こんにちは平です。
きょうは、私どものカウンセリングを受けにきた、ある女性の話をしましょう。
彼女はお見合いによって、一流大学を出て、一流会社に勤めるいまのご主人と結婚しました。
ご両親が、「できるだけ早いほうが、条件がいい結婚ができる」という考え方の持ち主でしたので、大学を卒業して、OLとなって1年目にそのお見合いの話がやってきたのです。
彼女としても、OLというのは意外とたいへんで疲れるものだと身にしみて感じるようになっていたところにきた見合い話で、お相手もそれなりにかっこいい男性だったので、その話に乗り、結婚したわけです。
まじめで浮気などせず、手もさほどかからないご主人でしたので、まわりからは「とてもいい結婚だ」といわれていましたが、彼女のなかではなにかいつも、くすぶるものがあったそうです。
そのくすぶる火種がなにかよくわからないまま、彼女は結婚生活を続けていました。が、あるとき、もののはずみで、いきつけのヘアサロンの若いイケメン美容師さんと恋愛関係になってしまったのです。
はじめのころは、ちょっとした火遊びのつもりだったのですが、人生で恋などほとんどしたことのなかった彼女は、まもなくドップリとこの恋につかってしまったわけです。
そして、結婚まで視野に入れるぐらい、この恋に燃え上がったのですが、2年後、彼にはまったくその気がないことがわかり、泣く泣く元のサヤに収まることにしました。
しかしながら、その間、ご主人ときたら、奥さまがそんな事情を抱えているなどつゆ知らず、「なんか、最近、ツンケンしてるなぁ。これが、倦怠期というやつか‥‥?」と思う程度で、なんの問題意識ももっていませんでした。
そして、一度、恋の味を知った彼女は、この「なんの変化もなく、心が動くことなどまったくない結婚生活」におおいに疑問をもつようになり、私どものカウンセリングを受けることとなったわけです。
出たお話といえば、ご主人がいかにつまらない男性で、おかげで私の人生も死んでいる‥‥ということに終始していましたが、その下で彼女が感じていた感情は、じつは罪悪感でいっぱいだったわけです。
「自分は悪い奥さんで、だんなさまはとてもまじめなよい人。私が彼を好きでいてあげることができたなら、なんの問題もない、平和な夫婦でいられたでしょう‥‥」
「でも、私は彼のことを好きなどころか、彼との間に子供を作ることすら、躊躇する毎日‥‥。だって、このだんなさまとやっていく決心がいまだについていない。ひょっとしたら、来年は別れているかもしれないし‥‥」
そんなふうに、心の中にはなぜか、「まじめで働き者で、稼いでくるだんなさま」、「専業主婦で、お金は使うばかりの私」という図式があり、そして、「彼にはもっと献身的でよい奥さまがふさわしい。
本来なら、私がそうなれればよいのだけど、私がそんな女になれるわけがない」と自分を責めてばかりいたわけです。
彼女の育った家庭は地方の旧家でした。それこそ、結婚前にお茶とお花と着付けは必ず仕込まれて、「結婚したら、女性はこうあるべき」という教育をされるような家だったわけです。
そして、おばあさまもおかあさまもそういう女性だったのですが、自分もそうならねばならないと思えば思うほど、逆に「そうなりたくない!」と彼女は思うようになっていたのです。
つまり、彼女はご主人がまったく望んでいないにもかかわらず、「自分は献身的な妻であるべき」と思い込み、みずからものすごいプレッシャーをかけ、そして、それにストレスを感じていたのです。
そこで、彼女には、勇気をもって、ご主人にこう聞いてもらいました。
「私が良妻賢母タイプの奥さんだったらよかったのにね?」
すると、ご主人はこう答えました。
「いや、そんなタイプじゃないって、見合いのときから知ってたよ。第一、自分の奥さんになる人にそれを求めていたら、僕はきみとは結婚してないよ」
彼女にとっては、もう、青天の霹靂だったわけです。いったい、自分はいままで、なにをしていたのだろう、と‥‥。
ご主人が彼女に求めていたのは、彼女が思っていたタイプとはぜんぜん違ったわけです。
「かわいくて、セクシーで、いつも自由でいるきみがいちばん好き。
僕はまじめしかとりえのない保守的な人間なので、きみにこそ、いろいろなことを楽しんでもらいたかったんだ」。
彼女はずーっと一人で悩んでいたのですが、ご主人の言葉は、それこそ、目からウロコだったわけです。
恋愛の秘訣。それは、一人で悩まずに、必ずパートナーの意見を聞くことであるようですよ。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!