こんにちは 平です。
「ストーカーというほどじゃないんですけど、断っても断っても離れてくれないんです‥‥」。ときどき、こんなご相談を受けることがあります。
好意を示されたものの自分にはまったくその気がない、もしくは「すでにパートナーがいる」と断ったはずなのに、なかなか離れてくれず、困り果てているわけです。
客観的に見ると、アプローチしているその人にとっては、どうやっても勝ち目のない戦いです。体よくあしらわれたり、迷惑がられたりもしていることでしょう。
しかし、じつはこのタイプの人は意外と多く存在します。その特徴の一つは、自分の世界にズッポリと入り、自分の世界で物語を作ってしまうということです。すると、空気が読めないというか、自分のものの見方以外ができにくくなってしまうのです。
このタイプの人には、子どものころから自分の世界や価値観を否定されることが多かったという場合が少なくありません。まわりの声をすべて聞いていると、なにをどうしていいのかまったくわからなくなり、自分を否定することしかできなくなるので、防衛のために自分の世界を作り、自分らしさを維持しているわけです。
しかしながら、そもそもが「人は自分を理解しない、自分を否定する」ということを原点に自分の世界観を作り上げているので、それはやはり結果的には、まわりの人にとっては、責めたくなったり、否定したくなったりするものであることが多いわけです。
このタイプには、一見、ポジティブな人が多いのですが、よく観察してみると、心理学でいう“肯定的な否定”をよく使います。
肯定的な否定とは、本当は問題が多いのですが、「まったく自分には問題がない」とか「いつも明るく楽しくやっているから、放っておいてくれ」とか、肯定的な言葉を使いながら、人との関係性やコミュニケーションを拒絶するということです。
もちろん、これも一つの防衛です。この肯定的な壁が崩壊してしまうと、救いようのないほどネガティブなものが吹き出してしまい、収拾がつかなくなってしまうのです。それを本人は心の中で自覚していますので、けっして否定的なことは認めないのです。
異性とのおつきあいも「うまくいきっこない」と本当は思っています。
が、そのネガティブな思いの上に、「きっと大丈夫。彼も私の思いにこたえてくれるはず」とか「ぼくほど彼女を愛している人間はいない。愛は必ず勝つ」というような肯定的な思いの壁を作り、それにしがみついていくわけです。
といっても、これはひとりよがりの思いですから、外側から見るととても滑稽です。
客観的にも「うまくはいかないだろう」とだれもが思うのですが、本人にどう伝え、どうしてあげればいいのかが誰にもわかりません。また、本人もその強い思い込みにしがみつこうとしているので、ネガティブなことにはけっしてふれようとはしないわけです。
このタイプの人は、ものすごく強く愛を求めながらも、「自分を愛し、受け入れてくれる人などだれもいない」という強い思いをもっています。
そして、その思いに縛られているがゆえに、本当に自分を愛してくれる人が現れても、気づかないどころか、その目を避ける傾向すらあります。
なぜなら、彼らの痛みや孤独を受け入れ、愛してくれる存在が現れたとしたら、それこそ、彼らが必死で作ってきた世界観が崩壊してしまうからです。それに怯えているわけです。
ちなみに、これはこれらの人々にかぎらず、じつは私たちもしばしばすることです。
私たちは、正しいか、間違っているかは別として、自分が信じ込んでいる価値観や考え方を、とりあえず守っていきたいと思うものです。
というのも、もし、それが間違っていたのだとしたら、いままで、とんだ無駄なことをやってきたということにもなるからです。すると、ものすごく大きな失敗感がやってくるかもしれないことを恐れているわけです。
しかしながら、もし、それらが価値のないものなのだとしたら、早めにあらためるに越したことはないわけです。が、なかなかそれに気づくことができないのですね。
「より良いやりかたがきっとあるはずだ」とたえず思っていたとしたら、あなたのもとには、新しいスタイルとともにインスピレーションが届けられるはずです。
それを阻むものがあるとしたら、それは、“ガンコな自分”なのかもしれませんね。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!