職場の人間関係は仕事を続けていきたいのかを決める大きな要因の一つかと思います。
中でも上司との関係は、つつがなくやって行きたいものの問題を抱えていらっしゃる方も多いかもしれません。
あなたがもし上司を嫌っているとしたら、職場へ行くのも億劫になるかもしれませんね。
嫌いな上司のせいで仕事まで嫌になってしまわないようにしたいものです。
上司との関係は、あなたが「権威」というものにどのような意味づけをしているのかを見ていくと、対応策が見えてくるかもしれません。
心理学では、投影の法則と言って、人間は自分が見ている外の世界に、自分の心を映し出すと言われています。
たとえば、ある人が「権威ある立場の人」とは、次々に自分自身で決断を下していく人であるべきだ、と(この場合意識しているかはともかく)思っていたとします。
すると、「上司」のような権威ある立場の人が、次々と一人で決断していく姿は、頼もしく見え、好意的に受け取ることが考えられます。
一方、別のある人が「権威ある立場の人」とは、下の立場の人々の意見をよく聞いて物事を進めていくべきだ、と思っていたとすると、「上司」が一方的に決断していく姿は、自分勝手で高圧的に見えたりし、否定的に受け取ることも考えられます。
同じ上司に対して、好意的に見るか否定的に見るかは、人それぞれである、とも言えるようです。
この投影の法則を前提に、もしあなたが上司に対してあまり良くない印象を持っているとしたら、あなたの「上司(権威ある立場の人)とは、こうあるべき」というものと、実際の上司との間にギャップがあり、そのギャップに対してあなたが何らかのネガティブな感情(例えば憤慨しているとか)を抱いていると言えるかもしれません。
いったいあなたは上司の何が嫌いなのか、まずはそこを明確にしてみるのはいかがでしょうか。
あなたは、上司の何を嫌っているのでしょうか。
決断力がない
勝手に一人で何でも決めてしまう
上司自身が意見・指示をころころと変えてしまう
高圧的・威圧的だ
部下によって差別をする
上司が自分自身の出世ばかり気にしている
上司が私より仕事ができない人だな、と思う
上司が私のことを嫌っているような態度を取る
上司が子どもっぽい
などなど、色々と出てくるかもしれません。
人間は生まれてから、「権威ある立場の人」と接する機会がたくさんあるかと思います。それは身近なところでは、「お父さん」「お母さん」「先生」などであり、そういう方々との関係があなたの「権威」に対する思いを作っていくようです。
例えば、あなたのお父さんがいつも家族の中で全ての物事を決断していく人で、他の家族には何も決定権が無く、そんな父親をあなたが嫌っていたとします。すると「権威ある立場の人」がお父さんのように「一方的に何でも決める人」であることをとても嫌うことがあり、もっとこちらの立場をわかってほしい、と思ったりします。
そして大人になって出会った権威ある人(上司など)が、もしもワンマン上司だった場合、あの子どもの頃に父親を嫌った感情、父親に満たしてもらえなかった思い、もっと自分に優しくして欲しいとか、自分に興味を持って欲しいなどの思いが沸々と湧き上がって来て(意識しているかはともかく)この上司は頭にくる!などと思ったりすることもあるようです。
さて、嫌いな上司と上手くやっていく方法があるとしたら、それは自分自身がその上司について悪印象を持ってしまう原因として、権威という立場に何を投影しているのか(権威ある人はどうあるべきだと思っているか)またそうなった原因は何だったのか(過去の権威ある人にどのような感情を持ったのか)を考え、そこに「許し」の要素を加えることが一つのお勧めであります。
「許し」というのは、「あいつはあんなヤツだが仕方ない、許してやろう」というものではありません。
上の例でいえば、当時の父には父の、暴君のように振舞わなければならなかった理由があったのかもしれない、それは母との関係だったかもしれないし、仕事上の問題があったのかもしれない、または父親のそのまた両親(あなたの祖父母)などから家族に脈々と流れてきた家族のパターンかもしれない、と思いを馳せてみて、かつ父も暴君になりたくてなったわけではなく、そうせざるを得ない理由があったのだ、と、そんな父親の当時の気持ちに寄り添うこと、などができれば、父に対する(隠れているかもしれない)怒りなどをも手放し、自分自身がそんな父をも許せるほどの「大きな愛の存在になることを自分に許す」ことができるかもしれません。
このように、自分がより大きな愛になることを心理学では「許し」といい、この許しが起きることで、上司が暴君であることを自然と問題視しなくなることもあり、嫌いな上司もまた自然と許容できるようになっていくのではないかと私は思います。