離ればなれの結婚

こんにちは、平です。

私の知り合いに、1年のうち11カ月近く、日本と海外で離ればなれに暮らしているという夫婦がいます。

結婚して、まだ4年目なのです。

結婚して10数年のご夫婦の場合、お子さんの教育のために、ご主人だけが海外で単身赴任というケースはよくありますが、知り合いのこの夫婦は新婚早々から離ればなれなのです。

「新婚時代から? 二人で海外で住めるなんて、ロマンチックなのに、なぜ、そうしないの?」と、多くの人は思うでしょう。

ところが、彼の海外の赴任先は、もう、どうしようもないほど治安の悪いところなのです。スリや強盗はあたりまえ。平和な日本で暮らしてきた女性など、とても住めるようなところではないらしいのです。

彼女もそんな実情を知るまでは一緒に住もうと考えていましたし、彼もそんな殺伐としたところだからこそ、奥さまという愛する存在とともに暮らせればと思いもしました。

が、やはり、どう考えても危なすぎる環境であったため、二人で相談し、泣く泣く、離れ離れに暮らすことを選択したわけです。

ちなみに、離れていても、SkypeやSNSなどがあれば、いつでも連絡がとれるだろうとみなさんは思うかもしれませんね。

ところが、彼の職場はそのような施設や通信環境さえない山奥で、それこそ、生きているのやら、死んでいるのやらも、わからないという状況です。ひと月に1度は電話やメールが来て、生存確認ができるというレベルなのだそうです。

じつは、彼は宝石の原石を扱う仕事をしています。職場である山奥深には、一攫千金を狙う人々が世界中からやってきて、そして、めったに出ないような素晴らしい原石は、それこそ、奪い合い、殺し合いになることもあるとか。きわめてアウトロー的な仕事であるわけですが、当たれば大きいわけです。

そして、彼はたいてい年に2回、2~3週間の休暇の期間だけ、日本に帰ってきます。その期間だけが二人の新婚生活といえるのですが、それがあと何年の辛抱なのか、まったくわかっていません。

彼は一生、この仕事をするつもりはないのですが、若いうちにこの仕事でできるだけ稼いで、あとはゆっくりしたいと考えていました。が、結婚したことで、さらなる欲が生まれ、家族のためにできるかビリ稼ぎたいと思うようになり、現在のような過酷な結婚生活が続いているわけです。

この夫婦をつないでいる唯一のものは、信頼関係です。

ふつうのサラリーマンのように、安全があたりまえの仕事ではありません。ただ、「彼が私たち家族のために、一生懸命がんばっていてくれる。私も彼のために、つらいけどがんばる」という気持ちのうえに成り立っているカップルであるわけです。

そして、年2回の逢瀬では、それこそ、二人が出会ったころとなにも変わらないぐらい、ものすごくロマンチックで情熱的な大ロマンスが生まれるそうです。

二人で一緒にいられるときは、ほんとうに命がぶつかりあい、燃やしあうというぐらい、情熱的な時間が流れるといいます。

彼女も、自分の結婚が一般的な形ではないことをわかっていますが、彼女にとっての二人の結婚生活は、彼がいるか、いないかの2つで、そして、彼がいるときの情熱的な時間にとても満足しているようなのです。

一般的には、ご主人は毎日、奥さまが待つ家に帰り、二人が一緒にいるのがあたりまえです。

その意味では、この夫婦は特殊で、結婚観も私たちとはだいぶ違うかもしれませんが、ちょっと紹介してみたくなったので、お話ししてみました。

 

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

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神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。