こんにちは、平です。
よく、おもしろい芸人ほど、プライベートでは寡黙で気難しいなどという話を聞きますよね。
芸人にかぎらず、人間には大なり小なり、二面性があるものです。要はそのバランスが大事といえるようです。
人間の二面性を表す言葉もいくつかあります。『ジキル博士とハイド氏』といえば、ふだんは紳士である博士の裏側に、どう猛で残忍な性格が隠れているということですし、『淑女と娼婦』は女性の二面性を表します。
かつて、ある女性からこんなご相談を受けたことがあります。
彼女は社内恋愛でものすごく仕事ができ、几帳面なタイプの彼とおつきあいを始めたのですが、その彼の二面性にびっくりしたというのです。
彼はとても性格がよく、几帳面なしっかり者で、上司にも忠実な部下なのだそうです。そんな彼のことを彼女は大好きになったのですが、じつはプライベートの彼はとてもルーズな男性でした。掃除は苦手、服は脱ぎっぱなしで、とにかく部屋が汚いらしいのです。
また、自分が上司に忠実であるように、パートナーである彼女には自分に忠実であってほしいという要求を突きつけてくるような始末。それまでのイメージとのあまりの違いに、あ然としてしまったわけです。
「これはもう、彼女というよりも、奴隷みたいな気分」と思った彼女は、「もう別れようか」と考えはじめていたわけです。
「では、なんで彼はプライベートではそうなっちゃうんでしょうね。そこから考えてみましょうよ」というところから、カウンセリングはスタートしました。
彼女曰く、「たぶん、会社では気を張りすぎていて疲れてしまい、家ではなにもする気がなくなるんだと思います」。
「私もそう思いますよ」と私は言いました。「本来ならば、会社での気遣いをもう少し減らし、プライベートに回すとバランスがとれるんでしょう。けれど、彼は会社で全身全霊つかってしまうから、家ではルーズになってしまうんですね」。
そして、彼女にこんな質問をしました。「彼が会社で使っている気遣いを減らすことは可能だと思いますか?」
彼女はキッパリと応えました。「それは、無理だと思います」。
「そうなると、選択肢は、彼と別れるか、それとも、そんな彼の援助者として、これからも一緒にいるかとなりますね」。
すると彼女はあきらめたような顔でこう言ったのです。「仕方ないなー。面倒見てやるか」。
ちなみに、これは私が20年ほど前にしたカウンセリングで、いまやこの問題の彼は某一流企業の若手重役になっています。
そして、相談者の彼女がおもしろいのは、彼の家での面倒を全面的に引き受けただけでなく、彼に「あなた、稼ぐ人。私、使う人」という図式を調教しきったことでしょう。
実際、彼は働き虫で、仕事で業績を上げるということには情熱的に取り組むわけですが、プライベートでは趣味のようなものをなにももっていません。
で、奥さまである彼女や子どもたちが幸せそうにしていうことで満たされるというタイプなので、彼女はそこのバランスを上手にとってあげたというわけです。
私はよく、「女性は男性に文化を教えてあげなさい。生きる喜びを知らない男性たちに、人生をどう楽しむかといったことなどを教えてあげるといいですよ」と、みなさんにレクチャーしています。そのモデルになってくれた人が、まさにこの彼女であるわけです。
夏が近づくと、彼女は「夏休みはちゃんととれるんでしょうね」と彼を脅し、日程が決まると、その休暇は彼女がすべてコーディネートします。
ご主人は3日ほど前まで、今年の夏休みはどこに行くのかということも知らされていません。
そして、その日の朝、叩き起こされ、彼女のプラン通りの休暇を過ごし、感動し、そして、会社で自慢をし、「センスのいい重役」などともてはやされたりしています。
が、じつはそのほとんどは奥さまのセンスなのです。もっと言えば、彼の洒落たスーツやネクタイも、すべて奥さんのセンスによるものです。
パートナーシップの素晴らしさは、このように、二人でバランスを取りあうことができることです。
本来であれば、自分の中でバランスがとれるとベストなのかもしれませんが、バランスを取りあうことで、二人が成功できるということもあるわけです。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!