こんにちは 平です。
私は健康にはまったく無頓着でしたが、4年前、糖尿病にかかったことをきっかけに、だいぶ気をつけるようになりました。
その際は「あれがいい」、「これがいい」と、まわりの人々からいろいろなアドバイスを受けましたが、なるほど、世の中にはじつにさまざまな健康法があるものです。
たとえば、私が行ったのは炭水化物を減らす方法でした。糖尿病患者にとって、炭水化物はそれこそ砂糖をとっているがごとく、食べた分だけ血糖値を上げてしまいます。
よって、炭水化物をできるだけ減らし、肉や野菜はたくさんとり、血糖値をコントロールするわけです。意外かもしれませんが、われわれ糖尿病患者にとっては、そばを食べるより、肉を食べているほうが健康にはいいわけです。
さて、ある日、カウンセリングを受けにこられた奥さまは、それはそれはものすごい健康オタクでした。
ご主人は肉も魚も野菜も大好きで、「なんでもおいしくいただいちゃいます」という人でしたが、奥さまが健康食に凝るようになってから、お肉はまったくもって食べさせてもらえなくなりました。
奥さまのそのライフスタイルが悪いものではないということは彼も理解していますし、健康のためには効果的だということも知っています。が、しかし、たまには肉も食べたくなるのです。
それで、ときどきこっそりと吉野家の牛丼を食べたり、マクドナルドのハンバーガーを食べたり、フォルクスのステーキを食べたりするわけですが、そのほとんどがバレるのです。
バレてしまういちばんの理由は、ニオイでした。それがわかってからは彼も賢くなり、歯みがきをしたり、マウスウォッシュで口をゆすいだりして証拠隠滅を図るわけですが、そのような爽やかなニオイをさせながら帰ってくることで、奥さまはまたもや彼の行為を見破るわけです。
そして、そこから壮絶なケンカが始まります。なぜなら、奥さまにとって、これはまさしく“浮気”に等しいことだからです。
奥さまはご主人の健康を考え、正しいことをしていると思っているわけですから、間違ったことをしたご主人を許すことはできません。ですから、「正しいことをしている私を裏切った浮気野郎!」となってしまうわけです。
ご主人にしてみれば、「いいじゃないの~。ハンバーガーの1個ぐらい食べさせてよ」という気持ちなのですが、奥さまの耳には「1回ぐらい、若い娘とホテルに入ってもいいじゃない」とか「つきあいで仕方なくソープランドに行っただけだよ」と言っているように聞こえるわけですから、到底、許せるものではありません。
奥さまの健康オタクはもはや信仰に近いレベルにもなっていますので、ご主人が肉を食べるということは、神をも恐れぬ行為であり、まさしくこれは悪業なのです。
ここで、ご主人も信仰を替え、従順な信徒となればよいのかもしれませんが、奥さまのような健康オタクにはどうしてもなることができません。
そんなわけで、奥さまとしてはご主人のためを思って始めた食生活であったのに、いまやそれが夫婦の溝となっていました。
奥さまからのご相談を受け、私はこんなふうにアドバイスしました。
「ご主人のことを思っていろいろ工夫されるのは、素晴らしいことだと思います。ただ、ご主人のやりやすいやり方でないと、それがどんなに素晴らしいことであったとしても、押しつけとなってしまいます」
「押しつけでは、やはりうまくいきませんよね。しかも、ご主人のためというよりも、あなたがご主人をコントロールする材料となってしまいます。それでは身もフタもないですよね」
その後、彼女なりに考え、健康食がどんなに体によかったとしても、彼の心のストレスになっているとするならば、それはよくないという結論に至りました。
そして、いまでは2週間に1回、お肉を食べてもよい日というのを作り、なんとか夫婦和合へと至ったということです。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!