怖がりさんの攻略方法~野良猫に餌をやるが如し~

恐れが強いタイプに近づくには、なかなか根気が必要なもの。

それはまるで野良猫に餌をあげようとするようなアプローチが大切です。

怖れというのは私たちが誰でも持つ感情ですが、それが強くなると人に対して距離を取り、自分に近づかせないパターンを作り出します。
それが孤独感になり、あるいは罪悪感となり、無価値感にもなっていきます。

ですから、心理学的に見れば怖れというのは基本中の基本、すべてのネガティブな感情の総元締め的な感情になるんです。

●怖がりさんの見分け方

「俺、怖がりやねん」と言う人は、実際のところはそれほど怖がりじゃないことが多いです。
そういうネガティブな部分を素直に、オープンにできるのはむしろ強さの象徴なんですね。

「良く吼える犬ほど臆病」と言いますが、人間も同じで、怒りっぽかったり、人に対して冷たい態度を取る人ほど、実際は怖がりである場合が多いです。
心の内を見せられない、強がって自分を大きく見せるなどの態度に表れますが、一見、自信満々で、自分をよく見せることに長けてる人ほど、意外な内面を持つものです。

●野良猫に餌をやるが如し

そういうタイプに近づくには、野良猫に餌をあげるつもりになってみましょう。

野良猫に餌をあげようと、自分の目の前に餌を置いて「おいで、餌だよ」って言っても、なかなか近づいてこないものです。
警戒心が強すぎるんですね。

だから、最初は餌を置いて、猫から姿が見えないところに移動するのが肝心なんです。
それでも、1回目は毒が入ってるんじゃないかと警戒してなかなか餌を食べてくれません。

それを何度か繰り返すと、漸く一口だけペロッと食べてくれます。
でも、それが嬉しくて近づいていっても、すぐに逃げ出してしまうものです。

何度も何度も繰り返して、自分が野良猫にとって安全な人、信頼に足る人間であることを分かってもらう必要があるんですね。

そうすると、餌を置くだけで興味を示すようになるんですが、でも、目の前ではまだ食べてくれません。

姿を隠さずとも少し距離を置く必要があるんです。
そうして、餌を置いて、少し離れ、また餌を置いて、少し離れ、を繰り返していくと、漸く目の前で食べてくれるようになるんですね。

でも、我慢ならなくなってかわいいからって抱っこしたくもなるんです。
で、抱っこしてあげようと近づくと、もちろん、まだまだ逃げてしまい、最初の状態に戻ってしまうんです。

なんでそんな風になってしまうかというと、野良猫ですから、人間にいろいろひどい目にあわされたんですよね。
石を投げられたり、シッシッと払われたり、車に轢かれそうになったり。
それで、人間に対して怖れを抱き、不信感がものすごく強くなるんです。
その不信感を取り除いていって「自分は大丈夫」って思ってもらおうとすれば、相当の時間と根気を必要とするんですね。

それはその猫がとてもかわいくていとおしくなければ出来ないことです。

●怖がりさんに近づく秘訣

この話も猫好きな人は「うんうん」って感じでしょうが、猫嫌いの人は「なんで、こんな話すんだよ」って気分かもしれません(笑)

人に対しても同じで、そんな怖がりさんであればあるほど、ゆっくり時間をかけて近づいてあげる必要があるんです。
それには、相手のことを本当に愛する意志も求められます。
単に「大好き」なだけではなかなか続かないものなんです。

人の気持ちは2,3ヶ月ごとに変化していくことが多いんです。
好きから大好きになることもあれば、大好きから「なんか、冷めちゃった」て感じになる場合もあります。

もし、怖れの強いタイプに近づいていくとき、自分の気持ちが変わったからとアプローチを諦めてしまうと、相手は「ほうら、やっぱり。俺のこと好きだとか言いながら、やっぱりウソやってんな」ということになってしまいます。

もちろん、気持ちが冷めてしまえば近づきたくもなくなりますし、その必要も無いのかもしれませんが、自分の心の中には無力感や自信の無さ、場合によっては異性への不信感などが残ることにもなるでしょう。

また、気長に、根気良く近づいていく必要があるので、友達や家族からも「もう別れたら?」とか「もう諦めたら?」って囁きが聞こえてくるようになります。
自分の心の中にも、そんなエゴの声が強まることもあるでしょう。
そこに負けてしまうと孤独感が強くなって、やはり不完全燃焼になってしまいますから、選択の時期なんですよね。

だから、僕は「もっと彼を好きになりましょうよ」ってまずは提案します。
怖がりさんを好きになるのは、大抵はとても情熱的な女性、男性が多いんですが、その情熱が故に「それ以上好きになるのが怖い」感じがしたり、うまくいかないイライラ感から「もうええわっ!!」と諦めたくなってしまうものなんです。

だから、彼(彼女)なしではいられない自分になるくらいの覚悟をするために、もっと好きになる必要があるんですね。
そして、全身全霊を込めて自分自身与えようとすることが大切なんです。
そのチャレンジが本当に人を愛することを学ばせてくれます。

●怖がりさんを好きになるのは怖がりさん?

その一方で、そういう人に惚れる背景には、自分自身の中の怖れとも関係してきます。
自分が何を怖れているのか?というテーマで自分を見つめていくこともすごく大切なんです。
これは「投影」という心理現象を使った見方なんですが、案外ぴったりフィットすることも少なくないのでお薦めです。

そうすると、自分の中に「本当の魅力を表現するのを怖れている私」や「うまく行くことに不信感を持っている私」や「幸せになるのが怖い私」の存在に気付くことができるかもしれません。

そうすると相手と自分の関係性の問題から、今度は自分自身の問題として、この問題を見つめていくことができます。
そして、場合によってはこの方が相手に対してアプローチしやすくなるんですね。
自分の中にある何かの怖れを手放していくことと、その人に近づくことは実は同意であったりします。
だから、相手との関係が膠着状態になってしまったり、次の手が見つからないときは、思いきって自分自身を見つめていくことも一つの解決方法です。

●その先にあるもの

そうした怖がりさんの警戒を潜り抜けて信頼を得ていくと、相手のちょっとした優しさにも涙を流してしまうくらい喜びを感じられます。
そして、そんな喜びを感じている自分を見て、相手がまた信頼や愛情を深めてくれるようになります。
そんな好循環が展開されていくと、今までの停滞がウソのようにどんどん関係が進んでいくんですね。

そして、きらきらとした雰囲気を纏いながら、自分自身に本当に自信が持てるようにもなっていきます。
難攻不落の城を攻め落としたような感じで、何でもできそうな気がしてくるんですね。

●応用編

これは何も男女関係に限ったことではありません。
例えばビジネスでも、新規営業や販売などを担当されている方は思い当たるところが多いかもしれません。
人は普通、自分の知らないもの、得たいの分からないものに対しては過剰なほどの警戒心を抱くものです。
その警戒心を解いていくアプローチが求められますよね。

また、職場やサークルなどの人間関係にも同じことが言えます。
同僚や仲間でも、なかなかお近づきになりにくい人がいるでしょう。

そんな場でも、この「怖れを解く」というキーワードでアプローチを考えてみると、新しい見方が広がるかもしれませんね。

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