが、ご主人の疲れや彼なりの悩みに気付き、自分から彼に近付いて、マッサージをしたり、愚痴を聞いてあげるようにしたそうです。
最初はうまく行かず、何度も無理かなーと諦めそうになったんですが、ある日、マッサージをしていたら彼がすやすやと寝息を立て始めたんです。
その寝顔を見ていたら、今まで感じたことが無いくらいの愛おしさで胸がいっぱいになり、思わず涙が溢れてきたそうなんですね。

その時「ああ、私はやっぱりこの人のことを愛しているんだ」と深い実感を覚え、その日を境に彼に対する怒りや不安がすーっと引いていくのが分かったそうです。
それと同時に不思議とご主人の態度も変わって行き、言いたいことをきちんと伝え合えたり、体の関係も増えていくようになったんです。
そして、気付けは自分が望んでいた深い愛情や信頼を普通に感じられるようになっていました。
それは理屈抜きに自信を誇りをもたらしてくれる経験となり、今では“生まれ変わったような感じ”で、自分がしたい仕事や趣味にも積極的に取り組んでいらっしゃるようです。

(ご本人から許可を頂いて掲載しています)

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