日常出会う悩みや問題の影には、大人になった私達の心に隠れる子どもの心が影響しているのかも!?
セックスレスのご相談で最近「仲はいいんですよ、でも、セックスだけがなくて」とおっしゃるお客さまに出会うことがよくあります。
そんなとき僕はこんな質問をすることがあるんです。
「それは大人として仲がいいんでしょうか?それとも、子どもとしてなんでしょうか?」
その答えの多くは後者のようです。
セックスというのは大人の男女がするものですね。
でも、お互いに大人になりきれていないと、その大人の営みは不必要なものになってきます。
(もちろん、意識的にはそうは思わないものですけど)
また、仕事に関して「いつも最初はいいんですけど、だんだん行くのがつらくなってきて、ふっと辞めてしまうんです」とおっしゃる方もいます。
「自分が本当にやりたいことはこれじゃないって強く思うようになって・・・」と。
趣味に関しても「最初は面白い!と思ってたのがだんだん興味を失って」と相談される方もいます。
「私って何にも向いていないんじゃないか?と思って不安になるんですよね」と。
パートナーはいるけど「結婚したいって気持ちになかなかなれないんですよね。私なんてまだまだって気がするんです」なんてご相談もあります。
その一方で「今は仕事の方に熱中しておきたいんです。家庭を持つのはその後ってことにしたいんです」とまっすぐにお気持ちをお話くださる方もいらっしゃいます。
そのすべてがそうだといえるわけではないのですが、そんなきっかけでお話を詳しくお聞きしていくと「大人になりたくない私」が心の中に存在していることに気づかされることが少なくありません。
もちろん、「まだ、あたし、子どもだから~」とおっしゃる方は少なくて、むしろ、外見的にも内面的にもきちんとした大人に見える方がほとんどです。
でも、あなたが何かしら「自分が子どもっぽいな~」と感じるシーンがあったとすれば、大人な心の影に隠れるようにして“子どもの自分”が存在してるのかもしれません。
これは“ピーターパン・シンドローム”と呼ばれることもある状態で、僕達の多くが抱えているテーマのひとつです。
その子どもの部分が成長すると「抵抗しがたい魅力」「無邪気さ」というかけがえのない価値を授けてくれる存在でもありますから、ぜひ、学んでいきたいジャンルですね。
●どうしてそうなるんだろう?
どうしてそんな自分が出てきてしまうかを追って、子ども時代まで遡ってみましょう。
○満たされない気持ち
皆さんが子どもだった頃、子どもらしくご両親に甘えたり、遊んだり、はたまた友達同士でわいわいがやがや遊びまわって、いやゆる「子どもらしい」と言われる時代を過ごされた方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?
子ども時代、お父さんが忙しくて自分が起きている時間にあまり家に居らっしゃらなかったとしたら、あなたの心の中では「お父さんに甘える」というパーツが満たされないままになっている可能性が高いのではないでしょうか?
また、お母さんが家計のやりくりに必死になっていたり、家事やパートに大忙しだったとしたら、十分に甘える時間は作ってもらえませんでしたよね。
それに、いい学校に入るためと小さい頃から学習塾に通ったり、ご両親に迷惑をかけないように両親にとっての“いい子”になっていたとしたら、わがままな子ども心はどこに置き忘れてきたのでしょうか?
大人になる“儀式”というほどでなくとも、そんな“当たり前の子ども心”が満たされないままになっているとしたら、それをパートナーや仕事、趣味、対人関係などで満たそうとするのが心の働きです。
それはまるで大学1年生の時に取り忘れた必修科目を、2年生でも3年生でも取得できるまで何度も受講するのと同じなのかもしれません。
○両親への絶望
子ども達にとっての大人の基準といえば間違いなくご両親です。
でも、お母さんが家計簿を見ながら眉間にしわを寄せていたり、仕事から帰ってくるお父さんはへとへとになってるのを見続けたとしたら、「大人って大変なんだ、しんどいんだ・・・。ずっと子どもでいられたらいいのに」なんて思ってしまうかもしれません。
そうすると自分が大人に成長していくのに抵抗するように、子どもらしさをどこかに残していきます。
仕事や趣味などが続けられない、結婚が否定的などの問題の影には、そうした心理が隠れていることが少なく無いようです。
そういう時はご両親への気持ちを自分なりに確かめてみるといいですね。
特に子ども時代、親をどんな風に見てたのか?そして、思春期以降や大人になってから、どんな風な見方をするようになったのか?をチェックしてみましょう。
○起こりうる問題
冒頭に紹介した例もそうですが、特に近い存在であるパートナーや子どもとの関係で問題となって出てくることが多いようです。
セックスレス、結婚したくない、子どもはいらない、子どもを愛せない、依存的になってしまう、等々。
そして、大人の心はそんな自分を責めるんですね。
「そんな私はダメなんじゃないか?」と悩むようになります。
だから、大人になりたくない私がいる場合は、総じて“自己嫌悪”や“自己否定”が強くなることが多いんです。
自分にそんな部分があるなあ・・・と思われた方は、ここに挙げた問題がおきていなくても、一度チェックしてみるといいかもしれませんね。
そして、そこで責めてしまうよりも、そんな自分を作り出している子どもの心に目を向けてあげることが大切では無いでしょうか。
●どうすればいいのか?
両親との関係が鍵になってくる、というのは明らかですよね。
もちろん、そんな両親が“悪い”というわけではないんですよね。
自分にとって完璧な両親ではなかったかもしれませんが、両親なりに頑張ってたところ、少なからずあろうかと思うんです。
でも、社会的な流れもあって、性的なものがタブーになっていたり、仕事を忙しくせざるを得なかったり、仕方のないところも少なくないのかもしれません。
○心の中の子どもな私を意識してみよう
だからってあきらめる必要はなく、心の中の子どもの自分にフォーカスを当てていくことが大切なことです。
「大人になりたくない」と言ってる私を見つけて大人に成長させてあげるわけです。
インナーチャイルドセラピーとして、このホームページでも紹介させていただいていますが、心の中の子どもの部分と繋がり、成長を促すきっかけになる方法として僕がよく使う方法でもあります。
※インナーチャイルドセラピーについては「個人カウンセリングの実際」よりこちらまたはこちらなどを参照下さい。
セラピーに至らなくとも、自分なりに心の中の子どもが言ってる「わがまま」「寂しさ」「甘えたい気持ち」に耳を傾けてあげましょう。
その気持ちを聴き、そして、受け入れていくことができると、少しずつその子は成長を始めていきます。
その子を無視してしまうからこそ、問題を起こして自分の存在をアピールするわけですから、その存在を意識してあげるだけで、時間はかかれど成長を始めていくものなんです。
(そして、問題も徐々に氷解していきます)
もちろん、何らかの方法で満たしてあげることもOKです。
パートナーがいらっしゃる方は、その子の存在を意識しながらパートナーに甘えてみてください。
普段は当たり前にやっていることでも、それを意識すると間違いなくぎこちなくなるはずです(笑)
○両親を許す
これは大きなテーマですね。
でも、一言で言えば「大人の自分の目でご両親を見てあげる」ということです。
ご両親に対しては僕達は無意識的にいつまでも「子どもの目」を向けてしまいます。
もちろん、ご両親も僕達を「親の目」で見続けるものですが。
その部分をちょっと横においておいて、一人の大人としてご両親を見てあげましょう。
特に自分達が小さかった頃、ご両親がどんな思いで自分を育ててきたのか?
どんな苦労があったのか?
どんな喜びがあったのか?
そんなコミュニケーションが取れていくといいですね。
その話を聴くときは意識しないとついつい子どもの耳で聞いてしまいますから、そこは意識して友達の話を聴くようにしてみてください。
どんな気持ちになっているのか?を感じながら。
僕達は知らないわけですけど、僕達の両親はみんな最初から“親”だったわけではないんですよね。
自分が生まれたり、兄姉が生まれて初めて“親”になるんです。
だから、子ども達から見れば完璧な両親を求めてしまう一方で、両親も慣れない“親”の役割を一生懸命やろうとしたものなんです。
もちろん、その意識が強すぎるせいか、途中で“親”であることを放棄してしまった方もいらっしゃるかもしれません。
そうした目でご両親を見つめられるようになると、心が自然とほぐれていくのを感じられるかもしれませんね。
●パートナーにそんな部分を感じたら・・・?
自分自身にその部分を感じたらパートナーもその要素を持っていることが少なく無いですね。
むしろ「私よりも旦那の方がそんな要素多いんじゃないかしら?と思われる奥様も少なく無いかもしれません。
パートナーのその部分を感じたとしたら、「あんた、子どもっぽい!」なんてダメ出ししないことが大切ですね。
時々自分のパートナーを「あの子」と呼んだり、子どもや妹・弟のように扱ってしまう方にお会いすることもありますが、そうするとお互いの役割が決まってしまいますので、なかなか問題はクリアになりません。
そういう時はパートナーの子どもっぽさを見ながら、自分自身の子どもっぽさに目を向けていくことです。
パートナーというのは案外イコールなものです。
パートナーの中にその要素が見えるとしたら、それはあなたの心の投影かもしれません。
だとしたら、それを自分自身の問題として捉えていくことがとても大切です。
特に自分の心に子どもっぽい部分があり、そこを自己嫌悪したり、抑圧している分だけ、子どもっぽさを出すパートナーを嫌悪したり、抑圧してしまうものです。
自分のことととして受け入れることができると関係性も良くなり、その一方で、大人としての自分の成熟も感じられるようになるのではないでしょうか?