心の在処(ありか)

こんにちは平です。

恋愛に関するご相談をうかがっている中で、しばしばあるのが、「どうも、彼のほうはあまり本気ではなくて、この彼女のことをキープしながら、よそでも恋愛勧誘活動を活発にしていそうだ」というケースです。

こうした場合、男性が使うデートの断り文句のナンバーワンが、「仕事が忙しいから」というものです。

そもそも、忙しくてデートの時間がとれないというのはまだわかるとしても、メールの返信や、折り返しの電話をすることもできないというのには、いささか疑問が残りますよね。

しかし、もっと疑問に思うのは、「なぜ、そんな彼のことを追いかけまわしてしまうのか?」ということです。

こうしたご相談をくださる女性の多くは、「彼のことをもっといっぱい愛してあげると、きっとこちらを振り向いてくれるはず」とか、「いま、彼は忙しいだけで、仕事が一段落したら、私と遊んでくれるはず」とおっしゃることが多いようです。

しかし、実際はなかなかそのようにはいきません。

うちの子どもは双子で、現在、高校2年生なのですが、昔、よく、「なんで勉強なんかしなければいけないの?」という質問をぶつけてきました。

で、私はいつもこんなふうに答えてきたのです。

「きみたちにはなにが向いているのかわからないので、義務教育の間は、広く浅く、いろんな科目を勉強することになるのだよ。

でね、苦手科目があるのなら、それは向いていないってことだから、さっさとあきらめてください。努力して勉強しても、さほどできないはずだから。

そして、勉強していて楽しい科目や、興味がわいてくる科目がどれなのか、早く見つけてほしいんだ。

人生は、たった一つ、きみがいちばん得意で大好きなことを仕事にすることでうまくいくものだからね」

これは、わが家の教育方針なのですが、男女関係もこれによく似ていると思うのです。

たとえば、「結婚することになりました」というカップルに「どうして、結婚することになったの?」と質問すると、すごくよく返ってくる答えが「いやー、べつに、なんとなく‥‥」というものです。

「なんとなくで結婚できるなら、こんなにがんばってる私はどうなるの?!」という悲鳴も聞こえてきそうですが、やはり、「なんとなく」とか「自然に‥‥」という場合が多いようなのです。

つまり、「うまくいく恋愛」では、みなさん、あまり苦労していないようなのです。

私たちはそれぞれ、いろいろなコンプレックスを抱えていて、さらに、見返してやりたい友だちとか、目にものを見せてやりたい親などという存在がある場合もよくあります。

すると、ついつい、パートナーを選ぶときも、「私の心は、だれといるときに穏やかで、楽しく、自然でいられるのか」ということよりも、そちらのことばかりに気がいったりするものです。

で、「どの彼なら、私のいままでの人生のウサを晴らしてくれるだろう?」、「どの彼なら、あの友だちやあの親をひれふさせてやることができるだろう?」などと考えてしまうのですね。でも、そうやって選んでしまうと、なかなかうまくいかなかったりするわけです。

私の身近には、「やめときなよ、あの人だけは」とさんざん、友だちに言われながら、どうしても嫌いになれず、別れられず、まるでロミオとジュリエットのように、反対されればされるほど燃え上がって、結局、結婚した、というカップルがあります。

このカップルの場合、なんとか楽しくやっていて、その様子を見てまわりもようやく「こういう結婚もアリか」などと祝福モードになりました。

こんなふうに、困難を乗り越えての結婚というのもあるわけですが、確率からいうと、やはりうまくいかないことのほうが多いようです。

だから、もちろん、ラクで楽しくて自然な恋愛であるにこしたことがないわけですが、ここで問題になるのが、私たちは自分の感性に、いまいち、自信がないということです。

とくに、がまんしなければいけないことが多かった人生を送ってきたとか、自分を押し殺さないと成り立たないような仕事をしているといった場合がそうです。

自分がしたいこと、好きなことが、あればあるほどがまんがつらくなるので、「べつにそれほど好きではないし‥‥」とか「それほど欲しくもないし‥‥」と自分に思い込ませようとしてしまうのです。

だから、がまんしてきた人ほど、「ほんとうに好きなのか?」という自分の感性に自信がなくなってしまうようなのです。

そして、じつはこれは日本人に非常に多いケースといえます。

こうしたみなさんは、自分にご褒美をあげる練習を少しするとよいかもしれませんよ。

ご褒美として、あなたが食べたいものを食べる、欲しいものを自分に買わせてあげる、行きたい場所に自分を連れていってあげる‥‥ということをしてみてください。

外国の友だちにこんな話をすると、「日本人らしいね」とバカにされるのですが、それほど私たちはがまん強いようなのです。

 

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。