まったく違う二人

こんにちは、平です。

パートナーができたとき、そのお相手の趣味や世界観に影響されるということはよくありますよね。

あるいは、パートナーの趣味のお店にいっしょに行ったり、パートナーのお気に入りのアーティストのライブに連れていかれたりすることで、これまでは考えもしなかったことにチャレンジするということもあるものです。

いうなれば、パートナーへの愛が、これまでのあなたならけっして踏み込むことがなかったような世界にあなたを連れていってくれるというわけです。

私の知り合いのある男性は格闘技マニアでした。その彼がつきあうことになった彼女は大の宝塚ファンで、彼は無理やり誘われ、宝塚の公演を観にいくことになったのです。

結果、なにゆえか、彼は宝塚にズッポリとハマってしまったわけです。

まもなく、彼女は彼の奥さまとなったわけですが、その奥さまとはいまでも定期的に宝塚歌劇を観に通っているそうです。

彼の見た目と宝塚のイメージがあまりにも違うので、われわれ仲間はいつもおもしろおかしくこの話をしています。ちなみに、彼女のほうは、彼の趣味であるプロレス観戦にはハマらなかったとのことです。

このように、男女関係がもつ素晴らしい側面の一つが、自分とはまったく違うタイプの人に魅力を感じることにより、自分にはけっして縁がなかったであろう、さまざまなものごとに出会えることといえるでしょう。

それが、ときには大きく自分の価値観を変えたり、広げたりとさまざまな化学反応を呼び起こすのですね。

目の前にいる彼や彼女は、それぞれの環境で過ごし、それぞれに多様な経験を積み重ねてきた中で、現在のような人になったわけです。

その環境や生活習慣、文化、また、その人の考え方は、あなたのそれとはまるで違うかもしれません。にもかかわらず、表面的には、あなたと価値観がすごく似ているように感じたりすることもあります。

すると、おつきあいしてみてはじめて、あなたの考えていたような人ではまったくなかったので、失望し、別れたいと思うことも、ま、よくあるパターンなのですが、そういう場合も少なくありません。

反対に、自分とはあまりにも違うことに興味をひかれることもあります。

その場合は、「なぜ、こんな考え方をするのか」などと思いながら、さらにおつきあいする中で、大きく違う二人の間にオリジナルの絆や架け橋を作る必要が生ずることもあります。すると、ともに作り上げた絆ゆえ、二人の関係が素晴らしい化学反応を起こすことも多いようです。

私が知るある奥さまは、絵に描いたようなエリート家庭で育ち、結婚後はいわゆる教育ママになっていました。

ご主人は美容師さんで、チェーン展開をし、けっこう稼いでい増したが、学歴はほどほど。むしろ、職人気質という言葉のしっくりくるタイプだったわけです。

この二人がおつきあいをし、結婚してしばらくは問題がなかったのですが、子育てについて、二人はぶつかりあうわけです。

すべての科目が優秀であるのがあたりまえで、塾に通わせようとする奥さまと、「放っておけばいいんだよ。勉強が好きならば勉強するし、嫌いならばほかのことで生きていくだろう」というご主人。考え方のあまりの違いに、二人は大もめにもめたわけです。

解決の決め手になったのは、「じゃあ、なんのために勉強するんだ?」という言葉に始まる、ご主人の勉強に関する持論でした。

「義務教育では、子どもがなにに向いているかわからないので、とりあえずひと通りぜんぶ勉強させる。その中で、できない科目というのは、そこには才能がないということだから、おれはやらなくていいと思ってる」。

「好きな科目、できる科目が1個だけ見つかれば、人生はその1個で勝負できる。それは、ひょっとして、勉強の科目じゃないかもしれないがとにかく、大好きな1個を見つけるのが勉強の目的だ」。

このご主人の話に、奥さまは衝撃を受けました。なぜならば、彼女は「勉強はしなければいけないもの」、「苦手な科目は作るな」としか言われたことがなかったからです。

ご主人はさらに続けました。

「おれは美容師という好きな仕事をし、おまえという好きな女と結婚し、なんの不満もない。おれが見つけてやらなきゃ、おまえはいまだに好きなものがわからず、迷っていたかもしれないなぁ」。

このひと言で、奥さまの価値観もガラリと変わったようですよ。

 

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。