私達には競争心というものがあります。
それは、大好きな近しい関係性の人に対しても、顔を出すことがあるのです。
自分のやり方や、考え方にこだわるあまりに、どちらが正しいのか、どちらが勝つかの競争になってしまい、相手との関係性を壊してしまうことも少なくないのです。
お互いの違いを認め合い、対等な関係性になることで、重い関係性から抜け出すことが可能なのです。
母親が子供に関わりすぎてしまい、子供がうっとおしく感じるとか、彼が彼女と常に一緒に居たがるので、彼女が彼のことをうっとおしく感じてしまうなどのように、誰かとの関係がうまくいかないということはよく起こるようです。
実際にカウンセリングでも、ご相談が多いジャンルのひとつになります。
今回の心理学講座では、このような問題を、違った角度からシリーズで解説していこうと思います。
今回は、「競争」という目線でこの問題を解説していきます。
勝ち負けの意識を強く持っていたり、相手をコントロールしたいという思いが強いと、相手との競争によって、関係性が重いと感じるようになってしまうことがあります。
お付き合いしているカップルの場合ですと、それぞれの「やり方」「考え方」というのを持っていますね。
そして、お互いが自分のやり方や考え方を優先したいと思っていた場合、それぞれがお互いの領域に介入し、やり方や考え方を自分と同じにさせようとあの手この手を繰り出してしまうことがあります。
例えば、彼が節約家であったとしましょう。
節約するということが悪いわけではありませんが、二人のことを、自分のやり方で節約しようとすると問題になったりします。
デートしていて喉が渇いたし、歩き疲れたので、どこかでお茶でもと彼女が思った。
でも彼は、自動販売機のジュースでいいのではないかと主張する。
どちらが正しいというのはありません。
カフェでお茶してもいいですし、自動販売機でジュースを買ってもかまわないのです。
でも、競争して相手に勝つことで、自分のやり方を通そうとすると、「君はいつも無駄遣いをするよね」などと彼女に対して、お説教モードになってしまうかもしれません。
こうなると、彼女としては、「のどの渇きを癒す方法まで、決められたくはない」と思ってしまうかもしれませんね。
(もちろん彼女側にも競争心があるのですけどね)
親子関係で競争などないだろうと思われることも多いのですが、親子関係でも競争は多く起こります。
むしろ同性の親子競争は多いのかもしれませんね。
例えば、お母さんは昔親が厳しくて、ほとんどオシャレができなかったとしましょう。
ところが娘は、オシャレが大好きで、様々なファッションを楽しみ、ネイルアートなんかも楽しんだりしている。
そうすると、お母さんとしては、オシャレという部門に関して、娘に負けているような気がしてしまうことがあります。
そこで、「少しは家事ができるようにならないとダメよ」と、娘のオシャレをする時間を家事習得に向けさせようとしたりするかもしれません。
娘の時間に介入してしまうわけですね。
こういった競争の心理がある場合は、対等さというのが大切になります。
お互いがお互いを尊重し、対等な関係性であるということです。
どちらかが正しいということではなく、お互いが心地よくなれる考え方ややり方はないかと探っていく必要があります。
また、例え親子や恋人という近い関係性であっても、それぞれが違う考え方ややり方を持っているのだと、違いを認め合っていくのも大切なことになります。