こんにちは、平です。
さまざまな恋愛のご相談をいただきますが、なかでももっともしんどいだろうと感じるのが、別れたパートナーに未練があり、いまだに執着しているという場合です。
このようなケースでは、その人の中で別れたパートナーがものすごく美化されていることが多いようです。
あなたをふった人であるわけですから、ほんとうは良くない人に違いないのですが、失恋を引きずってしまう人の多くにこの傾向が見られます。
そして、これは、新しいパートナーがなかなか現れないという弊害をもたらします。
なにぶん、比べる相手は“完璧な人”。あんなに素晴らしい昔のパートナー以上の相手が現れることはけっしてないわけです。
しかしながら、心理的に見ると、これは「完璧なパートナーは私を選ばない」というあなたの自己概念を表してもいます。そして、それを、現実のこととして証明しているようなものともいえるのですが‥‥。
過去のパートナーに執着してしまうと、あなたの時間はまるでそこで止まったようになってしまいます。
そして、あなたは止まったその過去を見ながら、後ろ向きで歩いているような状態です。あの素晴らしかった時代がどんどん遠ざかるように見え、あなたの心は引きちぎられるばかり‥‥。
このとき、多くの人は、「もう、あのような素晴らしい恋ができるはずがないし、あんなに素晴らしいパートナーにめぐり逢うこともけっしてない」という思いによってのみ、この物語が成立しているということに気づいていません。
なるほど、過去のパートナーを美化し、このような人はもう現れないだろうと思い込んでいるうちは、それ以上のパートナーが現れることはないでしょう。
だって、最高の人が現れたとしても、あなたはその人を最高だと認識しないでしょうからね。
この「あんなに素晴らしいパートナーはもう現れない」という誤解に加え、もう一つ、隠れている問題は、「こんな私に恋をしてくれる人は、もう二度と現れるはずがない」と多くの人が心の中で思っていることです。
もちろん、これも誤解ですよ。
さらに、この思いがあるために、「あのパートナーはほんとうに素晴らしかった。だって、こんな私に恋をしてくれたのだから」と、自分に対する卑下と、昔のパートナーの美化が強化されていくこともよくあります。
こんなふうにものごとを考えてしまうなんて、私たちの心はほんとうにやっかいですね。
ここから脱出するにはいくつかの手段がありますが、きょうはその一つとして、みなさんに考えていただきたいことがあります。
それは、「あなたのことを大好きになってくれたのに、あなたのほうから拒絶している人はいませんか?」ということです。
私の知っているかぎり、みなさんの心の奥は愛に溢れています。
ところが、「すごく私を愛してくれた人の期待に、私は応えてあげることができなかった」、「あんなに私を好きになってくれたあの人に、私は背を向けた」と、あなたの心は思っているようです。
そして、だからこそ、「私も同じ目に遭うのにふさわしい」と思ってしまうのですね。
思いあたったら、だまされたと思ってやってみてください。
あなたがすごく嫌った、または、すごく傷つけたと思っている人に、あなたのほうから近づいてみる、ということを。
ほとんどの場合、その相手は、昔のボーイフレンドやガールフレンドではなく、親やきょうだい、同性の友人であるようです。もしくは、あなたにとって権威のある先生や監督といった存在であることも多いようです。
なかには、その人たちにものすごい憎悪や怒りをもっているという場合もあるでしょう。それは、あなたの中で“分離”を正当化するために行われているわけですが‥‥。
心の中でだけでもいいのです。
その人に近づいてあげたり、その人のために祈ってあげたり、その人の価値を認めてあげたりしてみてください。
それがうまくできるようになるほど、あなたの発想には変化が生まれ、まるで憑き物が落ちたかのように、新しい恋に向かったり、実際に新しい出会いを得たりすることができるようです。
「今生、もう恋のできる見込みなんかない」と思っているのなら、ぜひ一度、お試しあれ。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!