こんにちは、平です。
先日、ある女性から「彼と別れることにしました」という報告をいただきました。
おつきあいして約1年、彼は理系の研究職で、悪いところのかけらもないほどいい人なのだとか。女心には疎いほうないほうながら、精一杯がんばるタイプなのだそうです。
ただ、彼女曰く、「すべてのことを一人で考え、これでいいだろうかとか私に聞くこともなく、一人でなんでもしてしまうんです」という点が問題となったわけです。
別れのきっかけになったのは、二人でいった夏山のハイキングだったそうです。
「すばらしい見晴らしの高原を、彼は私をおいてけぼりにして、スタスタと一人で歩いていってしまったんです」
あとでわかったのは、彼はけっして彼女を放り出したわけではないということでした。
一人でキャンプ地に先行し、彼女のためにお昼ごはんの準備を進めようとしていたのです。そうすれば、彼女がたどりついたとき、あまり待たせることなく昼食を食べさせてあげられる‥‥という、彼なりの優しさから出た行動だったわけです。
彼女曰く、「それならそれで、先に私に相談とかしてくれればいいのに!」
そう、彼は彼なりにサプライズのように考えていたようですが、「先にいくから、あとでゆっくり来てね」といきなり言われた彼女がどんな気持ちになるかは考えもしなかったわけです。
どちらかというと山が苦手な彼女、「道に迷うかもしれない」という不安を抱えながらキャンプ地をめざしたわけですが、「なんでこんなに不安になりながら、一人でトボトボ歩いていかなければならないの!」と、もう、くやしいやら、腹が立つやら‥‥。
それでも、先にキャンプ場に到着していた彼が、おいしいごはんとともに迎えてくれたのなら救いがあったのかもしれません。
が、料理どころか、なかなか炭に火がつかずに手間どっていた彼、食事ができるまで、彼女はさらにイライラさせられる始末だったとか。
で、ついにガマンの限界を超え、大喧嘩。
「きみのためにこれだけがんばったのに、どうしてわからないんだ!」
「私のことなんか、なに一つわかってないくせに!」
というわけで、1年間は「悪い人じゃないし」と善意に考えていた彼女ですが、「こんなことじゃ、一生ついていくなんて無理!」と彼との別れを決めたそうなのです。
「たしかに、彼にとってはすばらしいアイデアだったのかもしれませんけど、私はやっぱり彼といっしょに景色を見ながらハイキングしたいし、ごはんだって二人でいっしょに作ったりしたいんです。
そう言っても、彼にはぜんぜん伝わらないんです」
彼の中には、「男はこうあるべき」とでもいうものがあったのかもしれません。でも、彼女にとっては、「いつも彼のイメージにつきあわされている」というかんじが、1年間、ずっとあったといいます。
かつ、彼には打たれ弱いところもあって、彼の考えたプランが「つまらない」とでも言おうものなら、ガックリ傷ついてしまうとか。
その繰り返しにも彼女は疲れていたようでした。
この彼のようなタイプを、私は“思い込み型”と呼んでいます。
思い込み型の人は、二人で話し合って、いちばんよい方法を見つけようというのではなく、二人の恋愛を自分一人の基準で決めてしまおうとします。
「自分がしてもらったら、うれしい」と思うことを自分から相手に与えてあげるのはよいことではありますが、それがはたして、相手にとってもうれしいことかどうかは、相手に聞いてみないとわからないわけですよね。
したがって、思い込み型の人との恋愛は、相手のツボにはまるとすごくいいのですが、感性や感覚がまったく違う相手の場合はまったく浮き上がってしまい、しかも、修正がなに一つ利かないことが特徴です。
たとえば、山が大好きな男の子が彼女を夏の高原に誘ったら、「虫とか、ちょっと苦手かも‥‥」という返事だったとします。
こういうとき、彼は「ちょっと」という言葉をフォーカスしてしまい、「多少の苦手なら、あの壮大な景色の前ではなんとかなるだろう」と思ってしまいます。
女性の「ちょっと」は、実際はちょっとだったためしがないという言葉のルールを知らないわけです。
すると、彼になかば強引に連れていかれた彼女にとって、虫の多い夏の高原は、もはや地獄以外のなにものでもなかったりするわけです。
年に1度のサプライズだったとしても、相手のことを熟知していてこそ成功するものです。自分の思い込みや、単なる一般論だけで決めたサプライズはスベることのほうが多いようですよ。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!