こんにちは、平です。
カウンセラーという仕事をしていると、「人の心とは、おもしろいものだな」と感じる場面がたくさんあります。
たとえば、ある男性が、好きになった女性に告白しようとしているとします。
一つ目のケースは、まわりの友だちがみな悲観的で、「そりゃ、無理だよ」とか「おまえ、いけると思ってるのかよ?」などと言っている場合。
このとき、意外なかんじがしますが、当人は「五分五分ぐらいじゃないかな」などと思っていることがあるものです。
もう一つのケースは、反対にまわりから「二人がつきあったら、きっとお似合いのカップルになるよ」などと言われている場合。
当人どうしもメールや電話で頻繁に連絡をとったり、一対一で会ったりすることもしばしばあるという状況です。
が、友だちから、「それで、彼女にはもう告白したのかよ?」などと問いつめられると、「いや、まだ。ぜんぜん自信ないんだよね」などと答えるというようなことも、こちらのケースでは少なくありません。
このときの男性の心理は、こんなかんじでしょう。「たぶん、きっと、大丈夫だとは思うけど‥‥。でも、万が一、万が一だよ、彼女に断られたらすごく傷つくだろうな‥‥。ほんとに、ほんとに、大丈夫かな‥‥」。
期待している度合いだけ、万が一の場合への恐れが強く、どうしてもネガティブなことを考えてしまうわけです。
一方、前者のように、だれが見ても「そりゃ、無理だよ」という場合は、むしろ恐れを感じずに、「どうせダメだろうけど、でも、待てよ‥‥。万が一ということもあるよな。万が一、彼女が僕とつきあってくれたら、こりゃすごいことになるよなぁ」などと、可能性のほうに掛けてみようかという気にもなるわけです。
恐れや不安というのは、ビジネスにおいても、パートナーシップにおいても、順調にいっている人ほど強くもっていることがよくあります。
「いまはいちおう、うまくいってますけど、どこまで続くだろうかと不安に感じてしまって‥‥」というように。
私たち日本人というのは、どうも、成功や幸せを味わうのに不慣れであるようです。そして、「もしも、万が一、ダメだったときのための準備をしておこう」という傾向が強いようです。
昔、一流ホテルのコンセルジュをしている友人から、こんな話を聞いたことがあります。それは、お金持ちのお客さまは広い部屋を希望されることが多いのだけれど、彼らはその「広い部屋をとても広く使う」ということです。
一方、生活にそれほどゆとりはないものの、「記念日だから」と無理してスイートルームをとったというようなお客さまは、逆に「広い部屋をとても狭く使う」らしいのです。
彼らは広い部屋のはしっこにすべての荷物を置き、洋服もたたんでトランクにしまってあります。そして、一日中、ソファに座って、テレビを観たりしているようで、部屋にあるものを使っている様子はあまりないのだそうです。
反対に、お金持ちの人たちは、家から持ってきたお気に入りのシャンプーとリンスをバスルームに置き、洗面台には、まるで家のドレッサーであるかのように化粧品を並べ、クローゼットには洋服をあれこれ掛けるわけです。
そして、あちらの部屋の隅でトランクが口を開けていると思えば、ベッドの下にはベルトが1本落ちていて、部屋の反対側には靴が脱いであり、むこうのベッドの隅にはドレスが脱いである‥‥、というように、とにかくお部屋をすみずみまで使うそうなのです。
私たち日本人はチェックアウトする前に、まるでベッドメイクするかのように、シーツのしわを伸ばし、ふとんをきれいに掛けなおしたりすることも多いものです。
まったく悪いことではないのですが、心のどこかに、「ちゃんとしておかなければ、バカにされる」、「きっちししていないと、笑われる」などという心理があるとしたら、ちょっとツライですね。
ところが、外国の人は、そんなことはまったく考えずに、人の行為や愛を受け取ることができるし、その時間と空間をめいっぱい楽しみます。そこにお金を払っているという意識があるわけです。
冒頭に、好きな人に告白しようという男性の2つのケースをお話ししましたが、これは深層心理的にいうと、「自分が愛されなかったらどうしよう」、「もしも、自分が愛されたら、とてもうれしいぞ」という“自分を中心に考えた物語”といえます。
言い換えれば、恋の成功も、人生の成功も、じつはあなたのまわりにある、「あなたを愛したいという思いを、あなたがどれぐらい受け入れる用意があるか」にかかっているということなのかもしれません。
私たちはついつい、「愛されるためには、なにをすべきか」ということを考えてしまいます。
が、ほんとうは、「なにをすべきか」ではなく、自分がとても愛され、とても恵まれているということに「気づき」、そして、「愛を拒絶することをやめること」こそが必要といえそうです。
それができさえしたら、あなたの人生は、もっともっとスムーズに流れていくかもしれませんよ。
私たちはどうも、愛をいっぱいに感じることを恐がっているようですね。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!