許しの心理学３～許したいけど許せない～

許したいけど許せない。

そんな気持ちの裏側にあるものをお伝えします。

前回の許しの心理学２～恨みつらみを許してみよう～ では、
「あなたは、誰に何を許していないのか？」ということをテーマに勉強
していきました。
この許しの心理学は大変好評で、たくさんの感想をいただきました。
皆様ありがとうございました。
そして、その感想の中に『許したいと思っている人がいます。
許したいと思っているのですがなかなか許せません、
どうしたらいいんでしょう？機会があれば講座で取り上げてください。』
というようなリクエストを多数いただきました。
今回はこのリクエストにお答えする形で心理学講座を進めていきます。

◆　許したいけど許せない　◆

許したいけど許せないってどんな感じだろう？
イメージしにくい方の為に具体的シチュエーションをいくつかあげますね。

・３年間付き合った彼がいました。
結婚しようというお話もしていた彼です。すごくやさしい彼でした。
だけどある日突然、彼は豹変しました。好きな人ができた、
お前にはもうあきた、今まで一緒に居てあげただけありがたいと思え、等と
私を傷つけるような言葉を吐き捨て出て行きました。
それからもう１年たちますが、そのことを思い出すと毎回涙がでます。
苦しくなります。
私にひどい言葉を言った彼を許してもう引きずりたくないのですが、
腹がたったり、惨めな気持ちになったりでなかなか許せません。

・とても仲のいい友人がいました。
仕事も、プライベートも付き合いがあり一番信用していた友人でした。
会社である仕事が持ち上がりました。二人でそのプロジェクトを
進めていっていたのですが、会議でプロジェクトの中間報告の時に、
友人はすべて自分の手柄になるように話を進めました。
私の口をはさむところが無いように会議を運んでいきました。
私は信用していたのに裏切られた気持ちでいっぱいです。
今もその友人とは一緒に仕事をしています。でも友人の顔を見る度に
あの日のことを思い出し友人を憎んでしまいます。
仕事に支障がでる為、あの日のことを忘れようと思います。そう思うの
ですがなかなか彼を許せません。それがまた苦しいです。

具体的なシチュエーションでどんな感じかイメージできたでしょうか？
この２つのシチュエーションは、どちらも許したいという気持ちは持っている
ようですよね。
許すということで、今の苦しみから抜け出せる。このことも知っている
ようですよね。
でも、許せない。なんでなんでしょう？

許せないという時はわだかまりというものができているようです。
うらみつらみがあったり、嫉妬があったり、
なんらかのわだかまりがあったりするようです。
この２つのシチュエーションを見てもなんらかのわだかまりがありそう
なのがところどころに見渡せます。
（よろしければ、この２つのシチュエーションをみて
どんなところがわだかまりになっているのか分析してみてくださいね。）

このわだかまりが、許すという意思を妨害してしまうブロックとなってしまい
許そうという意思はあるのに許すということができなくなって
しまうようです。

ということは、このブロックをはずすということが
許すということができやすくなる為に必要になるようですね。
わだかまりをなくしていくことが、許すということができる為の鍵になります。

◆　そんな気持ちに隠れる傷ついたハート　◆

わだかまりの代表格といえば、うらみつらみです。
うらみつらみ以外のわだかまりもいっぱいありますが、わだかまり人口密度
というのがあるとしたら、東京都や大阪府くらいの密度はあると思います。

うらみつらみというと怒りの一種の形態です。
怒りというのは感情の蓋と言われています。本当の感情がありその感情を
見たくなかったり、見るのがあまりにつらいので怒りという感情を作って、
私たちは本当の感情に蓋をしてしまします。

怒りの下にどんな感情が隠れているんでしょうか？

怒りの下には、悲しさや、寂しさという感情が隠れています。
うらみつらみがある時は、悲しさや、寂しさという感情を抱えた
傷ついたハートが隠れています。
でもこの悲しさや、寂しさはうらみつらみといった怒りの感情に隠れて
しまって見えなくなってしまうことも多いようです。

うらみつらみを無くしていくには、この悲しみや、寂しさを癒していき
傷ついたハートをケアーしていくことがいります。
カウンセリングでも、うらみつらみを掘り起こしていくと、隠れていた
悲しみや寂しさがでてきます。でてきた感情を癒していくことにより
うらみつらみが手放していけるようになり楽になっていきます。

相手のことを許したいと意欲はあるのに許せない。
そんな時は、心が傷ついているのかもしれません。
まずは、傷ついたハートのケアーから始めることをお勧めします。

早く許して早く前に進まなければと焦ってしまうこともあると思います。
でも、焦ってもしんどいだけで空回りしてしまいがちです。
そんな時は、焦らずじっくりと進んでみようと思ってみましょう。
悲しかったこと、寂しかったこと、つらかったこと、そんな気持ちを抱えた
ハートを大切に扱ってあげてみようと思ってみてください。
まずは、そこからスタートしてみましょう。

傷ついたハートを癒すところからはじまり、わだかまりをほどいていき、
きっと許しに到達できるはず。
そして羽が生えたように軽くなった心で次に進めるはず。

くじけそうになった時、あきらめそうになった時、どうしていいかわからない時、
傷ついたハートを持て余してしまう時、一人で抱える必要はありません。
そんな時は誰かに頼ってみてください。
もちろん、僕たちにもご相談してみてください。
きっと許しに到達できます。

この記事を書いたカウンセラー