こんにちは、平です。
婚活が当たり前になった今、“生涯未婚率”という言葉をご存知の方も多いかもしれません。
これは50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合のことで、2010年の国勢調査結果では、男性は20.1%、女性は10.6%という結果になっているそうです。
男性においてはなんと5人に1人、女性も10人に1人が独身ということになるわけですね。30年前に比べ、男性は約8倍、女性は2倍以上になっているそうで、独身を貫く男女が急増しているという事実が端的に示されているといえるでしょう。
私どもでも、日々、結婚に関するご相談をいただいているわけですが、結婚していないみなさんが、そのいちばんの理由としてあげられるのが、「出会いがない」ということです。
男性の場合は、さらに「結婚資金が貯まっていない」というのも大きな理由の一つであるようです。
ただし、とくに若い男性の場合、十分な貯金がなくてもあたりまえといえますから、それはほんとうの理由ではないような気が私はいたします。
それよりも、結婚するためにはたくさんのお金を用意しなければならないというプレッシャーがあって、「なんだか難しいなぁ」とか「めんどくさいなぁ」と感じてしまう‥‥、こちらのほうが、むしろ、大きな理由になっているのではないでしょうか。
“草食系”という言葉はもうすっかり定着していますが、どうも、最近の男女には受身なタイプが多いようです。
とくに、男性にこの傾向が顕著で、「自分で状況を切り開いていこう」というよりも、「与えられたものを受け取っていこう」と考えることが多い世代になっているようです。そして、そのため、結婚にも積極的になれない人が多いといえそうです。
そうした人たちのことを心理学に見てみると、いちばん大きな問題は「リスクをとりたくない」という思いがつねに隠れていることという気がいたします。
恋愛においては、「おつきあいはしたいけど、ふられるのはいや」とか「私のしたいことならいいけど、彼の趣味につきあってもつまらない」とか、傷つくことやいやなことを避けようとするわけですね。
それは、「リスクを負うほどの価値が、パートナーにはない」、「そこまで大事な恋ではない」と言っていることにもなります。
逆説的なのですが、心理学で“対価の法則”と呼ぶものがあります。
ものすごく高いところに架かっていて、それはよく揺れる吊り橋があって、その橋の向こうに1本のビールが置いてあったとします。
このとき、その吊り橋を渡るのが怖ければ怖いほど、渡り切ったときに飲むビールの味はおいしく感じられるというんですね。
心とはおもしろいもので、「こんな思いをしてまで得たビールが、不味くあってはならない」と思っていて、「いままでに飲んだビールの中で、いちばん旨い」と認識するようなのです。
つまり、高いリスクを負っても大事にする恋愛は、素晴らしい恋になるわけです。
では、リスクとはいったいどんなものなのでしょうか?
ひとことでリスクといっても、いろいろな角度から捉えることができるわけですが、恋愛については“感情”で考えることができます。
男女関係において、大部分の人は自分の感情をコントロールできる範囲で過ごしているようです。
よい意味では、“穏やかな恋”であるわけです。
それに対し、“情熱的な恋”、“激しい恋”となると、ものすごく感情が揺さぶられます。このように、感情が大きく揺さぶられることを、リスクだと感じる場合が多いようなのです。
なぜなら、私たちの多くは大きな感情の表現があまり上手といえないからです。
大きな感情をいう言葉の一つに「感極まって」というものがありますが、そうした感情をどう表現すればいいのかがわからないわけです。
私どもでは、ヒーリング・ワークショップという感情を扱うグループ・セラピーを行っているのですが、大きな感情を、子どものように泣きじゃくったり、ダダをこねるように泣いたりという形でしか表現できない人は非常にたくさんいます。
つまり、それほど大きな感情を表現したのは、小さい子どものとき以来だということになるわけです。
こうした人たちに、私はいつも「泣ける映画をたくさん観るといいよ」と言います。実際、これは、感情を強化してくれる、シンプルかつ効
果的な方法なのです。
自分の感情をいっぱいいっぱい感じたり、自然に表現できるようになってきたりすると、感情そのものをそんなに恐がらずにすむようになってきます。
すると、恋愛においても感情のリスクが怖くなくなってきますから、きっと、吊り橋の向こうのビールにも負けない素晴らしい体験ができるというわけです。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!