こんにちは 平です。
みなさんによくこういう話をします。
「あなたがどのような人であったとしても、そんなあなたのことを大好きになる、あなたにとっての“真実の人”がいるのですよ」。
そのたとえとして、よくバカボンのパパを好きになるバカボンのママのことを話すのですが、みなさんからは「それは、マンガの世界の話でしょ!」と否定されます。
が、しかし、あえて言いたいのですが、これはマンガの世界にかぎらず、実世界でも意外とよくあることなのです。
私はじつに多くのみなさんの恋愛事情を聞く立場にあります。ですから、「なぜ、この人があの人を?!」というようなとんでもないカップルもたくさん見てきました。
たとえば、昔、私どもの受講生に、とてもとんちんかんな男の子がいました。
自分に自信がなく、自分の好みや感性にも自信がないので、なにをするにも迷うタイプでした。
極端な話、ファミリーレストランに行っても、注文を何度も変えるわけです。言い換えれば、とてもめんどくさいタイプでもあったわけです。
それでも、みんなはめんどくさがりながらもその彼をチームの一員として受け入れ、彼をからかったりしながら友だち関係を続けていました。
が、しかし、その中で一人、彼を嫌っている女性がいました。彼女はお嬢様タイプ、いや、ほんとうのお嬢様で、そして、彼を嫌う理由は「彼がまわりの人に迷惑をかけるから」というものでした。
その後、あるセミナーで“シャドウを統合する”というテーマを取り上げました。
シャドウというのは「あなたが大嫌いな人やものは、あなたは認めたくないかもしれないが、自分自身の中にもっている要素なのですよ」というものです。
で、そのセミナーの中で彼女は「自分のシャドウは彼だ」と気づいたわけです。
彼女は小さなころから「人に迷惑をかけてはいけません」とか「もっとまわり人に配慮しなさい」などと厳しく教えられてきました。そして、自分はがんばってその通りにしてきたのに、彼はそれが上手にできないということを責めていたわけです。
彼女はこのセミナーにおいて、「自分がまわりの人に配慮できないわがままな人間だとしたら、そんな自分にはまったく存在価値はないし、生きていてはいけないのだ」とひどく思い込んでいたことに気づきました。
そして、「自分が彼と同じようなふるまいしかできないのだとしたら、生きていることはできないだろう」と感じたわけです。
じつは彼女もなにかと悩んだり、迷ったりするほうだったのですが、それは自分には許されないことだと思い、本来の自分を隠して判断力のある女性のようにふるまっていました。そして、「そんな自分はひどい嘘つきだ」とも思っていました。
そんな彼女の目に、彼のことがだんだんと「ものすごく正直な生き方をする人」、「それができるぐらい強い人」と見えるようになってきたわけです。
もちろん、彼は自分のことをまったくそんなふうには思っていないわけですが。
恋愛において、大事な要素の一つが“相補性”といわれるものです。自分にないものをもっている人、自分にできないことができる人に、私たちは魅力を感じるというものです。
つまり、彼女は彼の生き方にものすごく興味をもちはじめ、その彼の特質が次第に魅力的に見えるようになってきたわけです。
もちろん、まわりの全員が「なんで、そんなに手のかかる人を‥‥」とか「苦労するだけだよ」などと反対しました。が、しかし、“ロミオとジュリエット効果”とでもいうのでしょうか、恋はまわりに反対されればされるほど燃え上がるもの‥‥。
「あなたは私がいないとダメなのよ」と彼女が彼を押し切り、もちろん、美人でお嬢様で人気者の彼女を彼が嫌う理由などなく‥‥。
「ぼ、ぼ、僕でいいの‥‥?」という彼に、「あなたはどうせ決められないんだから。私がいいからいいの!」と彼女がさらに押し切り‥‥、で、いまや二人は結婚し、子どももいる家庭をもっているわけです。
このようなケース、私は意外とたくさん知っているのですよ。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!